第23話 ファエルミナの秘密
「ああ、つまりますます可能性が高いと言う事だ」
「ノル様、どういう事ですか」
「うんローザ譲、フェルミナをみてどう思う」
「白くて美しい毛並みと目がクリクリで可愛い子だなあと」
「まあその通りなんだが」
ノル様が私たちの座るソファーの後ろに回り、2人の間に顔を出すような形になった。
(近いんですけど。横顔もカッコ良すぎます)
「ここからは3人だけの秘密だ。いいな。絶対に他言無用だ」
「「はい、わかりました」」
「よし。では…フェルミナは、もしかすると、神獣種かもしれん」
「「しんじゅうしゅ?」」
「神の使いだ」
はい?
私は目を見開いてフェルミナを見つめる。
「神獣種ですか?」
「そうだ。まだ可能性だが、それだけでも命が危ない。今後少し頭も隠そう」
「あの、実は」
フェルミナがさっきより大きく震えている。
「命の心配をしてくださるのでお話しします。おばあちゃんには絶対誰にも言うなと言われていたのだけど」
「ああ、私たちが外に漏らすことはない」
「はい、そう信じられるのでお話ししようと思いました。昔、私が村で忌避の毛色として爪弾きにされているときに、おばあちゃんがこっそり教えてくれたんです。実は私は忌避ところかフェンリルなんだって。でも時がくるまで絶対他人に言っちゃいけないって。いまがその時だと思いました」
「やはりそうか。ローザ譲、よく見つけて救い出したな。フェルミナ、その力でローザ譲を頼むぞ。もちろん我々もお前を全力で守ることを約束しよう」
「えー、困りました」
私は頭を抱えた。
「なんだ、どうした」
「実は、エルとミルも連れて領内を回る許可をいただくつもりでした。ハードルが上がっちゃいましたね」
「領内を、回る? それは以前しっかりした護衛を揃えた上でと言う条件付きで了解したつもりだが? まさかとは思うがローザ譲も魔獣討伐に出たい?……それはないよな。改めて何の許可を得たいのだ?」
「街だけでなく森や山も含め隅々まで回りたいのです」
「はは、なるほど、って許可する訳なかろう。今のメンバーでは街だけでもまだ許可できん」
「はい、でもアーナやコーネル、護衛隊の人たちなど総勢16人を考えていますよ」
「全然足りん。俺も行くぞ」
「ノル様は無理でしょう。討伐はどうするのです。なら騎士団から何人かお借りできますか」
ノル様が困った顔をしている。
「いやそれでもダメだ。騎士団から派遣はするが、合わせて1人で馬に乗れるようになってからにしてもらう」
「それは…私も必要だと思っています。ではまずは領都だけ行かせてください。水を綺麗にしてきます」
「それなら馬車でいけるな。護衛隊を除くメンバーと俺が行けばいいだろう」
(ノル様、どうしても行きたいんですね)
「はあ、それでお願いします」
「なんだ不満か?」
「いえ、あ、それと、水脈とその流れを知っている人がいると良いのですが」
「現時点で把握している者はいないが。水魔法のものを連れて行こう。おおよそ分かるはずだ」
「はい、よろしくお願いします」
「では明日行くぞ、今回の討伐は区切りがついたからな」
ーーー
「ローザ譲、出発するぞ」
「はい、ただいま参ります」
ノル様、朝から気合いが入っている。
時間前なのにもう準備万端で待ちきれないらしい。
「はい、お待たせしました。お早いですね」
「ああ、どんなことになるのか楽しみでな。水質を改善できるのはこの屋敷で証明済みだが、いや楽しみだ」
「ただ魔法をかけるだけで何もしませんよ。詠唱も動きもありません」
「そうか、まあ、それはそれでいいんだ」
なんだか周りの人たちが生温かい目で見ているんですけど?
「詠唱なしか」
「何か言いましたか?」
「いやなんでもない。早く行こう」
ノル様が馬車に乗せてくれた。
ああ、ノル様も今日は同じ馬車で行くのですね。
ちょっと大きめの馬車だけど、フェルミナとエルにミルそれとアーナ。
コーネルが馬で護衛しながら先導している。
御者を水魔法使いのトマスさんがしてくれている。
「6人も乗れるんですね」
「ああ、まあ普通は乗らんがな。今日は仕方あるまい。ここにいるメンバーに話しておきたいことがある」




