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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第270話カフェの町

 新学期早々マッタリ感の漂うお馴染みのカフェ内。


 しかしカフェから見える町並みは上層以上に実に進化を遂げていた。


「店どころか、町が……出来ているんだな」


「その通りだけど? やっぱりカフェは町並みからでしょ? 私はすごく満足です」


「ぐぅ……本人の姿が見えないと思ったら、ここを強化していたのか!」


「オッホッホッ! 当然でございましょう? 無償奉仕なんて片手間ですわよ? 最低保証以上を求めるならリターンをくださいませんこと?」


「ぬぐぐぐぐ……」


 浦島先輩が、生徒会長をからかっている。


 本日は、休みの間に頑張ったカフェスペースを生徒会長に披露目となったらしい。


 それは浦島先輩が最も力を入れていた町であり、テイムモンスターの為に作られた、居住施設である。


 今回手に入ったモンスターからもビジュアル重視で選りすぐられた、かわいらしいモンスター達は皆ここで一件ずつ家を与えられ、役割をこなし、町を運営していた。


 そのために様々なサポジョブを身に着けていて、中には店を出しているモンスターさえいるのだから、本格的である。


 チリンチリンとベルが鳴って店の中に入ってくるのはケットシーで、私服らしき見慣れない衣装を着ているのが僕にも分かった。


 そんな姿を見た浦島先輩は深く頷き、非常に満足そうにため息をついていた。


「……これだよ。私の求めていたのはこれなんだ」


「え? どれだ?」


 だが生徒会長には、今のどこにそんな興奮するような要素があったのかわからなかったみたいだ。


 浦島先輩は信じられないと声を荒げた。


「いや分かるでしょ!? ケットシーの私生活を垣間見るこの一瞬だよ? 私服だよ? めっちゃ可愛いでしょ?」


「……それはまぁ。可愛いな」


「でしょう?」


 うん。まぁ。実にかわいらしい。


 モンスターの私服があるってことは、モンスター用の仕立て屋もあるのかな?


 今までは桃山君に頼っていたはずだけど、ここまでいきわたっているのなら、何らかの対策をとっているに違いなかった。


 その点裏を知らない生徒会長はひたすら困惑しているみたいだけど、それは仕方がない。


 浦島先輩はいい物を見たことでテンションが上がって来たのかノリノリで、解説を続けていた。


「ふふふ……そんなもの欲しそうな顔をしなくても、後で紹介してあげるよ? 今町にあるのはモンスター用の服飾店。蚕型のモンスターと鳥人の鶴っぽい娘を見つけてね、最低限のスキルを叩き込んだらシナジーがすごいから。必見だから。是非堪能して?」


「楽しそうだな……」


「超楽しいよ。楽しくないわけないでしょ。他にもいろいろあってねぇ、お菓子屋さんでしょう? 花屋さんでしょう? 宝石屋さんなんかもあるよ?」


 次々上がる店舗のジャンルはなんだろう……実に夢のあるチョイスである。


 生徒会長はしかし、歯に衣着せずにポロリと零した。


「女児感半端なくないか?」


「当たり前でしょ? 私ら……元女児でしょうが。女児の夢叶えないで何叶えるんだい」


「そう言われるとそうかもしれないが……」


「でしょう? 分かればよろしい。とはいえ、どの店もダンジョン内でめちゃくちゃ使えるアイテム売ってるから、一見の価値はあるね」


「どんだけ未知のアイテム発見しているんだ? 売るほどか?」


「実はアイテムはさほどでも。ここに客がいないし……ほとんどポーション集めに労力を割いてるのが現状だね」


「そうなのか?」


「でももちろん全然ってわけじゃないから珍しいアイテムは結構持ってる。内容は見てのお楽しみかな? まぁ掘り出しものを探してみてよ」


 浦島先輩は、自分の成果を語りながら、かつてないほど生き生きしていた。


 テイマーを極め、実際ここまで町を作り上げたのだから大したものだと僕もそう思った。


 それを肯定したのは意外にも攻略君だった。


『いや、実際大したものだよ。モンスターにサポートジョブを身につけさせるのも大変なはずなのに、それを利用して社会性まで身につけさせるなんてすさまじい発想だ』


 攻略君が大絶賛しているところを見ると、本当に革新的な何かがこの町で起っているようである。


 だが、苦労を語るよりも、賞賛するよりも。


 とりあえず誰であれ、やるべきことは存在する。


 生徒会長も、おそらくはその魂をすでに理解していた。


「しかし……なんかすごくこの風景は和むな」


「うん! 存分に楽しんで!」


 そう、まずは楽しむことが第一。


 僕らのマイカフェはより完成度の高い憩いの場になった。


 ならば楽しまねばもったいないというものだと思う。


 生徒会長も肩の力を抜いて楽しんでもらいたいと僕はテラス席で、コーヒーを一口すすった。


 うん。おいしい。


 そして空を見上げると僕の視線の先には空中に浮かぶ島がゆっくりと漂っていた。


 まぁ……僕が作った空中庭園だってなかなかのものなんだけどね?


 なんて思いつつ。


 仕事着のエプロンを身に着けたケットシーが先輩達にメニューを持ってやってきたのを横目で見た。


「にゃー」


「ありがとうなぁー? うんうん。チュールを持って来たんだけどいるかな? いるかにゃ?」


「よーしよしよし。やっぱりケットシーはかわいいなぁー。ちょっと犯罪的じゃない?」


「テイム出来る物ならしたいんだが……まず勝てないんだよなぁ」


 ……思ったより。デレデレだな。生徒会長も猫好きでしたか。


 いや、ようやく慣れて来たってことか。うん。


 何気に仲がいい浦島先輩と八坂生徒会長のやり取りを眺めるのも、僕としては実に楽しいものだった。

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― 新着の感想 ―
沼に引きずり込むのが最も手っ取り早いもんね!
更新ありがとうございます∠(`・ω・´) |д゜)チラッその街のレストランの厨房ではアイ……ケットシーコック達による調理風景………なんかどっかで見たような光景が広がっていた……………ああいけませんいけ…
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