第14話 領都キャトルレアの夜明け
私たちは街の中心、噴水広場に来ていた。
「では始めます。広い範囲に空気清浄を広げるため少し風が吹きます」
(空気清浄、私の魔力少し頑張って!)
いつもより魔力を練り上げる感じで力を体内で回していく。
「空気清浄常時発動!」
思ったより私の周りに強い、強力な風が吹き荒れる。
「あ、ちょっとやばいかも」
アーナが風で飛ばされ倒れそうになるのをノル様とダートウェルさんが守る。
コーネルは地面に伏せて耐えている。
私は魔力を少し上空へ持ち上げる。
すると風の勢いは弱まり上空から舞い降りるように空気の清浄が進んでいく。
「申し訳ありません。今までの実験ではこんなにも風が吹いたことがなかったのですが魔力を込めすぎたかもしれません」
「ホントすげえっす。絶対手放しちゃダメっすね」
そうね、ダートウェルさん。私1人を放っておいたら街に被害が出かねないものね。
「ローザ嬢、少し驚いたが周りの家に被害も出なかった。それにかなり広い範囲に清浄化が行き渡ったようだ。それはありがたい。だが、ローザ嬢の魔力は大丈夫なのか?」
「はいノル様、魔力はまだまだ大丈夫です。常時発動としていますが、効果の検証をしたいです」
「先ほどから言う常時発動とはなんだ?」
「はい!」
アーナが手をあげる。
「屋敷も空気清浄と浄水が勝手に綺麗になり続けています。奥様は平気らしいのですが心配で心配で」
「なんだそれは。なぜ魔力が尽きないのだ?」
「魔力量だけは多いのでお気になさらず。そんなことより、どのくらいの範囲に効果があったかをまず確認しましょう」
「そんなこと……か」
「奥様の魔力量は王族並みだそうです」
アーナが耳打ちする。
「アーナ、元王族の俺が知ってる限り、王族もあんなに魔力があるものはいない」
「は? それって」
「ああ、ここにいるものだけの秘密だ。他言無用だぞ。侍女長のメアリーにも言うな」
「はい」
ーーー
魔法の効果範囲の確認のため空気を確認しながら移動している。
さっき私を除いた4人で話し合いがあった。多分私の魔法発動時の風対策だろう。
「これはすごいな、この街は小さいとはいえかなりの面積だ。その街の外まで魔法が届いている」
「はい、追加の魔法は不要ですね。さすが私の奥様です。フンスっ!」
「ホント、どこまでも予想の斜め上行ってるっす」
「……」
みんな褒めすぎよ。コーネルはさすがね、落ち着いているわ。
「でもこれは私も驚きました。予想より少し広く効果があったようです」
「少しなのか」
ノル様が何か呟いてガックリしている。
なんかごめんなさい。
瘴気の晴れた領都キャトルレアには久し振りに強い日差しが差し込んだ。
後の歴史書ではこの日のことを「キャトルレアの夜明け」と呼ぶことになる。
ーーー
ノル団長(=辺境伯)視点
魔法発動後、俺はアーナと他の2人を加えて話し合いを持った。
「いいか、今回のローザの魔力量については全員他言無用だ。彼女が再び命を狙われかねない。ここに来る際、命を狙われたのも何か関係あるかもしれん」
「団長、いや旦那様、ローザフラウ嬢は絶対手放しちゃダメっす。彼女のためにも、この領地のためにも」
「ああ、手放すつもりは初めからない」
「「へえー」」
ダートウェルとアーナがジト目で見てきた。なんでだ?
「今後も命を狙われるのでは?」
「ああ、コーネルその通りだ。護衛の件、さらに注意を怠るな。頼むぞ」
「はい、全力で。奥様は日々驚きの連続ですが、今日はその素晴らしさに声も出ませんでした」
「本人は無自覚だ。それも頭が痛い」
「それは…全くその通りですね」
「「「「はあ」」」」
4人で同時に大きなため息をついた。
『お願い』
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この後幕間を挟んで第2章に入っていきます。
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