↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
第7章 王都とクロノスとベルゼの罪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/92

第89話 全部……捨てる



-王都ルティユシア城 玉座の間-


ブシュッ!!

ワイヤーが射出。

先端にはフックが付いている。


「……」

クロノスは横に躱す。


クロノスの背後にある椅子にひっかける。


ベルゼがワイヤーを一気に巻き取る。

椅子が自分側へ引き寄せられる。

その勢いのまま、振り回すようにクロノスへ叩きつけた。


「……下らねえ」

クロノスが手をかざす。

空中で止める。


「やああああああ!!!」

「!!?」

イリアがレンチをレイピアに変形。


突きが迫る。

椅子を止めていたせいで反応が遅れる。



「ぐっ!」

レイピアが頬を切る。


「…やっぱりな」

「お前に効かねえ魔法潰し…なんざ」

「ハッタリ…だったな」

「…お前の位置は…範囲外ってだけだ」

「なら…イリアもそこに行けば…魔法が使える」

「…単純な話だ」


「くっ!」

クロノスが体勢を立て直す。


「まだ!」


イリアが距離を詰める。


「邪魔だ!!小娘!!!」

「!!?」

クロノスはイリアに向けて蹴り上げる。

「くっ!!」

レイピアで蹴りをガードする。


「あああ!!」

しかし、勢いを殺せず、そのまま後方へ吹っ飛ぶ。


「……!!」

空中でクルっと回り、体勢を整えるイリア。


スタッ!

受け身をとる。


「あたれ!!」

両手を床に触れ、魔力を流す。


床の一部がクロノスに向かって、槍状に高速で伸びる。


「!?」

クロノスの頬を再びかすめる。


クロノスが体勢を崩した。


イリアは再び距離を詰める。


「小娘が!!」

右手をかざし、イリアの時を止める。


その瞬間、ベルゼも距離を詰める。


「…スキ…ありだ…!」


ブレイクギアの出力を上げる。

ブシュウウウウウウウウウウ!!


「イリアを止めて……いる以上……お前は…俺にそれが出来ねえ」


ベルゼがクロノスに殴りかかる。


「………甘いな」

左手をベルゼにかざす。


「!!?」


ベルゼの動きが急激に鈍くなる。

(ほぼ止まってる!?)

(……こいつ……ここまで………)


「俺が何も修業を積んでいないと思っていたのか?」

「あのころと違うんだよ」





「それは…………俺たちも………だ」


「!!?」


ドゴン!!


突如、クロノスの足元の床が斜め方向へ突き出す。

クロノスは前方向に吹っ飛ぶ。


「がぁ!!!」


「あれ!?」

「どうなったの!?」

イリアにかけられた停止魔法が解除される。


「………ナイスだイリア」




「くっ!!」

クロノスは体勢を立て直す。


「……もう終わりだ、クロノス」

傍にベルゼが立っていた。

クロノスが吹き飛んだことで、魔法が解除されていた。


「ここは魔法潰しの……範囲内だ……ここじゃ魔法は……使えねえだろ」

「ぐっ!」


「……なぜ……あんな小娘が……あんな高等技術を……!?」

クロノスは驚愕していた。


「あいつは毎日、魔法で精密……加工してたからな……嫌でも魔法制御力は上がるんだ」

「床を槍状に変化させる魔法も、時間差…発動、そしてそれらを同時に放つ技術……」

「……今のあいつなら…出来るんだよ」


「…お前は……俺…しか見てなかった」

「…」

「…イリアを…舐めるな……」


「あいつは…俺の」




「信頼できる仲間だ」

「!!」

イリアがベルゼを見て目を見開く。


「…クロノス」


「…降参しろ」

「…降参だと!?」


「二度と俺の仲間に関わるな」

「…」

「もう一つ…」

「…?」

「魔族への差別を辞めろ」

「!?」

「今の魔族……いや、もうあの時代の…人間はいねえんだ………」

「……この時代の……人間を恨んでも意味ねえ…」

「…もう俺だけだ…」

「…俺だけを恨め」





「お前が……望むなら」




「今の仲間……から離れる」

「蒸気機関…も機械も全部……捨てる」


「ベルゼ!?何を!?」

「イリア……すまねえ…黙ってくれ…」

ベルゼは唇を噛みしめる。


「そんな…」


「…今更かもしれ……ねえが……もう一度……罪と向き合う」

「…頼む…」


「…」

「…」





「ふふふ…」





「甘くなったな!ベルゼ!!」

左手をかざす。


「!!?」

ベルゼの動きが再び急激に鈍くなる。


「な!!魔法…潰しが…効いてねえ!?」


「…さっき言っただろ?」

「確かに、ここは範囲内だ」

「だが」



「俺の魔法だけは関係ねえんだよ!!」

「!!?」

「ハッタリだと思ったか?めでてえ奴だな!!」


「ちくしょう…!」


「……さて、お前は見てろ……あの女を殺すところをな…」


「!?」

「イリア!!逃げ…ろ!!」


「………あんたを置いていけるわけないでしょ!!」

イリアが再びレイピアを構える。


「ダメ…‥だ!!お前じゃ…敵わねえ!!」


「…美しい友情ですねイリアさん…」

にっこりと笑いかける。


「よっぽど、あなたが大事みたいですよ?」

笑いながらゆっくりイリアに近づく。


「………羨ましいの?」

イリアは不敵に笑いながら、クロノスに尋ねる。



「……………はい?」

「あいつはいつだって助けてくれた…………」

「……………」

「今のあんたにはいないでしょ?」

「ベルゼみたいに、こんな風に助けてくれる人」

「……………」

「あんたとあいつに何があったかは知らないよ」

「………でもね…………」





「アタシ達の仲間を馬鹿にしないで!!」

「…!…イリア…」

ベルゼの目頭が熱くなる。


「………小娘が………」

「下手に出てりゃ調子に乗りやがって………!」

クロノスの額に青筋が浮く。


「………もういい」

「………てめえに用はねえ……」

そう言ってクロノスはナイフを構える。



「イリ…ア!!頼む!!逃……げろ……!!俺の事は……いい!!逃げ…てくれ!!」


「…だから出来ないってば!!」


イリアが距離を詰める。


「…威勢の割には頭が悪い小娘だ」

右手を出し、イリアの時間を止める。


「や、やめろ…!!殺すなら……俺を殺せ……!!」


「……………お前馬鹿か?」

「お前を殺しても意味無いんだよ」

「………………お前の大切な物」

「………………これからもぶっ壊してやるよ」

「ははははははははは!!」

クロノスが高笑いする。


「クロ……ノス……!!」

ベルゼの視界がゆがむ。


「さて、まずはどこを切りつけてやろうか…?」

クロノスはイリアの前に立つ。



くそ!!

くそくそ!!


頼む!!

誰か…誰か助けてくれ!!



俺はどうなっても良い!!




イリアを…………

イリアを助けてくれ!!!!






…………………………頼む!







…………………………サラ!!!







「!!?」

身体が軽い!!

解除された!?


なんでだ!!?


いや!!


そんなこと考えてる場合じゃねえ!!

ワイヤーも間に合わねえ!!



どうする!!?


その時だった――



ブシュウウウ!!

「!?」

出力を抑えたはずのブレイクギアが破裂寸前まで加圧していた。


右腕をクロノスと反対方向に向ける。

限界を超えたブレイクギアを、さらに最高速で加圧。


次の瞬間――


ドゴォォォン!!


爆発。

衝撃で床が砕ける。


ベルゼの身体が砲弾のようにクロノスへ吹っ飛ぶ。


ドガアン!!

二人の体が激突する。


「ぐあああ!!」

「ぐっ!!」


「!??ベルゼ!!」

イリアにかけられた停止魔法が解除される。


「イリ…ア…!」

「!!」

イリアはダッシュでベルゼの元へ。

そこは魔法潰しの範囲外。


「逃がすか!!」

手をかざす。


しかしその瞬間、二人を守るように壁が突き上がる。

「!!?」


「ベルゼ!」

「…じょ…上出来だ…外だ…壁を…」


「分かった!!」


壁に手をかけ、破壊。


イリアはベルゼを抱えて、外へ脱出する。


「………」

「ルーカス様!!ご無事ですか!?」

「なにやら激しい音が………いったい………!!?」

騎士が入ってくる。


「………客人の魔族とその仲間だが………」

「もういい」

「!!」

「見つけ次第捕らえろ」


「抵抗すれば殺せ」


「承知いたしました!!」


騎士は伝令のため駆けていった。


「……………もう一度罪と向き合うだと?」


ドゴン!!

壁を殴り、破壊する。


「…………こんなもんじゃねえぞ」

「…………てめえの罪はよ」


クロノスはイリアが空けた穴から外を眺めた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。