第22話 たくさんのお土産
ノル騎士団団長(=辺境伯)視点
ローザによるセレス村開放後、周囲に魔物が残っていないか最後の確認中だ。
「団長、これどうなっているんでしょう。ものすごい量です」
「ああ、もともとこの領地では多く見つかるが、これは異常だ。かるく100ほど持って帰ろう。ローザを驚かしたい」
「え、奥様を驚かす?じゃあみんなで拾おう!」
「「「おー!」」」
疲れているはずの騎士団員が一斉に拾いはじめた。なんか楽しそうだ。
「ダートウェル、なんでそんなに楽しそうなんだ?」
「みんな奥様の驚く顔が見たいんっす」
「そうなのか? なんでだ?」
「人気者っすから。優しい、美人、すげえスキルで魔獣追い払う。人気が出ない理由がないっす」
「ほお、俺の妻だが?」
ちょっとイラつく。
「それこれは別っすよ。それに正確にはローザフラウ様はまだ独身っす」
「命知らずな奴らだ」
俺は剣に手をかける。
「いや、だから誰もまだ手は出していないっすよ、今のところは」
ダートウェルが後退りながらなおも食い下がる。
「でも、いつまでも放っておくのは良くないっす」
「言われなくてもわかっている。わかっているが……ローザに……」
ーーー
ローザ視点に戻ります
今日も騎士団の皆さんが屋敷に戻ってくるので、ノル様に色々と許可を得ておきたい。
明日以降、領内の瘴気を清浄するため、私と侍従長のシーバス、護衛コーネル、侍女のアーナ、今回奴隷契約したフェルミナ、エル、ミル、護衛隊の10人の合計17人で領内を清浄化するために巡回し始めたい。
まずは領都キャトルレアの水質改善からだ。
「辺境騎士団ご帰還です」
私はみんなを出迎える。あれ、みんなニヤけてソワソワしてるような。
「ローザ嬢、みやげだ」
へ?なんでしょう。大きな袋。
「よし、ここで開けてみろ」
袋が床におかれた。
そっと開けてみると
「宝石ですか?」
「そうだ、実際は鉱石の一種スカイノ鉱だが青が澄んでいて綺麗だろ。王国内ではこの領地でしか産出しない」
「それはすごく貴重な物なのですね。それにしてもこの量は」
「道に落ちていた」
「え? そういう物なのですか?」
「いや、通常は鉱山でとれる。ローザ嬢が魔物を追い払った周辺で多く落ちている、これでもほんの一部だ。興味がわくだろう?」
「ええ、追い払う前からあったのでしょうか」
「誰も見た覚えがない。おそらく追い払った後に落ちてきた。それは全部渡すので自由に使え」
「自由に、ということは研究に使って良いのですね。やったー…ですわ」
「ははは、自由に研究してくれ、連れていけと言われると思ったぞ」
「ああ、そういえばそうですね、お願いします」
「団長、またお嬢と旅行したかったんすか」
「いや違うぞ、ダメだ、まだ危ないからな」
「魔物、1匹もいなかったっすよ」
ダートウェルさん、ナイス!
「ノル様、お願いします!」
「……ああ、わかった」
よかったわ。
でも騎士団のみんながちょっとがっかりしてるけど何?
「なんだ、奥様の驚く顔じゃなくて大喜びの顔じゃないか」
「まあいい、それはそれで奥様らしい」
「そうっすね、でもちょっと残念っす」
ーーー
その後はノル様に応接間にきてもらってフェルミナとエル、ミルの3人を紹介した。
今は軽く挨拶だけしてノル様が夕食がまだなので続きは食後にするつもり。
明日以降の領地を回る計画についてノル様に話さないとね。
ところがノル様がファルミナに話があるという。
「少し聞きたいことと確認があるんだ。2人だけ、いやローザ嬢もいいだろう、3人で話がしたい」
「は、はい。わかりました」
明らかにがっくりしている。耳が垂れてるからすぐわかるわ。
「大丈夫よ」
フェルミナに声をかけて3人で旦那様の執務室に移った。
ドアには鍵をかけてくれないか。
「はい、今かけますね」
私が内側から鍵をかける。
ノル様が正面、私が対面で、その後ろにフェルミナが立つという配置で3人がソファーに集まった。
「フェルミナ、今だけでもソファーに座ってくれ」
ノル様に言われて私の横に控えめに座った。
「フェルミナ、先ほどこれまでの経緯を聞いたが、毛色以外に仲間と違う点はないか」
「毛色以外…ちょっと足が早くて、ちょっと力が強くて、ちょっと耳が良くて、ちょっと鼻が効いて、私だけ火と氷の二系統魔法が使えました」
「あと瞳が金色だが」
「それも私だけです」
フェルミナが震えている。
「ノル様、それがどうかしたのですか」
私が我慢できずに問いかけた。




