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ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
第7章 王都とクロノスとベルゼの罪

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第83話 …………クロノス


-ガラクタ丸 工房-



「…」

あー…

言っちまったな…

昨日の夜…


「…」

まぁ、これで逃げられなくなった…


あとは話すタイミングだな…

それにどうやっても長くなるから、まとめねえと…


…


手が震えている


「…ったく」

「情けねえな…」


そんな自分に嫌気がさす。


その時だった。


「ベルゼちゃん、入るわよ」

「…ラグネスか」

珍しく工房にラグネスが入ってきた。


「…さっきイリアちゃんとエリーネちゃんが訪ねてきたわ」

「『ベルゼ、どうしたんですか?』って」

「…まぁ、話したいことがあるって言ったからな、それで気になってんだろ」

「…気持ち悪がってたわよ…あの二人」

「…何でだよ」

「あんた、急に真面目な顔したらしいじゃない……あたしだって気味悪いわよ。そんな場面出くわしたら」

「……ひどくね?」

ちょっと凹むベルゼ。


「……ってか、あんたの体質の事だけ言えば良いんじゃないの?」

「……そういう訳にもいかねえだろ」

ベルゼは目を伏せながら、答える。


「この体質の事を話せば、あのことも話さなきゃならねえ」

「じゃねえと納得できねえだろ」

……ベルゼの手が震える……



「……普段は超無神経の癖に……こういう時だけは律儀よねえあんた」

「…うるせえな」

「それにしても…」

「ん?」


「あのエリーネって子、良い子じゃない。イリアちゃんといい勝負よ」

「…まぁ、そうかもな」

「あら、珍しく否定しないのね」

「…そうか?」

「昔のあんたなら『どうだっていいだろ』って冷たくあしらってたわよ」

「…そうだっけ?」

「そうよ…」


「まぁ、あいつも蒸気機関と機械が好きだからな。話が合うんだよ」

「その中でイリアが訳わかんなそうに聞いてたり」

「質問してくることもあるな」


「…仲いいのね」

「…」

「…あんたは不安かもしれないけど」

「悪い兆候じゃない」

「…もうわかってんでしょ?」

「…」

ベルゼは顔を背ける。

わずかに耳も赤くなってるように見える。


「ラグネス」

「なによ」

「…ありがとな」





「おぉぉおおえええええええええ…………………!!」

「だからなんでそんな反応なんだよ!!」

「気持ち悪いのよ!!あたしより!!!」

「マジでお前より上なのかよ!!?」


そんな馬鹿な話をしている時だった。


――ドタドタドタ!!

バァン!!


激しい足音が聞こえた。

工房の扉が勢いよく開く。


「はぁ…はぁ…」

「え、エリーネ??」


激しく息切れを起こしている。

顔が真っ赤で汗もかいている。


「…ベル…ゴホッ!ゴホッ!!」

「!?大丈夫か!?」

急いで駆け寄る。


「ワタシの…事なんか…より…」

「落ち着け。まずは息を整えろ」

「おちついて…なんか…」

エリーネは必死に何かを伝えようとする。


「息が切れたまま喋られても分かんねえ」

「まずはお前の事だ」

「…」

エリーネは息を整える。


「スゥ…はぁ…」

ようやく落ち着いたようだ。


「いったいどうしたんだ?そんなに慌てて」

「…イリアが…」

「…イリア?」

(そういや、イリアがいねえ……)

ベルゼは工房の出入り口に目をやる。


「……イリアは?」

「……連れてかれた……」

「…………は?」


「連れてかれたのよ!!騎士に!!」

「!!?」

ベルゼは目を見開く。


(騎士が……この街に!?イリアを追ってか!??)


「……本当なのか?」

「こんな馬鹿な冗談ある訳ないでしょ!!」

「………」

(…クソ…!まさか、連中がこの街に来てやがるなんて…)


「…あんたにも伝言があるわ…」

「伝言?」

「…ルーカス王から…」

「!?」

ベルゼは顔をしかめる。


(しかも、ルーカス王って…王都ルティユシアか?)

(…………なんで国王が俺なんかを?)


「イリアを連れて帰るなら必ず一人で来るように…」

「そう言ってたわ…」

「…?」

(どういうことだ?)

(騎士の本拠地じゃねえか。なんでそんなことを?)


「…名前…」

「…?」

エリーネ…?


「…この名前を出せば意味が分かるって言ってたわ…」

「…名前?」




「…………クロノス」


「…………っ!!??」





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