第39話 ガンダルク公爵家の断罪(前編)
「はい、スカルノ鉱は瘴気が結晶化し無毒になったものとローザフラウ様の研究で最近わかりました。毒性反応はその影響のようです」
「なんだと? だからスカルノ鉱は辺境伯領の特産なのだな、本当に安全なのか?」
「はい、過去100年以上食べられていますが何も問題はありません。ご安心を」
「ガンダルク公爵、そういうことだ。文句はないな?」
「いやしかし、なぜアルモンを豊富に使い、スカルノ鉱で模様をつけるなどそんな高価なものを贈ってくるのです? 何か裏があるのでは?」
「ガンダルク公爵閣下、それは心外です。私はただフローレンス様と仲良くしていただきたかったのです」
「それは……しかしフローレンスとは王太子候補を巡って敵同士のはず」
「そうなのですか? 私はそのように思ったことは一度もありません。それにすでに昨日、ノーブル辺境伯様と結婚しましたのでご安心ください」
旦那様は恥ずかしげに目を逸らした。
「へ?」
「なんだと」
「……ローザフラウ」
ーーー
気の抜けたガンダルク公爵とお怒りの国王陛下。ジョージヤン王太子は驚いてやっと名前を呟いた感じ。
宰相様は落ち着いて目を瞑っている。
まずは陛下への対応が先だろう。
「陛下、私は今回2回目の妃候補の取り消しです。3度目はないでしょう。それに今回、私は投獄あるいは処刑の可能性もありました。ですから愛するノーブル辺境伯様と結婚し……一夜も共にしました」
(ただ一晩一緒に居ただけだけどね)
「ノーブル、どういうことだ? 王太子妃の候補に手を出すとは。やはり貴様…」
ますます怒っています。ちょっと失敗。
「先ほども申し上げたとおり、ローザはすでに妃候補ではありません。それと、我が妻になっても王国のため、王家のために貢献すると申しております。陛下は私を信用できないとおっしゃいますが、わたくしは一度たりとも陛下にふた心を抱いたことはありません」
「はい、旦那様の言うことはその通りだと断言できます。私もスキルは清掃ですが頑張ります」
旦那様の説明の後、私は丁寧に頭を下げる。
「まあそうかもしれんが、しかしのう。ノーブル、お前やりおったな」
陛下が苦虫を潰したような顔をしている。
急いで私は話題を変える。
「ガンダルク公爵閣下にお聞きしたいことがあります。誤解ではありましたが私がフローレンス様を害しようとしていた場合、処刑するべきとおっしゃっていましたが?」
「当然だろう、公爵家だぞ? ローザフラウ嬢も侯爵家、同じ考えをするのではないか?」
「そうですね。これはフローレンス様も同じ考えですか?」
「あ、当たり前です、私に危害を加えようなんて許せません」
「ええ、では私も同じ考えでもよろしいですね?」
「当然だ。何が言いたい?」
「はい、わたくし、実は昨日試客に襲われました」
「ほう、なるほど。それは災難だったな。まさかそれが我が公爵家からの刺客だとでも? 今日この場があるのだ、事前に殺害するなど意味があるまい?」
「そう考えないものもいるようです。ねえ、フローレンス様?」
「へっ? な、何を言っているのかしら」
動揺を隠しているが視線が定まらない。
「つっ、お待ちをローザフラウ嬢、うちのフローレンスが?」
公爵が一瞬考える。
「ローザフラウ嬢、何か証拠でもあるのか。証拠もなくそのようなことを言えば」
「あります」
私が旦那様に目配せすると、旦那様が持ってきた小袋から魔道具を取り出し、ボタンを押した。




