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ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
第7章 王都とクロノスとベルゼの罪

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第81話 「ありがとな」 「…」



-バー 地下訓練場-


「っ!?」

ラグネスが飛び起きる。

いつやられたのか、まるで覚えてない。


「よっ!起きたか」

そばにはベルゼが座っていた。

服はところどころ破けて、傷だらけだった。


「…今回はイケると思ったのに…」

ラグネスがぼやく。


「まだまだ甘えな」

くくくと笑うベルゼ。


「ま、パワーは相変わらず俺より上だな」

「戦い方も上手くなってる」

「だが」


「ここはまだ俺の方が上だな」


ペシペシ

ベルゼは自分の二の腕を叩く。


「相変わらずバケモンみたいな強さね…」

「…実際バケモンだしな俺」

「そういう意味じゃないわよ…」

呆れるラグネス。


「ラグネス」

ベルゼはまっすぐ前を見据えながら、ラグネスを呼ぶ。


「何よ」




「ありがとな」

「…」






「!!??!???!???」

ラグネスがものすごい勢いでベルゼを見た。

その表情は目が飛び出そうなくらい驚愕していた。


「何だよその反応!」


「気持ち悪!!え!!?なにあんた!!??」

ラグネスは両腕を抱える。

抱えた腕に鳥肌が立ってる。


「素直にお礼言えたの!!!??!?」

「お前まで俺を何だと思ってんだよ!!」



「え?超絶頑固バカ」

「…」

「運が良かったな………ブレイクギアがあったらここぶっ壊してたぞ」

額に青筋を立てるベルゼ。


「ブレイクギア?」

「いつも右手に付けてるやつだよ」

「あれ、そんな名前だったの?」

「…イリアが付けた」


「…何だ…あんたが付けたにしてはマシだと思ったのに」

「俺の『ぶん殴り手袋』も良かったんだけどな…」

その瞬間、ベルゼの口角が上がり、顎に手をあてる。


「…」

白い目でベルゼを見るラグネス。


「何だよ?」

「あんた…相変わらずなのね…」

「?」


「で、どう?答え、出せた?」

ラグネスが話題を変えて本題を切り出す。


「さぁな」

そっけない返事。

だが、先ほど思い悩んでいた表情とは少し違う。

眉間のしわが消えていた。


「……あら?思ったより、効果あったみたいね」

その様子にラグネスはホッと胸をなでおろす。


「でも…あいつらにも話すべきだよな…」

天井を見上げながら答えるベルゼ。


「…」


「今はまだ出来ねえけど…」

「…根性なし」

「うるせえ」


「でも、それで良いんじゃない」

「少なくとも」

「さっきよりマシな顔してるわよ。あんた」


「…お前のおかげだ」







「おえええええええ…!!!!!」

吐き気を催すラグネス。


「!?」


「もうやめて!!アタシより気持ち悪いことしないで!!」

「お前以上!!!??」


-バー 店内-


「たっだいまあああ!!」

「おかえりイリスちゃん」

「よぉ」

ベルゼはカウンター席に座っていた。

ちなみに、ボロボロになった服は着替えている。


ラグネスはカウンターの向こうでグラスを拭いていた。


「あ!!お兄ちゃん」

ギュッ

イリスがベルゼに抱き着く。


「イリス、元気だったか?」

「うん!お兄ちゃん、もう怪我は良いの?」

「…ああ。ラグネスに治してもらった」

「よかったぁ!」

ニコニコ笑うイリス。


「ベルゼ」

「イリアか」

イリアが近づく。


「腕は?」

「…この通り」

袖をまくって右腕を見せる。


「…良かった」

目に涙を溜めるイリア。


「全く…無茶し過ぎなのよあんたは」

「エリーネか」

「…何よ…今気づいたみたいな反応して」


「…」


「ベルゼ?どうしたの?」

「また何かあったのかしら?」






「悪かったな心配かけて」



「「!!??!???!???」」

イリアとエリーネの顔が青くなる。


「お前らもかよ!!」


「あんたが素直になるなんて気持ち悪いのよ!!」

エリーネが叫ぶ。


「ひどくねえか!?」


「まぁ、日頃の行いって大事だよね」

イリアがぼやく。


「やっぱひでえ!!」


「ベルゼちゃん…あんた、ずいぶんとキャラ変わったわね…」

ふふと笑うラグネスだった。


「怪我治ったから、もう行っちゃうの?」

イリスが不安そうに聞く。


「…いや、俺は少しここに居ようと思ってんだけど、二人はどうだ?」

「アタシは良いよ!お店の手伝いも、ラグネスさんに特訓付き合ってもらいたいし」

「ワタシも構わないわ」

「よし、ラグネス、また世話になるが、構わないか?」

「遠慮してんじゃないわよ。いつも勝手に決めてる癖に」

「それもそうか」

くくくと笑う。


「あ、そうだ」

「どした?イリア」

「ちょっと待ってて。イリスちゃん」

「うん!」


イリスとイリアはバーの外へ。


戻ってきたかと思うと、イリスは両手で春美月の花束を握っていた。


「!!?」

「はい!もう元気になっちゃったけど、これお花!」

イリスがベルゼに手渡す。


「…すごいな…」

花束を受け取ったベルゼは、自然と口元を緩めた。

そして、その花をじっと優しく見つめる。


「へへ!このお花ってね、元気になってって言ってるんだって!」

「…花言葉か」

「うん!」

「ありがとなイリス」

イリスの頭を撫でる。

「へへへ!」


「…」

「…」

「…」

3人は、まるで珍獣でも現れたかのような目でベルゼを見ていた。


「…何だよ…」

3人をにらむベルゼ。


「……ベルゼちゃん」

「……あんたって」

「……花似合わない」



「…似合ってたまるかよ…」

「??」

イリスがキョトンとしている。



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