第75話 …また心配かけたいの?
-洞窟手前-
「思ったより近かったな」
「ほ、ホントにここに入るの?」
足がすくむエリーネ。
「大丈夫だよ。多分、そこまで深くなさそう」
イリアが優しく微笑みかける。
「洞窟なんて初めてだけど…こんなに暗いのね…」
「ああ。十分注意しろ」
ガス灯を用意し、火を付ける。
「お前ら、俺から離れるなよ」
「了解!」
「わかったわ…」
洞窟に入っていく3人。
ガス灯の明かりが、洞窟内をぼんやり照らしていく。
-洞窟内部-
ピチャン…
ピチャン…
水滴が落ちる音が響き渡る。
3人は洞窟の奥へと進んでいた。
「…ちょっと寒いわね」
エリーネが寒気を感じる。
「あ、上着貸すよ」
「そしたらお前が冷えるだろ。ちょっと待ってろ」
イリアを制し、リュックから荷物を取り出す。
「ほれ。これ羽織ってろ」
「…ありがとう」
ガス灯のせいか、頬が赤く見える。
「洞窟は冷えるからな。次からは上着羽織ってけ」
「…そうするわ…」
「え?次あるの?」
「あるだろ?」
「まぁ、そのうち?」
ケロッとしてる二人。
「何しに行くのよ…」
「最近はやってねえけど、鉱石掘ってたりしたな」
「…鉱石?」
「おう。加工して部品にしてたんよ」
「アタシは洞窟探検とかしてたから、慣れてるだけだよ」
「…」
「あんたら、かなりのアウトドア派なのね…」
「俺は節約のためだけどな」
「…節約?」
「実際に素材買ったら金がかかるからな。なら自分で掘って加工すりゃほとんどタダだろ?」
「…あんた、鉱石の知識あるの?」
「機械に使えるもん限定だけどな」
「…ワタシも覚えないといけないかしら?」
「お前はやめとけ。最悪、死ぬぞ」
「…そうね…」
「え?洞窟探検、楽しくない?」
「ワタシはあんた達がいないとキツイわ…」
「じゃあ、今度一緒に潜ろうよ!」
満面の笑みでエリーネを誘う。
「あ、次が出来たわ」
「良かったじゃねえか」
「…」
「ふふ!楽しみだなー!」
「…今気づいたけど」
「んぁ?」
「ワタシとイリアって真逆なのね…」
「だから仲いいんだろ?」
「…」
「それによ」
「なによ?」
「お前だって自分の好きなもん、イリアに話してたろ?」
「…」
「イリアなら大丈夫だ。ちょっと付き合ってやれ」
「…そうね」
ふふっと笑うエリーネ。
「ベルゼ!エリーネ!」
「どうした?」
「ここ、光ってる」
「…ああ。これ、アーネルド鉱石だな」
「珍しいの?」
イリアがベルゼに尋ねる。
「いや、割とどこでもあるやつだな」
「昔はこれを加工して明かりにしてたもんだな」
「へぇ…」
「でも、この淡い感じが綺麗ね…」
「そうだね。なんか安心する…」
「ん?欲しいか?」
「何言ってんのよ。掘り出す道具なんて…」
ドゴン!
「ほれ」
ブレイクギアで殴って鉱石を掘る。
「…」
「…」
「どした?」
「あんたって想像通りだけど…」
「ベルゼって」
「「ロマンがない」」
「!!??」
「何言ってんだ!?」
「機械や蒸気機関にはロマン感じるぞ俺は!」
「そこじゃない!」
「それとこれとは別よ!!」
「…っていうかベルゼ」
「な、なんだよ」
イリアの声に少し圧を感じる。
「ブレイクギア使ったら、やけど悪化しちゃうでしょ!」
「大丈夫だ」
「え?」
「左手だ」
「え」
「左手用もあるんだよ」
「出力弱いから普段は使ってねえけどな」
「ワイヤーもスパイクもねえ、ただ殴るだけのもんだが、ないよりマシだろ」
「…」
「エリーネ…」
「…分かったわ」
「?」
ガシ!
「!!?」
イリアがベルゼを羽交い締めにする。
「お、お前ら!何するんだよ!!」
「ジッとしてなさい!それ外すから!」
「問題ねえよ。出力弱くてやけどすらしねえって」
「いいから!」
「…何なんだよ…」
劣化版ブレイクギア、強制解除。
「ったく…問題ねえのに…」
「…ベルゼ」
「…んだよ」
エリーネがイリアに聞こえないよう呟く。
「ワタシにイリアの気持ち察しろって言うなら、あんたもイリアの気持ち察しなさい」
「あ?」
「…また心配かけたいの?」
「…」
「分かった?」
「…ああ」
その後も奥へと進む3人だった。




