第17話 道中の魔物
私とアーナ、館にいた護衛ができる10人の警備兵の総勢12人で出発した。
多すぎると思ったが、旦那様に怒られるレベルの少なさだそうだ。
私とアーナは馬車で、他は馬で向かう。
アーナが馬車を操る。
途中では食事や最低限必要な休憩以外は一気に現地へ向かう。
出発から数時間後の昼過ぎ、急に馬車が減速し停車した。
御者台からアーナが慌てて中に逃げ込んできた。
「奥様、魔物が出ました。今護衛たちが迎え撃っています。みんな強いから大丈夫ですからね」
「どんな魔物が出てきたの」
「…それが、オーガです。ちょっと強いですね」
そういったものの声が震えている。
アーナ、嘘ね。明らかに涙目よ。
「アーナ、オーガってもの凄く強いのね」
「いえ、団長様なら瞬殺です」
「じゃあ私が出ます」
「は? いえダメです。死んじゃいますよ」
「たぶん大丈夫。ちょっと清浄するだけだから」
いつもより強力に広く魔法を展開するため少し時間をかけて魔法を練り上げる。
「穢れも清浄化したいの。お願い私の魔法!空気清浄強力に」
普段出さない声も出しながら。
「アーナ戸を開けて!」
「はい!!」
「空気清浄、私のまほう、お願いだから頑張って!」
一体に嵐のような風が吹く、でも埃は全く舞わない。
道を進むにつれ徐々に淀んできていたためあまり気づかなかったが、実は淀み重かった空気が一気に澄んでいく。
先程まで見えなかった夕日まではっきりと見える。
あ、あれがオーガなのね。デカいわ。ノル様あれを瞬殺なの。
突然、オーガが動きを止めた。
眩しそうに顔を覆い、何度も周囲を見回している。
先ほどまでの勢いが嘘のように消えていた。
やがて一歩、また一歩と後ずさりし、そのまま森の奥へと撤退していく。
「追わないで、1人の犠牲も出したくないわ。今のうちに行くわよ」
再び移動を始める。
ここからは御者も護衛の人に変わる。
アーナも馬車内で私と過ごす。
「奥様、なぜ清浄でオーガが撤収すると思ったのですか?」
「これは仮説なのだけど、おそらく魔獣や魔物は瘴気がないと活動が制限されるわ。場合によっては活動できないかも。これから騎士団のいる場所に行くのも同じ理由よ。今回のオーガとのことでより確信を持ったわ」
「でも奥様、今試すまで奥様の空気清浄化の魔法が本当に魔物に効くかわからなかったのに」
「そこはまあ、当たって砕けろね」
「砕けなくてよかったです」




