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ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
第7章 王都とクロノスとベルゼの罪

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第82話 来たらぶっ殺すわよ!!!


-バー 店内-


「イリアちゃん!2番テーブルお願い!」

「はい!」

「エリーネちゃん!笑顔が硬いわ!ソフトよソフト!!」

「…………」

「エリーネ?」



「何してんのワタシ!??」

フリフリの衣装を身にまとい、店内で叫ぶエリーネ。


-数時間前-


「お店の手伝いは助かるけど、特訓はなしよ」

「え!?」

「今のあんたは色んな相手と戦って経験を積むこと。私ばっか相手にしてたら、変な癖ついちゃうわ」

「そ、そうですか…」

「だから…励みなさい。それでもっと強くなったら、今度は手合わせお願いするわ」

「!!…はい!」


「で、そこの小娘」

エリーネを指さす。


「わ、ワタシ!?」

「あんた、名前は?」

「え………エリーネです………」

「ふむ」

エリーネを見渡すラグネス。


「うん。ちんちくりんだけど良いじゃない」

「ち………ちんちくりん………」

「イリアちゃん」

「はい?」

「この子もいいかしら?」

「もちろん!」












「…………え?ワタシの選択権は?」


-そして現在-


「はぁあああ………」

椅子にぐったりするエリーネ。

「あんたと同じ反応してるわね。イリアちゃん」

「まぁ最初は大変ですからね…」


「もう無理もう無理もう無理もう無理もう無理……………」

虚ろな目でぶつぶつ言っているエリーネ。


「……あんたの時よりダメージ受けてるわこの子……」

「ははは……」


「エリーネ、大丈夫?」

「あんま大丈夫じゃないわね……接客業なんて初めてよ……」

「ごめん」

「え?」

「アタシが無理に誘っちゃったのがダメだったね」

「誘ったっていうか、強制だけどね」

「エリーネ、可愛いから、きっと向いてるかなって思ったんだけど……」


「………」


「仕方ないわね!」

「!?」

「明日もあるんでしょ!付き合ってあげる!感謝なさい!」


「うん!!」

ぱぁっとイリアの顔が明るくなる。


「エリーネちゃん……あんた、意外と苦労人ね……」


「そういえば、アイツは?」

「ベルゼちゃんは別の仕事してもらってるわ」

「別の仕事?」

「この店の設備の点検してもらってるわ」

「……ワタシもそっちが良かったかも……」

「いつもは娘にやってもらってたんだけど」

「そっか…シャロンさん、今は旅に出てるんですもんね」

「ええ。ま、あの子の事だから心配ないけどね」


「イリア」

「どしたの?エリーネ」

「シャロンさんって?」

「ラグネスさんのお子さんでアタシの友達だよ」

「!!?」

「アンタの…友達!?」

「うん!あとベルゼの弟子って言ってたなぁ」

「!!?」

「あいつの…弟子!?」


「うん。アタシの今の戦い方のヒントをくれた人でもあるんだ」

「…」

「エリーネ?」


「…負けてられないわ」

「!!?」

「いくらキャラポジが被ってても!」

「イリアの友達としても、あいつの弟子としても!」

「絶対に負けないわよ!!」

エリーネの目に炎が宿り、背後にもメラメラと炎が燃え上がる。



「いや、それ何の戦いよ…」

呆れるラグネス。




-バー 設備室-


「…」


今見てたけど、あんま問題ねえな。

まぁ、この前からそんなに経ってねえから、こんなもんか。


それに

多分、シャロンが最後見てるなこれ。


…あいつどうしてっかなぁ…?


…最近、エリーネと比べちまうことがあるが

やっぱタイプ違うな。


シャロンは俺と同じ、現場たたき上げだが

エリーネはまず、理論から入るからな。


頭使う仕事してたから、当然ちゃあ当然だが…


「くくく」


昔のシャロンも理屈っぽいとこがあったな。

そういう意味だとエリーネに少し似てるな。


だが、タイプが全然違うから、おもしれえもんだ。


「あれ…?俺、育てるの、結構好きなのか?」


今までは機械に関係あるから良いと思ってたが


こうやって、比較して、育つ姿を見るのも良いのかもしれねえ………



「………気持ち悪っ!」

「やめだやめだ!」

必死に頭を振る。



-ガラクタ丸 リビング-


「帰ったぞー」

「おかえりー」

「………」


「うぉ!見事に死んでるな」

「うっさいわね…」

「どうする?明日は俺に付くか?」

「え!?」

目を輝かせるエリーネ。


「………やめとくわ」

すぐ伏せるエリーネ。


「お、珍しいな」

「明日もこの子と一緒に仕事するわ」

「エリーネ。無理しなくても…」

心配そうにするイリア。


「無理じゃないわ」

「………ワタシがあんたと一緒にいたいのよ………」

「………察しなさい」

顔を伏せるエリーネ。

耳が赤くなっている。


「エリーネ………」


「お前…いつか身を滅ぼすぞ………」

「………あの子の顔見てたらそんなことも言えないわよ………」

「………」

「めっちゃ納得してるわね」

「………うるせえ」


「そういえばベルゼ」

「ん?どした?イリア」

「ベルゼって明日はどうしてるの?」

「別に壊れたところねえし、明日は工房でなにかいじってるかな」

「あ、それならお店に来てよ!」

「!!??」

エリーネがガバっと起きる。


「え、いや、俺、あそこで働きたくないんだけど」

「そうじゃなくて、お客さん!」

「………ああ………」

「ラグネスさんも寂しがってたよ?」

「いや、あの………お前は良いの?」

「何が?」

「あの恰好、俺に見られるんだぞ?」

「…………??なんで?可愛いじゃん」

「………え?」

固まるベルゼとエリーネ。


「まぁ………お前がそう言うなら――」

「ダメ!!」

エリーネが割って入る。


「絶対に来るんじゃないわよ!!」

「来たらぶっ殺すわよ!!!」


「え、エリーネ………?」

目を見開いてエリーネを見るイリア。

ふぅふぅと息が荒いエリーネ。


「お、おう、分かったよ」

結構引いてるベルゼ。


「俺、ちょっと工房に行ってるわ」

「はいはい」


ドアの前で立ち止まる。


「イリア、エリーネ」

「なに?」

「なによ?」


「…」

「近いうちに話したいことがある」

「?」


「…」


「今はまだ話せねえが」

「そん時は聞いてくれるか?」


「当たり前でしょ?」

「当然よ」



「…わりいな」


ベルゼは工房へ向かった。


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