第37話 フローレンスからの刺客
本日2話目です。
(登場人物紹介と合わせて3本目です)
私はフローレンスへの“贈り物”としてかなり手の込んだクッキーを用意した。
討伐中に手に入れたアルモンという実を入れた高級品に仕上げている。
アルモンはこの王国では辺境伯領でしか取れず、それも毎年取れるとは限らない超高級品だ。
さらにスカイノ鉱を砕いて粉にしてクッキーに模様を付けた。美しい青だが見ようによっては毒々しい。
“フローレンス公爵令嬢 様 良いものが手に入りましたので友好の印に送ります。ローザフラウ”
まあこんなものか。ちょっと怪しいのがちょうどいい。
次の日、このクッキーは事前に連絡をした上で侍女に届けさせた。
会う約束を取り付けて直接私がフローレンスに渡したかったが、旦那様からフローレンスによる私の殺害計画を聞いているので諦めた。
あとはうまく動いてくれるのを待つだけ。
ーーー
今日はアーキリムお兄様が私のために懇意にしている商会を呼んでくれた。
まあ、欲しいものはないのだが、ミルを商人に紛れさせて、この侯爵邸へ入れる方が主目的だ。
自分の分は多少の服を買っただけにしたが、ミルにエルの分も含めて幾つか服を選ばせ、買い与えた。
今は奴隷の身分もなくなり、年頃の女の子はおしゃれしたいはず。
旦那様がミルを派遣してくれたのは、フローレンス公爵令嬢から放たれた刺客の侵入を防ぐため。
コーネルはずっと付いてくれている、これで一安心だわ。
なんて思ってたら
「ローザ様、全然安心ではありません。どんな手で来るのかわからないのですから」
コーネルに怒られた。私何も言ってないのに何で思ったことバレたのかしら。
その夜、いよいよ敵さんが来たようだ。
ミルが探知して警戒しているがまだ発見できていない。
場所は特定できているのに姿はまだ確認できていない状態だ。
私は寝室で息を呑んで待つ。
コーネルがその部屋の物陰から狙う。
「おかしい、もう見えてもいいはず」
ミルが小声で教えてくれる。
その瞬間、私のベットが跳ねた。
私の身代わりに置いていた枕が破け、羽毛が飛び散る。
コーネルが切り込む、と手応えがあった。
男が倒れ込むが一部しか見えない。
「透明化アイテムか!」
コーネルは声を発すると同時に素早く縛り上げて、口に布を詰め、身柄を確保した。
私は隠れていた物影から出て、ホッとため息をついた。




