第74話 ……あのベルゼが……
-ガラクタ丸 リビング-
「ちょっとあんた!!」
「んぁ?」
ベルゼの右腕の包帯を見て驚くエリーネ。
「その右腕どうしたの!?」
「まぁちょっとな」
「…もしかして…」
「??」
「ワタシが正座させてたせい…?」
「…はい??」
…なんでそうなる??
正座でどうやって腕負傷すんだよ…
「ごめんなさい…」
「傷つけるつもりはなかったの…」
「ホントにごめんなさい!!」
「…………」
(…………こいつ………本気だ………)
「え…いや…その…」
「なんていうか…俺こそ…何か…悪い」
…もう謝る事しか出来ねえ…
「ねぇエリーネ、ベルゼ」
「な、なにかしら?」
「今からマイエルに戻ろう」
「マイエル?」
「…俺ならもう」
「ダメ」
「…」
「…?あんたたち、何があったの?」
「ベルゼ、右腕に酷いやけどしてるの」
「!?」
「マイエルにはすごい回復魔法が使える魔族の人がいるから」
「なるほど。その人に治してもらうってことね」
「うん。それに」
「?」
「エリーネの事、皆に紹介したい」
「!!」
顔が赤くなる。
「…まぁ、それもありだな」
「もちろん、エリーネにも皆の事、紹介したいんだ」
「イリア…」
「どう?マイエルに向かわない?」
「そうだな…いいぜ」
「!!」
イリアの顔がパァっと明るくなる。
「半年ぶりか。ずいぶん早いな」
「…あんた、全然帰ってないのね」
呆れるエリーネ。
「別に故郷とかでもねえし」
「でも、皆がベルゼの事待ってるんでしょ?」
イリアが問う。
「…」
「もう少し帰ろうよ」
「別にいいだろ」
「?」
「お前がいりゃ、頻度上がるだろ」
「…あんたら夫婦みたいね…」
エリーネの言葉にイリアがふふっと笑う。
「そういや俺も…ラグネスに用がある」
「そうなの?」
「ああ。ちょっとな」
「??」
「イリア…」
「なに??」
「アイツが頼るってラグネス…さんってどんな人…?」
「…」
難色を示す。
「え?イリア?」
「まぁ、会えばわかるよ」
「え?」
「そのほうが衝撃すごいから」
「…ちょっと会うの怖いんだけど…」
「悪い人じゃないよ。あ、それと」
「?」
「アタシとベルゼの師匠」
「…!!?」
「戦い方のね」
「あんた達が強い理由って…そういう事だったのね…」
「っていうか…」
「師匠ってことは、あんた達より強いってことよね…?」
「うん。アタシなんてまだまだだよ…」
「ワタシから見れば、あんたも十分強いわよ」
「そうかな?そうだと良いんだけど…」
「……まず騎士に対抗できる時点で相当だからね?」
「ああ……だが、その前に」
「?」
「爺さんに謝りに行く」
「え?」
「なんで?」
「…焼け野原にしちまったから…」
「…」
「…」
「あんたも反省するのね…」
「毎回思うんだけどよ…」
「俺を何だと思ってんだよお前ら」
-ハウラ 広場-
「…ってことですまねえ」
「あんたがせっかく教えてくれたのに」
「焼け野原にしちまった」
ベルゼが老人に頭を下げる。
「…」
黙る老人。
(さすがに怒ってるか?)
「ぶっ!」
「ふぉおおおおおほほほほほほほ」
「!?」
「お主、なかなか面白い男じゃのう!」
「あ、ああ?」
「まぁ、キングビーが出てきてしもうた時点で、食い尽くされておったじゃろう」
「気にするでない」
「…助かる」
「じゃが、綺麗じゃったろう?」
「ああ。だが、俺しか見てねえんだ」
「そうなのか?」
「ああ…」
「…こんなこと言えるような立場じゃねえが」
「?」
「他にもあるか?花畑」
「別に同じもんじゃなくてもいい」
「…」
「いや、なんでもねえ。忘れてくれ…」
「ここから南西かのう…」
「は?」
「行ってみなさい」
「洞窟の中にある」
「…わりいな」
「ふぉふぉふぉ」
「今度は燃やすでないぞ」
「…ああ」
「……極力……」
「何で自信ないのじゃ…」
-ガラクタ丸 リビング-
「すまねえ。マイエルに戻る前に行きてえところがある」
「…何言ってるの?」
「そうよ。腕の治療が先でしょ?」
「腕は大丈夫だ。まだ持つ。それより、行きてえところがある」
「まだって……酷いやけどだったんだから――」
「…だめか?」
イリアの反論にベルゼが割って入る。
「「!?」」
(……あのベルゼが……)
(頼み込んでる……!?)
イリアとエリーネが顔を見合わせる。
「…はぁ…仕方ないなぁ」
「どこよ?」
「ここから南西にある洞窟だ」
「なにかあるの?」
「…なんでもいいだろ」
「あんたさ…自分の都合で変えてんだから理由くらい教えなさいよ」
…言い返せねえ…
「…花畑…」
「え?」
「お前ら…見てねえだろ」
「「…」」
「な、何だよ…」
「「何か…」」
「「気持ち悪い…」」
「…」
「やっぱなしな」
「ごめんなさいね…」
くくくと笑うエリーネ。
「拗ねないでよ」
ちょっと焦ってるイリア。
「拗ねてねえ」
拗ねるベルゼ。
「ベルゼって…」
「なんだよ」
「ちゃんと、年下だったんだね」
「…は?」
「今まで大人っぽい感じだったから忘れてたけど、そういえばアタシより年下だったね」
「…」
「っていうか、あんたっていくつなのよ」
「…いくつだったっけ?」
「あんた…おっさんじゃないんだから…」
呆れるエリーネ。
「いや…待て…ガチでいくつだ俺…?」
少しだけ焦るベルゼ。
「16でしょ」
覚えていたイリア。
「…そうだっけ?」
「前に教えてくれたじゃん」
「…そういやイリアは俺より上か」
「そそ。18だよ」
「じゃあ、この中じゃワタシが一番上なのね」
「え?」
「え?」
「『え?』ってなによ!!なんで二人して『何言ってんだこいつ?』って顔してんのよ!!」
「…いや、そのなりでこの中じゃ年長者って無理があるだろ」
誰がどう見ても、この中で一番幼く見えるのはエリーネだ。
「うっさいわね!!」
「いくつなの?」
「……………21よ」
「「!!!???!?!??」」
ベルゼとイリアが驚愕する。
「何よ!その反応!!?」
「…嘘だろ…マジで最年長かよ…………」
ベルゼはエリーネの姿をまじまじと見る。
「エリーネって…アタシより上だったんだ………」




