第45話 公爵家の処分
「ガンダルク元公爵とその娘フローレンスには毒杯を言い渡す。
妻と次女については直接の関与が認められないが、公爵たちの行いについては知っていたことは明白、よって修道院に行ってもらう。公爵家は取り潰す」
この決定は地下牢にいるガンダルク元公爵とフローレンスにも即日で伝えられ、直ちに執行される。
「何をいうのだ、どう考えてもおかしい。ローザフラウへの刺客は娘がやったこと、盗賊の襲撃も私の指示という証拠はない」
ガンダルクは抗議する。
それに対して執行人が告げる。
「ガンダルク、決定は覆らない。調査の結果、辺境騎士団にも傭兵部隊で襲わせたそうではないか。これは決して許される行為ではない。ちなみに辺境伯様が傭兵団の生き残りを1名、匿っておられた。そしてその妹が公爵家から救出された。もう言い逃れはできん」
「……くっ」
さすがに諦めて盃を素直に受け取った。元とはいえ公爵だ。これ以上の抵抗は無理と判断したのだろう。
「なぜ私がこのような。いやです。死ぬ必要はありません。私は公爵令嬢ですよ、早く解放しなさい」
フローレンスはそれが当然というように抵抗する。
「すでにあなたは公爵令嬢ではありません。それでも公開処刑とならなかったのは辺境伯家からの温情によるものです。あなたは侯爵令嬢で、かつ当時王太子妃候補であったローザフラウ様を殺害しようとしたのです。これは決定事項です」
「何よ、あんな清掃スキル持ちなんて。私とは……聖属性の治癒スキル持ちの私とは、格が違うのよ。あんな奴、死んでも関係ないわ」
「なるほど。あのあと、ローザフラウ様は再度スキル鑑定をされました。結果、聖属性の浄化スキル、万能治癒スキル、生命力回復スキルをお持ちでした。あなたとは格が違います。フローレンス、お前の言葉を借りれば、お前なんか死んでも関係ない、となりますね」
「な、なんですって、スキルを、私より上位のスキルを3つも」
「わかったら、さっさとこれを飲め。せめて父と一緒に飲んだらどうだ。ガンダルクは待っているぞ」
「お父様」
「フローレンス、すまなかったな。わしがお前を追い込んだのだろう。最後くらい共に逝こう」
「……嫌です。死にたくありません。でも、ご一緒いたします」
ーーー
ガンダルク公爵家に協力した貴族として3家が暴かれ、罪の大きさに応じて、取り潰しや降爵の処分が下された。
唯一取り潰されたのは、辺境伯領の北西に隣接する伯爵家だ。ガンダルクに傭兵を貸し、辺境伯領の魔物討伐を妨害した。
ちなみに宰相は情状酌量の余地はあるものの罪は罪、金貨500枚の重い罰金刑となった。
ガンダルク公爵家で奴隷として働いていたものたちや人質となっていたものは一旦辺境伯家で預かった。
その上で現在の辺境伯領の状況や待遇を説明し、辺境伯領への移住について意思確認をした。
幸い全員、一人も漏らさずに移住の同意が得られた。
もちろん、コルの妹カレンさんもだ。
「お兄様が首を長くして待っていますよ。あちらでは屋敷で働いていただきますがよろしくお願いしますね」
「そ、そんな、奥様に直接そんなことを言っていただけるなんて。もう、精一杯働きます」
「ふふ、それは嬉しいけど無理しないでね。お兄様と休日はゆっくり過ごすことも忘れずに」
「休日があるのですか! 信じられません」
「え? 週に2日は休日よ」
「えー、し、信じられません。休日って何をするのかもわかりません!」
「そうねえ、初めはお兄様と街に観光でもいけばいいんじゃない?」
「お屋敷を出てもいいんですか? もう信じられないわ、全然違いすぎてもう」
「あなたはもう奴隷ではないのよ。当然でしょ。うちでは奴隷でもたまには街に行くけどね」
カレンさん、声が出ないくらい驚いていた。
ーーー
ミリーが見つかった。我が家にガンダルク元公爵から命令され潜入していたメイドだ。
彼女は私の唯一の味方のふりをして私を騙していた。
その彼女が元ガンダルク公爵領の山小屋に隠れていた。
公爵家がなくなり、今は領地だった場所の徹底検査がされている最中だ。
私は特に助けてあげる必要を感じなかったので処分は王宮に任せが、鉱山労働送りだそうだ。
女性に課されるものとしてはかなり重い。
処刑の方がマシとの声もあるほどだ。
一方の辺境伯家に潜入していたニアは公爵の断罪に協力したこと、直接誰にも危害を加えていないこと、そしてガンダルクに人質を取られていたことから、奴隷落ち、それも犯罪奴隷ではなく一般奴隷となった。
罪の重さから考えるとこれはかなり軽い処分だ。
おまけに我が家でニアを買い取ることにした。
奴隷にとって超高待遇の辺境伯家、公爵家で人質だった娘との同居も認める。ニア、ラッキーね。




