第43話 聖魔法の実力
「それはどのような相談なの?」
「はい奥様。以前奥様がキャトルレアで行った瘴気中毒改善でのことです。アーナのところに多くの質問が寄せられたのですが」
「何か問題があったのですか」
やはり様子を見ながらゆっくり進めるべきだったかもしれない。
「いえ、逆です。瘴気中毒だけでなく、風邪や怪我、原因不明の体調不良も含め改善又は完治したとのこと。感謝の言葉と、他の病気や怪我まで治してくれたのか? 瘴気中毒では無い人の病気も治してもらえるのか? といった質問です」
「つまり?」
「知らないうちに治癒魔法も使っていたのではないかと思います」
「なるほど、コーネルよく教えてくれた。ローザ、治癒のために回ることを躊躇する必要はないと思うぞ」
「では、王国治癒行脚の手始めとしてたまたま宰相の屋敷に参りましょう」
ーーー
私は旦那様とコーネル、フェルミナと一緒に先ぶれもなく宰相の屋敷を訪れた。
「主人は辺境伯邸を訪れており留守でございます」
「ああ、私がその辺境伯だ。宰相殿は王宮に戻られたと思うぞ」
「はっ、辺境伯様でしたか、失礼しました。どのようなご用件でしょうか」
「我が妻ローザは聖魔法を使うのだ。全王国民の病や怪我を治すことを目標としており、たまたまここに立ち寄った。この屋敷に病人はいないか?」
「たまたま? あっ、侍従長を呼んで参ります。少々お待ちを、いや中へどうぞ」
門番は何か気づいたように私たちを応接室に案内すると、慌てて侍従長を呼びに行った。
落ち着きのある調度品で揃えられた応接室に案内され侍従長を待った。
主人の品の良さを感じる部屋を見ていると侍従長が息を切らして部屋にやってきた。
「辺境伯様、奥様、ようこそいらっしゃいました。侍従長のアーレブと申します」
「いやこちらこそ突然すまない」
「とんでもないことでございます。ところで先ほど門番から聞いたのですが、聖女である奥様が治療行脚で我が屋敷にもお立ち寄りいただいたと聞いております」
「はい、どれほどお役に立てるかわかりません。が、もしこのお屋敷にご病気の方がおられたら治癒魔法を試してみませんか? あと私、聖女ではないので」
「はい、当ルイード侯爵家の長女ケイト様が生まれつきの原因不明の病に苦しんでおります。聖女様、一度見ていただけますでしょうか」
「……はい、ご案内をお願いします」
女の子の部屋なので旦那様には応接で待ってもらい、コーネルとフェルミナについてきてもらった。
「こちらでございます」
ベットで弱々しく横たわるケイト様の手を握る。
やせ細っていて冷たい。正直、生命力をあまり感じられない。
(生まれつきということは遺伝的な病気かもしれない。そこまで治癒できるのかは全くわからないわね)
だいたい、病気や怪我が魔法で治る理屈も前世の常識では不思議なことだ。
逆にいうと、遺伝的な原因のものも治るかもしれない。
「当たって砕けろ、ね」
ベッドの横に両膝をつき、ケイト様の手を両手で握りしめ集中力を高めながら、魔力を集め高めていく。
「ケイト様の治癒を。万能治癒!」
私の体が暖かい、どちらかというとちょっと暑いくらい。
少し薄目を開けると、ケイト様の体が少し光を帯びている。
数分後、徐々に体の暑さと、ケイト様の光が消えていた。




