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ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
第7章 王都とクロノスとベルゼの罪

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第91話 …………ごめん……………ごめんよ…………


-王都ルティユシア-


「ベルゼ…ベルゼ…!」

「お願い…!死んじゃダメ…!」

意識がない。

しがみついてない。

ダランとしてる…

ホントに危ない…!


ベルゼを背負って急いで街の外を目指した。


それなのに……――


「いたぞ!!魔族だ!!」

「!?」


気付けば、騎士に囲まれてしまった。


「……どいて!!そこをどいて!!」

イリアが騎士たちに向かって叫ぶ。


「あんたたちのせいで…ベルゼが危ないんだよ!!!」


「その背中の坊主か?」

騎士がベルゼに目をやる。


「…死んでんだろ」

「死んでない!!」

イリアが首を振り、必死に否定する。


「……いつもいつも魔族ってだけで差別して…こんな時にまで邪魔ばっかして…」

「あんたたち………一体何なのよ!!!」

イリアが喉が張り裂けそうなほど叫ぶ。



「うるせえな」

「ルーカス様から命令が出ている。抵抗するなら容赦するな!」

「はい!!」

騎士が一斉にイリアの方へ向かう。


「!!?」

このままじゃ…ベルゼが…


誰か…

誰か来て!!


イリアは目をぎゅっと閉じた。



その時だった――



ブシュウウウウウウウウウウウウウ!!

シュシュシュシュシュ!!


ガアアアアアアアアアアア!


「わあああああああ!!」

「……え……?」

イリアが目を開くと、騎士たちや蒸気装甲車が次々と吹き飛ばされる光景が見えた。


巨大な車体が騎士たちを押しのけ、轟音を響かせながら突っ込んでくる。

「!?が、ガラクタ丸……!?」



キキーーーー!!

ガラクタ丸がイリアの前で停まる。


「イリア!!!」

「イリアちゃん!!」

エリーネが運転席から、ラグネスはベランダの手すりを掴まりながら叫んでいた。


「エリーネ!!ラグネスさん!!」

「さっさと乗りなさい!!」

「ベルゼが…!!ベルゼが!!!」

「!!?」

イリアの背中には真っ赤に染まり、力なく背負わされているベルゼ。


「イリアちゃん!!待ってなさい!!」


バッ!!

ラグネスがベランダから飛び降りる。


ダンッ!!

石畳に着地した音が辺りに響く。


「こっちよ!!早く!!」

「はい!!」

イリアはラグネスの元に駆け寄る。


ラグネスはイリアからベルゼを受け取り、担ぎ上げる。


二人は急いでガラクタ丸に駆け上がった。


「乗ったわ!!出て!!」

「掴まって!!全速力で行くわよ!!」


ブシュウウウウウウウウウウウウウ!!

シュシュシュシュシュ!!

ガラクタ丸が激しい蒸気音を鳴らす。


「ま、待て!!」

騎士が追いかけようとした。


「おい!!蒸気車は!!?」

「ダメです!!さっきの衝撃で動きません!!」

「くそ!!」


ガラクタ丸は轟音を響かせながら、城下街を去っていった。


-ガラクタ丸 ベルゼの部屋-


「ベルゼ!!ベルゼ!!」

「落ち着きなさい!イリア」

エリーネがイリアを抑えていた。


「ラグネスさん!!お願い!!ベルゼを…ベルゼを助けて!!」

「…」


ベッドに横たわるベルゼ。


呼吸は感じられない。

顔色は青白く、ぴくりとも動かない。


「………」

「二人とも、部屋から出て貰える?」

「嫌です!!アタシも一緒にいます!!」

「何もできないでしょ!?」

「出来なくてもいるんです!!アタシのせいでベルゼが!!」



「……イリアちゃん……落ち着きなさい」

「でも!!アタシのせいでベルゼが……!!」

「イリアちゃん!!!」

「!!??」

ラグネスは怒号をあげる。


「あんたに今、出来る事なんてあるの?」

「……ありません……でも……せめて……一緒に……」

「……」

ラグネスは黙る。


「…あんたの出来る事は…ベルゼちゃんが起きた時に元気な顔を見せる事」

「…そうじゃないの?」

「……!?」

イリアはラグネスの顔を見る。


「……ベルゼちゃんの事は任せて」

…………

コク………


「…………エリーネちゃん。イリアちゃんをよろしくね」

「……………任せて」

エリーネの声が震えている。


バタン…


「…」

「ベルゼちゃん…」






「あんたもう逃げられないわよ…」

ベルゼをじっと見ながら呟く。



-ガラクタ丸 ベルゼの部屋-


「……とりあえず、これでいいわね」

ラグネスはベルゼに付いていた血をふき取り終えた。


ガチャ…


「あら、エリーネちゃん」

「…」

「何青白い顔してんのよ」

「さっきは…イリアがごめんなさい」

「…いいのよ。あの子は?」

「泣き疲れて寝てるわ…」

「そう…」



「あの…」

「ん?」


「……回復魔法は……?」

エリーネはベルゼを見ていた。


回復魔法なら傷はふさがっているはず。

しかし、今のベルゼは血は拭き取られているが、傷はそのままだった。


「……あたしの魔法はね、生きてる人にしか効かないのよ……」

「!!??」

エリーネは目を見開き、口を抑える。


「……じゃ、じゃあ……ベルゼは…」




「本当に……もう…だめ…なの…?」




「本当に……本当に……」




「………死んじゃ………ってる………の………?」

エリーネの体が震える。


「………」


「どうして…………」

「どうして何も言わないのよ…………」


涙があふれる。


「お願い…………」

「受け止め…………きれないの………」

「答えて………」

「ラグネスさん………」

エリーネは床にへたり込んでしまう。



「………」

ラグネスは無言のまま、壁に掛けられた時計に目をやった。



「エリーネちゃん………」


「…………?」


「………そろそろよ」

「…………え?」

エリーネがラグネスの言葉を聞いた、その瞬間だった。



パアアアアア!!


「!!?」

「…………」


ベルゼの身体が突如浮き、強い光に包まれる。


ベルゼの身体にあった傷がゆっくりとふさがっていく。


ベルゼの身に何が起きているのか、エリーネには理解できなかった。


どれくらいの時間が経ったのか。


光はおさまり、ベルゼの身体はベッドへゆっくりと降りた


「うぅ………」

「!!??」


ベルゼが起き上がる。


「………え………嘘………」

口に手を当てているエリーネ。


「べ………ベルゼ………?」

エリーネは震える足でゆっくりとベルゼに近づく。


「………エリーネか」

頭を抑えながら、エリーネを見る。


「……………ここは?」

辺りを見回す。


「ガラクタ丸よベルゼ!帰ってきたのよ!」

「帰って………きた…………?」

「そうか………俺………あん時………」


「……………クロ………」

ベルゼが俯いてしまう。


「ベルゼ……?」

エリーネが顔を覗き込む。





「!!?」

ベルゼの目から涙があふれていた。


「ベルゼ!!」

エリーネがベルゼに触れようとする。


「エリーネちゃん!」

「!?」

ラグネスが止める。


「エリーネちゃん…」

「ここは任してちょうだい」

「で、でも…」

「お願い」

「この子のためなの………対処は分かるから……安心して」


「…分かったわ」


部屋を出る。




「…………ごめん……………ごめんよ…………」




「………クロ………」





「………………サラ…………!」


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