第77話 覚悟しとけ
-ガラクタ丸 運転室-
ポオオオオオオ!!
シュシュシュシュ!!
マイエルに向かって荒野を走るガラクタ丸。
運転席にはエリーネが座っていた。
「………もう大丈夫そうだな」
ベルゼが窓の景色を見て、呟く。
「え!?」
エリーネは前を見ながら目を見開く。
「見てて何も問題ねえ。運転はもう一人で任せても良いな」
「…………それじゃあ!」
「ああ。独り立ちだな」
キキッ!!
ガラクタ丸を止める。
「っ!!」
エリーネはガッツポーズを取る。
「……ずいぶんと嬉しそうじゃねえか」
「やっと………認められたから………」
「?」
首を傾げるベルゼ。
「あんたによ!」
「……運転だけだぞ?」
「それでも……良いのよ」
「……そか」
ベルゼの口元が緩む。
「エリーネ」
ベルゼは真剣なまなざしをエリーネに向ける。
「な、なによ」
「知ってると思うが、俺たちは世間じゃ犯罪者だ」
「まぁ一応ね」
「場合によっちゃ、俺とイリアだけで街に潜り込むこともある」
「…………」
エリーネは静かに聞く。
「そん時、ガラクタ丸を守れるのはお前だけだ」
「!!」
「相棒を、頼む」
「………」
ドンッ!!
「任せなさい!」
エリーネは胸に手をあてて応える。
-ガラクタ丸 リビング-
「ふふーん♪♪」
鼻歌を歌いながらお茶を飲むエリーネ。
「エリーネ、なんか嬉しそうだね」
「え!?そ、そうかしら!?」
「うん。鼻歌も聞こえちゃった」
「…」
ボンっ!
「ああ!!ごめん!」
「いや………良いのよ………」
「良い事あったの?」
「………やっと認められたのよ。あいつに」
「ベルゼに?」
「ええ。運転、任せてくれるようになったわ」
「そうなんだ!良かったね!エリーネ!」
「………ええ」
「やっとあんた達の役に立てるわ………」
「………?」
「いや、あんたまで、なにその表情!?」
「エリーネって………結構役に立ってたと思うよ?」
「そ、そうかしら………?」
「た、例えば………?」
「………」
「………」
「…………………あれ?」
「………………………もういいわ…………」
肩を落とすエリーネ。
-工房-
「………」
エリーネが使えるようになった。
思いのほか、早かったな。
まぁ、あいつはなんだかんだで良い腕してるからな。
仕組みとコツさえ掴めばこいつは動かせる…
………いや………
違うだろ………
なんであいつの事、物みたいに扱ってるんだ?
ん?
あいつはただの従業員だろ??
……あれ?
俺って……
どんなんだっけ……?
「……」
「ま、いっか」
「もう少しでマイエルだ」
「あいつに会えば分かるだろ」
………
運転は……
「任せても良いか……」
せっかくだ。
そのほうがあいつも喜ぶだろ。
「…………あれ?」
-マイエル 広場-
「よし。ついたな」
「ここがマイエル………けっこう都会的ね」
エリーネは運転席からマイエルの景色を見ていた。
石畳が敷き詰められ、街の至るところに蒸気機関が備えた建物があっちこっちに見える。
「最初来たとき、ビックリしたよ」
「………そういや、イリアは自分で自分の村をド田舎って言ってたわね…」
「うん。こことは正反対」
「エリーネ」
「なに?」
「今からラグネスに会う」
「ええ。その人が回復魔法を使える人よね?」
「ああ」
「覚悟しとけ」
「…え?」
「最初はビックリすると思うけど、すっごく良い人だから」
すかさずイリアも忠告する。
「………え?……え?え??」
三人はガラクタ丸を後にした。
―バーラグネス前―
「……バー??」
エリーネがキョトンとしている。
「ああ。ここの店主なんだよ。そのラグネスは」
「……あんた、ここ変な店じゃないでしょうね??」
「…………」
「なんで黙ってるのよ!!」
「………変ではあるから……」
「変ではあるの!!??」
「大丈夫だ」
「え?」
「合法な店だここは」
「そうじゃなきゃ困るのよ!!」
「アタシたちは犯罪者だけどねー」
「ま、とりあえず、入るぞ」
「え……ええ」
「?緊張してる?エリーネ」
「……こういうお店、入るの初めてなのよ………」
「別に変な店ではあるが、怪しい店じゃねえ。安心しろ」
「……分かったわ」
エリーネはイリアの後ろに隠れながら入る。
「あら……ごめんなさいねぇ。ウチは夜からなの……」
「よっ!ラグネス」
ベルゼが片手をひょいっと上げる。
「あらああああああ!!!ベルゼちゃんにイリアちゃんじゃないの!!!」
ドドドドドドドドド!!!
ピンクの髪をした屈強なオカマがものすごい勢いで三人めがけて突っ込んでくる。
「!!??!??!!??」
エリーネの目が飛び出そうなほど見開く。




