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ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
第7章 王都とクロノスとベルゼの罪

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第86話 頼りにしてるぜ


-荒野-


3人を乗せたガラクタ丸は荒野を走る。

運転はエリーネに任せていた。

ベルゼは運転席の隣に立っていた。


二人から少し離れたところに、ラグネスは腕を組んで壁にもたれかかっていた。


「ルティユシアってさ…」

「ああ。王都ルティユシア…………騎士様の本拠地だな」


「まさか、そんなところにあたしが向かうなんてね」

ラグネスがぼやく。


「ああ。だが、俺たちには危害を加えないよう、騎士に伝えてるらしい……そうだよな?」

「ええ……イリアを連れていくとき、ワタシ達に危害は加えないって言ってたわ……」

「………ずいぶんなVIP対応だな。こんな魔族と犯罪者共に」

「………」

エリーネの口数がいつもよりも少なかった。


「エリーネ」

「な、なによ」

「…怖いか?」

「な、何言ってんのよ!!そんな訳ないじゃない!!」

前を向いたまま、返事をするエリーネ。


「そっか…頼りになる」

「え…?」





「俺は…怖い」

「!!?」

エリーネは目を見開いた。


「今から会う相手は俺と因縁のあるやつなんだ」

「………正直、かなりビビってるぜ………」


…わずかに、ベルゼの手が再び震える。


「あいつがまさか生きてたなんてな………そら、こうもなるか………」


(………くそ。近づくにつれてまた震えてやがる…情けねえ……)


キキー!

ガラクタ丸は停止した。


「エリーネ?どした?」

不思議そうにエリーネの顔を覗き込んだ。


「ベルゼ」

パシッ!!


「!!」

エリーネがベルゼの震える手を握る。



「………大丈夫よワタシ達がいる」

「エリーネ………」

「あんたは大船に乗った気持ちで、イリアを連れて帰って来なさい!」


「………ああ」

「頼りにしてるぜ」



「相棒!」



「!!」

「任せなさい!!」


「この子………やるじゃないの………」

ラグネスは少し離れたところで二人をそっと見守る。



-王都ルティユシア 城下町 正門-



「………ルーカス様の客人か」

「客人…………ねぇ………」

ベルゼは正門の騎士と話すためにベランダに立っていた。


「通れ」

「こいつも入れて良いのか?」

ガラクタ丸を指す。


「……その蒸気車を通すことは許さん」

「そうか…」

ベルゼはそう言い、運転室にいったん戻った。


「二人とも、悪いがここまでだ……待っててくれるか?」


「はぁ……何言ってんのよ……当然でしょ」

拳を突き出すエリーネ。


「二人が帰ってくるの、待ってるわよ!」

ウィンクするラグネス。


「………イリアの事は任せろ………必ず連れて帰る」

「………あんたも無事にね」


コツン……

二人は拳を突き合わせる。


「………行ってくる」

ベルゼは運転室からベランダに出る。



ダッ!!

スタッ!!


ベルゼはガラクタ丸から飛び降り、石畳に着地した。


スッ…


ブレイクギアを装着。

ベルトをいつも以上にきつく締める。


「……フゥ………」

静かに息を吐く。


「……約束は守れよ。こいつらの分もな」

ベルゼが騎士に忠告する。


「ルーカス様には魔族だろうと何だろうと手を出すなと言われている」

「………通れ」


「………よし」

ベルゼは城へまっすぐ向かう。


「………ベルゼ」

エリーネは運転室から出た。

城に向かって城下町を歩くベルゼ。

エリーネは、その後ろ姿をじっと見つめていた。


「……あいつなら大丈夫よ。イリアちゃんと一緒に絶対に帰ってくるわ」

「……ええ」

エリーネは声を絞り出して返事をする。


-王都ルティユシア城 客室-


「zzzzzうへええ………もう食べられないよ………」

「zzzzzzz…ん‥‥」

イリアが起き上がる。


「んーーー!!よく寝たぁ!」

「…………って、あれ?」

「ここどこ?」

辺りを見回すと全く見覚えのない部屋。


壁や天井には豪華な装飾が施されている。


「!!そうだ………アタシ………あの後、眠らされて………」

その時だった――


「イリア様」

入ってきたのは騎士だった。


「!!??」

身構えるイリア。


「ご安心ください。危害を加えません」

「………え?」

「お食事をご用意いたしました」

「………何………?」


カラカラと運ばれる料理。

今まで食べたことのないような豪華な食事だ。


「それではごゆっくり」


バタン…



「え………?何これ………?」

背筋がぞっとする。


運ばれた料理を見つめる。


「毒はないよね………?」


ぐうううううう………


「……………………」












「いただきます」



パクッ

「あ、美味しい」

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