↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[感謝650pt、90,000pv]“忌域”の辺境伯様に嫁がされた私、ハズレスキル「清掃」で荒廃領地と『王国の詰まり』を大掃除!  作者: 積と和〝
第3章 王国の詰まり一掃します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/62

第52話 母の狂気と父の覚悟

 それは静かに迫っていた。

 子供たちのあふれる笑顔と楽しげな歓声。

 周りの人々の温かな視線。


 ……それが一瞬にして恐怖に変わった。


「ローザ! 自分だけ何を幸せそうにしてるのよ、私たちを追いやって、覚悟しなさい!」

 唸るような低い女の声。しかしよく通る声だった。


 子供たちの歓声が消え、視線が声の主に集まる。

 もうあと数歩というところに彼女は立っていた

 手元に鈍く光るものが……

「お母さま」

 これはダメ!

「みんな、逃げて!」

 私が子供たちに声をかけるのが早いか、母は短刀のようなものを力強く握ったままこちらに歩み出した。


「ローザ!」

 ノル様の声。

 子供たちとの交流でノル様と少し距離が空いてしまっていた。


(もう間に合わない!)

 そう思って目をつむると私の前で誰かが倒れた。

「え?」

 目の前には背中を刺され倒れている……

「アーキリム兄さん!」

 私が声をかけるとコーネルがすぐにアーキリム兄さんに駆け寄り励ます声をかけてくれている。


「貴様!」

 コーネルが剣を抜き母に向き直った。

 しかしアーキリムがコーネルをとめる。


「お母さま!」

 私が声をかけてもアーキリムを刺した母は呆然としている。

 私は身に迫る危険も忘れ、兄の横に跪いた。

「治癒!」

 私は全力で治癒魔法を兄にかける。

 すると徐々に傷が塞がっていく。処置が早かったおかげで出血も少なく直ぐに塞がった。



 後ろから男の声がした。

「フィーネ、もうやめよう、ローザを狙ってアーキリムを刺した。それをローザに治癒させて……これはなんなのだ?」

 父は左右に首を振った。

「ローザの力を見ただろう。私たちはただの道化だ」


「お父さま」

「ああローザか、久しぶりだな。アーキリムのことは助かった。すごい力じゃないか」

 父はアーキリムに近づき手を取って立たせた。

「それにこの忌域と言われた辺境まで清浄な空気で驚いたぞ。聖女だそうだな」

「いえ、聖女ではありません」

「ははは、お前のことだ、どうせ自分だけ称号を受け入れていないのだろう?」


 そこで父は一瞬迷ったような表情をした。

「わしはお前が我が侯爵家にとって邪魔な存在だと思っていた。わしらを侯爵家から追い出したのはお前のせいだと逆恨みしていたが……」

 私の隣に静かに跪く。

 コーネルが警戒するがノル様がとめる。

「しかしそれは間違いだったようだ。どう考えてもわしらが悪い。頭脳明晰で魔法も得意なアーキリム、聖女とも言えるローザフラウ。侯爵家は誰もが羨む最高の家だったじゃないか」

 父は私の手を握り

「すまなかった、わしがもう少し考えれば。すまなかった……」

 涙を流して謝った。

 こんな表情は初めて見る。

 おそらく本当に反省しているのだろう、と思う。


 すると母が静かに近づき

「あなた……」

 そして私を見て

「ローザーーーーーーー!」

 短剣を振り上げ再び襲いかかってきた。

「フローレンス!」

 父が私に覆い被さり防ぐ。

「ぐあっ!」

 父から声が漏れた。

「お父さま!」

 なおも母はわたしに迫ろうとするがノル様が間に入り母を止めた。

「お、お父さま!!」

 鬼気迫る私の声にノル様が顔だけ振り向いて私たちを見た。

 その一瞬

「うああーー!!」

 母の声がした。

 すると……

 ノル様が倒れる。

 ……胸元に短剣が刺さっている。

「ははあーーやったわー!」

 母が踊るように叫んでいる。

 もう狂ってる。

「コーネル、お願い!」

「はっ!」

 コーネルは剣を抜くと母を斬った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。