第28話 領内巡回の許可
2日目以降は、安全が確保できたと言うことでノル様は討伐に、私は領都で瘴気中毒の改善に力を注いだ。
重症者までは各家を回ったが軽症者はある程度一同に集めて一気に“身体の掃除”をした。
おかげで2週間ほどで領都の瘴気中毒はほぼ収まった。
「次の行動のためにも早く乗馬を上達しないといけませんね」
私は領内隅々まで回るための条件を満たすため、日々の乗馬訓練を再開した。
その様子を影から見ている人物がいた。
「…チッ」
その日の深夜、再び伝書便が王都に向けて放たれた。
数日後の朝、やっとこの子なら乗ることができると思っていた馬‘ハーニ‘が大怪我をしていた。
故意に傷つけられたようだと聞いた。
ハーニが可哀想で涙が出てしまう。それにこれでは私の出発がさらに遅れてしまう。
ノル様とシーバスさんが深刻な顔で話し合っている。
「手段を選ばない……」
「よっぽど困るんでしょう……」
ーーー
そんなある日、ベッカー商会の商会長さんベッカーさんと番頭さんが訪ねてきた。
私とノル様で対応する。
「番頭で商会長の娘のクリスです。父が大変お世話になりました」
「こちらこそ、瘴気中毒者の名簿作りではご協力ありがとうございました。今日はどうされましたか」
「こちらをご相談に来ました」
書類を広げると何やら見積もりが書かれている。
「ん、これは」
ノル様が少し驚いている。
「セレス村周辺の鉱石、その輸出計画です」
「いやしかしこれでは……」
ベッカーさんが微笑みながら
「さすが、一目でお分かりになりますか。ええ、かなり好条件かと」
「いや、商会に儲けがないだろう?」
「商会長さん、そうなのですか?」
「すべては、命あっての商売です。今はお礼をさせてください」
「これでセレス村の復興が一気に進むぞ」
「ありがとうございます」
「セレス村で集めた鉱石の引き取りや運搬、販売はこのクリスが責任を持ちます。復興作業の発注はぜひ我が商会に」
さすが、商会長さんだわ。
ーーー
商会長さん達が帰って残された私にノル様から提案があった。
「ローザ譲、次の討伐から同行を許そうと思う。ハーニは可哀想だったがそれ以外の馬にも一応乗れるはずだ」
「はい、同行します。ありがとうございます」
私は二つ返事でお願いした。
私はその日のうちに準備に取り掛かった。
いつでも出発できるようにしていたつもりだったが最終準備に2日ほどかかってしまった。
これまで数日間討伐を行っている今の場所はかなり魔物の数は減っているようだが、まだまだ危険だ。
それよりも瘴気の濃さが前回の東部より酷いのが問題なようだ。
私のスキルを活かすのにちょうどいいと思う。




