第31話 敵の正体と新しい仲間
山を降りる途中に見事に木の枝に絡まった一団がぶら下がっていた。
かなりキツく絞められているようでみんなグロッキーだ。
「さて、この中で話をしてくれるのは誰かな」
ノル様が余裕で話しかける。
「あーうーあー」
何か喋りにくそうだと思ったら全員の口の中に木の枝が入り込んでいる。
「なるほどこれでは喋れないな」
ノル様が指定した敵兵の口からミルが枝を抜く。
「誰の指示だ」
すると口から血を流して息絶えた。
「自害か。そう簡単に口から枝を抜けない、と言うことか」
そのあとは一人一人に話した者への命の補償をしながら、説得をした。
それでも説得に応じたものはなく、息絶えていった。
別行動の3人に至っては騎士団が捉えた現場に到着した時には自爆していたらしい。
ただ1人、拒否はしているものの自害していない者がいた。
あえて最後まで問い詰めずにいて、改めて最後に聞いた。
「貴方は話してくれないのですか?」
私が話しかけると迷っているようなそぶりを見せる。
「何か事情があるようですね」
すると泣きそうになりながら頷く。
「公爵に、ガンダルク公爵に妹を人質を取られています。私はもうダメですが、妹はなんとか救ってやってください。お願いします」
「ここの死んだみなさん、そういう事情があるのですか?」
「それぞれです。出世のために自ら入ったものもいますので」
「そうなんですね。わかりました。指示したのはガンダルク公爵ですね、今後の攻撃予定は?」
「我々の後はもう……」
その後も必要な情報を知っている限り教えてくれた。
おそらく、近々に新たな手出しはしてこられないこと、指示をしているのは公爵だが、娘のフローレンスもかなり関わっている、とのことだ。
「教えてくれてありがとうございます。約束ですから解放します」
「えっ? いや本当に約束守ってくれるんですか」
「ええ、もちろんです。あとはご自由に」
ミルに枝を丁寧に解いてもらって解放した。
ーーー
王宮には襲撃にあった事実と、約百名全員死亡したと報告した。
もちろん首謀者は不明とした。
「ローザフラウ様、これはちょっとまずいのでは?」
「でも自由にしていいとの約束ですから」
「…しかし。自由な身にはしますが、こう言う意味ではないと思いますよ」
「お役に立ちますので、絶対裏切りませんので!」
襲撃団の唯一の生き残り、コルさんが我が騎士団の仲間入りをした。
「お前なあ、俺はまだお前を信じていないから」
「すでにないはずの命、ローザフラウ様に捧げます。お任せください」
「だから〜。まあ、いい心がけだが。だんちょー、いいんですか〜」
「ローザ譲がいいと言うなら仕方あるまい」
「皆さん信じてあげましょう。大丈夫ですよねコルさん?」
「はい。ガンダルク公爵との戦いでもちゃんとやりますよ。正義はこちらにあります」
みんな呆れているが本人は本気だ。目がキラキラしている。
それからは襲撃もなく、順調に領内の清浄化を進められた。
ただ、「おおー、これはすごい、さすがローザフラウ様です。尊敬します、素晴らしいです」
コルさんの誉めすぎが辛い。
「お前、これで見るの何回目なんだよ。俺だって初めは驚いたがさすがにもう慣れたぞ」
「何を言うんですか、ローザフラウ様のこのスキル、魔力量、優しさ、美しさは王国一です」
「まあそうかもしれんが、すごいなお前の評価」
「だからもう褒めまくるんです」
「ありがとうございますコルさん」
そう言うしかないわね。でもコルさんが楽しそうだからいいわ。
ノル様が睨んでいるのが少し気になるけど。




