第6話 魔法の実験と雑草
「うーーん、やっぱりあまり効果が感じられないわ」
今日も時間があるので空気清浄魔法の練習と、汚れ防止加工の検証中。
この辺境伯領内は瘴気と呼ばれる穢れた空気が充満した地域だ。どこからどのように発生するのかは知らないけど、少しでも綺麗にしたいと思って日々練習中。
でも、「あまり瘴気は減っていない気がする」
だって、ほこりが取れて空気は澄んでくるけど、薔薇のような独特の匂いは全然減らない。臭いだけでもと思って「消臭」するけどまだ使えていない。
(ぜんぜん練習が足りていないのね)
汚れ防止も、泥水をかけたらぐしゃぐしゃ。もうこの布は使えない。
「何がいけないのかしら?」
ーーー
実は清掃魔法の実験をしていて気になることが一つあった。
庭で実験することが多いのだけど、周りにある草木に少し変化がある。
具体的には、色艶がよくなるというだけなのだけど、これは清掃されてほこりが取れた、とかではない。
多分元気になってる。
仕組みはわからないけど、何か応用して作物栽培にも活かせる気がする。
ーーー
とにかくこのお屋敷は広い。
なんなら、迷子にだってなれますよ私。
侯爵家も領地の屋敷の方が王都の屋敷より倍は広かったけど、それでもこの屋敷に比べたら半分以下だろう。
それよりも敷地が広大すぎる。
広大な領地、誰も住みたくないことを除けば、王国一広い。
だから屋敷裏の敷地も尋常じゃない、山も林も湖まである。だから当たり前のように広大な畑もあったりする。
アーナさんは暇じゃないだろうに、私に付き合って畑について来ている。
護衛として団長さんがつけてくれたコーネルさんもいる。
女性の騎士さんなのね。金色の髪と茶色の瞳の美人さんだ。
「奥さまあ、今日はどんな面白いことが起こるんですか。ワクワク」
アーナさんはワクワクも口で言うのね。
「多分面白くはないわよ。作物の変化を見に来ただけですから」
「作物ですか。ここで作っているのはムーギが多いですね。野菜の方はなかなか育たないのですがトートマは比較的実をつけてくれます。赤い実が美味しいです」
一番必要なのはたぶんムーギね。主食でいつも食べているパンの原料だったはず。
空気清浄を周辺だけ集中的にかけてみる。
するといつものように周辺だけ空気が澄んでくる。
いつもならこれで植物たちが元気になるはず。
コーネルさんが少し驚いた顔をしている。
「あの、奥様。確かにみていても分かりません。何か変化があったのですか?」
「うーんとね、残念ながらムーギは変わらないわね。ただ、周りのあぜの草を見て!緑がさっきより濃く見えるわ」
「はい、でも雑草が元気になるのを畑に見にきたんですか」
「もちろん違うわよ。作物が元気になるのを見たかったの。なぜかムーギやトートマに変化ないわね。どうしてかしら?」
「何か違いがあると言うことですか?」
「うーん、雑草と作物の違いって。そんなに植物としては変わらないような」
これはさらに実験が必要ね。
「ムーギとトートマの苗を少しもらってもいいかしら。アーナさんももし何か違いに気がついたら教えてね」
「はい、ムーギやトートマと雑草の違いですね。わかりました」
「コーネルさんもよかったらお願いね」
「はい、でしたら奥様一つ提案があります」




