第18話 予想外の嵐
そこからさらに数時間ほどかけて騎士団の駐留する現場にやってきた。
馬車は時間がかかるわね。私も乗馬を習わないと。
道中は定期的に空気を清浄化してきたので魔獣とは出会わなかった。
見張の人に声をかける。
「ローザフラウです。騎士団長に合わせて下さい」
「は、え、ローザフラウ様? ちょと、いえ少々お待ちを」
しばらくするとワイワイ声がしてきた。
「……ははは、こんな所まで来るわけないだろう。って、ローザ嬢。お前たち何しにきたのだ。ここは遊びに来る場所じゃない。なんで連れてきたんだ。アーナ!」
「申し訳ありません。でも奥様すごいんですよ。やることやりましょう。その後でお話は聞きます」
「なんだと」
「ノル団長様。お怒りごもっともですが村人の命が危ないと聞いていてもたってもいられませんでした。まずは全体が見渡せる場所に連れて行ってください。お願いします」
「何をするつもりだ」
「できるかはやってみないとわかりませんが魔物を追い払います。相手の魔物はなんですか」
「基本オークだ。だがオークファイターも多く含まれていて手間取っている。オークジェネラルもいるようだ」
(ふんふん。よくわからないけど、空気清浄でいける気がする)
「全体を見渡せる高台はありますか」
「こちらです」
騎士の1人が案内してくれる。
「おい」
「団長、任せてみましょう。どうせ集落の周辺は手も足も出ないんですから」
「……行くぞ」
ーーー
私は櫓に案内された。
戦況が膠着している中で監視用に作られたものらしい。
「確かに小さい村が見えますね。で、どこにオークは居るのですか」
「はい、現在は村の周りと、残念ながら中にも入り込んでいます」
「住民の人たちは?」
「一部逃げられましたが、現状どれほど生き残っているかわかりません。しかし全滅はしていないと思われます。人質という観念があるかわかりませんか、そのような扱いをされています。オークキング並みの知能があると考えています」
「なるほど、生存者がいるなら、やるだけやります」
再び強力に魔法を練り上げる。
「お願い私の魔法、1人でも多くの人を助けて」
意識を頭の先から足の先までのエネルギーを手に集めるイメージを繰り返す。
手の先が少しあつい。こんな経験は初めてかも。
「空気を、見渡す限りの空気をどうか綺麗にして! 空気清浄!私の魔法、お願い!!」
(ビュワーっ!)
大きな音と共に櫓を中心に強い風が渦巻きながら吹き荒れる。
(ギシ、ギシシッ!)
櫓が大きく揺れて壊れそう。
あ、これはかなりやばいかも。
(せめて村には被害出ませんように!)
そんな私の気持ちとは無関係にコントロールを失った強風が村に向けて移動していった……。




