幕間 侯爵邸での出来事
ローザフラウの実家での出来事です。
いじめの場面がありますので気分を害される可能性がある方はこの話を読み飛ばしてください。
「ローザフラウおじょう・さ・ま、早く掃除と洗濯を終わらないと、また食事が抜きになりますよ」
また侍女たちに突っかかられている。いつものことでもう慣れた。
「すみません。もうすぐ終わりますので」
「きゃはは、さすが清掃スキルです。私たちも助かってます。プフフっ。あ、旦那様」
「ああ、そのままで。ローザ、まだ終わっていないのか。清掃のスキルを活かさせてやっているのに。相変わらず役立たずな娘だ」
「申し訳ありませんお父様」
「こんなやつはいい、お前たち仕事はもう終わったんだろ?妻の誕生日を一緒に祝ってくれ。ご馳走が準備できてるぞ。さあ行こう」
「はーい。お嬢様も早くいらしてくださいね」
「何を言う。ローザは仕事がまだ他にもあるだろう。お前は来なくていい」
「はい」
「ふん、ほらお前たち行くぞ」
(ちょっと屋敷掃除でスキルを色々試しすぎたかしら。早く洗濯終わらせてしまいましょう)
実は清掃スキルで掃除も洗濯も素早くできてしまう。
ただ普通にやってもつまらない、だから色々実験しながら作業しているが今日は実験に夢中で遅くなり怒られてしまった。
魔法を発動しようとしたその時、
「お嬢様」
侍女たちの中で唯一味方をしてくれるミリーが声をかけてきた。
「ミリー、早くいかないと怒られるわよ」
「大丈夫ですお嬢様。お仕事を任せてしまい申し訳ありません。あとで料理はこっそり部屋まで運んでおきます。なんでお嬢様だけお呼ばれしないのでしょう」
「私は役立たずだから。いつもありがとう、ミリー」
「いえ。あ、では失礼しますお嬢様」
ミリーはみんなを追いかけて走っていった。
(さあ、私は洗濯をしてしまいましょう)
私はスキルを発動して洗濯を始めた。
「ミリー、ローザフラウと何を話していたんだ」
「それが旦那さまあ・・・」
「……なんだと役立たずのくせに」
「私が話したのは内緒にしてくださいませ」
「大丈夫だわかっている」
ーーー
「お嬢様申し訳ありません」
ミリーが私の部屋に顔を出してくれた。
「料理を持ってこようとしたらバレてしまって。あとで旦那様にお嬢様が怒られてしまいます」
申し訳なさそうに頭を下げる。
「いいのよミリー。いつもありがとう」
私は怒られる覚悟を決めた。
ーーー
「ローザ、出てきなさい」
「はい」
部屋の外からお父様に声をかけられた。
「お前が料理を部屋に持ってこいとミリーに命じたんだな。ミリーは断ったそうじゃないか。それでも持ってこいと言ったそうだな。お前だけパーティに呼ばれないのも文句があるのか」
「そんな、私は役立たずですから、そんなことは思っていません」
「嘘をつけ。お仕置きとして今日と明日は食事抜きだ」
「えっ」
ミリーが後ろで申し訳なさそうに頭を下げている。
(いいのよ、ミリー)
もうこれ以上、他人に迷惑はかけられないわ。
ーーー
辺境伯領への出発当日
兄のアーキリムと侍女のミリーだけが馬車を見送ってくれた。
「ローザ、達者でな。この結婚を覆すことができず本当に申し訳ない」
「お兄様、私は役立たずでしたので仕方ありません。今までありがとうございました」
兄は道中でのことを頼むために御者と護衛騎士に声をかけにいった。
「ミリーも今までありがとう。あなただけが味方だったわ」
「ふふふ、悲しいですわ。貴方でもう遊べないかと思うと」
「なあに?」
「いい加減気づいてほしいわ。冥土のみやげに教えておきます。ある事ない事旦那様に言っていたのも私、掃除道具部屋に住まわせるのを旦那様に初めに提案したのも私」
「ミリー?」
「あ、このこと、アーキリム様に言ったら今度はアーキリム様が酷い目に遭いますから」
「……」
「ではさようなら」
ミリーが私を馬車に押し込む。
「ローザ、もう乗り込んだのか。確かにもう出発時間だな。道中気をつけて。それと、最後まで本邸に戻してやれずすまなかった。俺の力不足だ」
「いえ、その方が気楽でしたから。ではお兄様もお元気で」
馬車が出発する。ミリーが涙を流して手を振っている。あれが演技なのね。すごいわ。




