第73話 ………ごめんな
-ガラクタ丸 リビング-
「………」
「………」
リビングにはベルゼとエリーネ。
そして、ベルゼは正座させられていた。
右腕は袖で隠している。
「…………あんたさ」
「………」
「何しに行ったんだっけ?」
「…………春美月、摘みに」
「で、その春美月は?」
「………」
「………」
「焼け野原にしちまった」
「わり」
真面目な顔で手でスマンのジェスチャー。
「………あんたさ、花も摘めないの?」
「………虫は詰んだぜ」
「………」
「………」
ピキ
「ぶっ殺すわよ?」
「わり」
ガチャ。
「………なにしてるの?」
「イリア!もう体は大丈夫なの!?」
「うん。まだだるいけど」
(あと、背中もちょっと痛い)
(寝たふりずっとしてたから…)
「良かったわ………あ、お茶入れるわね。魔力切れに効くらしいのよ」
「ありがとう……で、ベルゼはどうしたの?」
正座させられているベルゼを見る。
「気にしなくていいわよ」
「………」
「?」
「あとで殺すから」
「!!??」
「!!??」
「え?エリーネ?」
「花畑に行ったのよ」
「え………うん」
(さっき聞いたから知ってる…)
「その花の茎と根が魔力切れに効くっていうんで摘んで来ようとしたのよ」
「………あと、ワタシに………」
ぼそっと言う。
「エリーネ?」
「あ、いや………何でもないわ!」
「??」
「なのにこいつ、モンスターを排除したんだけど、やりすぎたのよ」
「やり過ぎたって……?」
「焼け野原にしちまった」
「………え?焼け野原……?」
「いやぁ、やっちまったわ」
「今死ぬ?」
「わりぃって」
「……ワタシも見たかったのに……」
「そっか……今度皆で見に行こうよ」
「……いえ、そいつは置いていきましょうよ」
「え?」
「また焼かれるわよ?」
エリーネの忠告。
「……」
イリアの白い目。
「おい、何だその目は」
「信用されて無いのよあんたは」
「ひでえな!!」
「自分のしたこと理解してる!?」
「安心しろ」
「え?」
「もう二度とやらん」
「信用できると思う?」
「ああ、男に二言は無いぜ」
「信用できないって言ってんのよ!」
「……ふふ」
「イリア?」
「ごめんごめん。なんか、二人とも相棒って感じがする」
「やめてよ。こいつの相棒なんて死んでもごめんよ」
「お前、技術以外だと俺の扱い辛辣だな」
「ちょっと……羨ましいな……」
「??」
「??」
「あ、いや、アタシ、技術者じゃないからさ」
「二人の話、分かんなくて……」
「二人がガラクタ丸や機械の事で話してるの見てて」
「ちょっと寂しかったの」
「……」
「……」
「イリア……」
エリーネはそっと手を握る。
「え、エリーネ?」
「ワタシに教えて」
「??」
「あなたの好きな物」
「え?」
「今思えばワタシ、自分の事ばかり話してたわ」
「だけど……それは違うのよね」
「……ごめんなさい」
「エリーネ……」
「だから今度はワタシの番」
「あなたの好きな事、教えて頂戴」
「……うん!」
「で、俺……いつまでこうしてれば良い?」
「明日の朝まで」
「あと半日!!??」
「安心なさい」
「……は?」
「ご飯は出してあげる」
「………」
「………何よ?」
「……はっ!」
軽く笑うベルゼ。
「オチが弱え。まだまだ甘えな」
「………………」
「………………」
「明日の夕方までよそれ」
「!!??」
-数時間後 ガラクタ丸 リビング-
部屋にはベルゼとイリア。
エリーネは自室に戻っている。
「……」
「……」
「ねぇ……ベルゼ……」
「何だよ……」
「律儀にやらなくても良いんじゃない?正座」
「……お前……さっきのあいつが冗談言ってるように見えたか?」
「……」
「……」
「真面目だねぇ……」
「……流石にやり過ぎたからな……あいつがキレんのも無理はねえ」
「……ただよ」
「??」
「あいつ、オートナイツの時よりキレてね?」
「それは思った」
「まぁ、お前の事が心配だったんだろうよ」
「…………」
(………多分、それだけじゃないんだろうな……)
「………?」
首を傾げるイリア。
「ねぇ」
「んぁ?どした?」
「右腕、どうかした?」
「………」
黙るベルゼ。
額には冷や汗。
「なんでだ?」
「いや………何か………違和感?」
「………何もねえよ」
「ねえ?」
「何だよ……」
「見せて?」
「だから何も………」
「………見せて」
「………」
動かないベルゼ。
「………」
右腕に手を伸ばすイリア。
「っつ!!」
「!!??」
「大丈夫!?ごめん!!」
「悪い……分かったから離れてくれ」
「う、うん」
離れるイリア。
「っ、いって……!!」
ゆっくり袖を捲くる。
「!!??」
そこには焼けどでただれた右腕。
以前のオートナイツとの戦闘を終えた時よりもずっと酷い…
ダッ!!
「お、おい!!」
イリアはベルゼを引っ張って流しまで連れていく。
水で冷やす。
ジャアアアアアア。
「いっ!!!」
「我慢して!!」
「っ!!!」
「ごめん……ごめんね……」
しばらく冷水にかけ続ける。
-リビング-
「……って」
「……もうちょっとだから我慢して」
腕に軟膏を塗っている。
「これくらい……」
「大丈夫じゃない」
「じっとしてて」
「……」
大人しく治療を受ける。
軟膏を塗った後、ガーゼを貼り、包帯を巻いていく。
「はい。ひとまずこれで終わり」
「……悪い」
ベルゼは包帯を巻かれた腕を見る。
「一応言っとくけど、これ、あくまで応急処置だからね」
「………分かってるよ……」
左手で頭を掻くベルゼ。
「………で」
「??」
「なんでこうなったの?」
「……キングビーが出たって話したろ?」
「うん」
「あいつら追い払うために、出力ぶち上げたアタッチメントで排除した」
「………は?」
「まぁ、やり過ぎて花畑焼けちまったんだけどな」
「………」
「………イリア?」
ポロポロポロ
「!?」
「無理しないでって言ったじゃん……」
「え………いや………」
「一人じゃないって言ったじゃん………」
「………」
「頼ってよ……」
「……」
「仲間でしょ!」
「……」
「もう……こんな無茶しないで……」
「こんなことしてたら……いつかホントに死んじゃうよ……」
「……誰かが死ぬのは……もう……嫌なの……」
「………ごめんな」
ベルゼが小さく謝る。




