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ブレイクギア ー荒野を駆ける、破壊と創造の蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
魔力切れとベルゼの異変と春美月の花畑

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第71話 魔法使いか……


-ハウラ 広場-


「…綺麗だなぁ」

花壇の花を見つめるイリア。


本当はレイピアの練習をしたいけど、街中でやるわけにもいかない。


「ま、のんびりするのも悪くないか」



「あの…」

「!?」

「あれ、あんたの乗り物かい?」

「あ、邪魔ですか?」

声をかけたのは老人。


「いや、ちょっと直してもらいたいもんがあっての」

「あ、アタシは機械を直す専門じゃ…」

「いや、直してもらいたいもんはこれじゃ」

差し出してきたのは杖。

折れている。


「あんたの魔法でどうにかならんか?」

「え…!!?」

身体がこわばる


「すまん。驚かせるつもりはないんじゃ」

「通報も何もせんから安心せい」

「え…」

混乱する。


「??あんた魔法使いじゃないのかい?」

「…魔法使い??」

(……なんか……そのまんま……)


「あ…今は魔族と言うんじゃったか…?」

「え……まぁ、はい」

(……なんか、呼び方が違うのかな??)


「まぁ、何でもいい」

「直せんかの?」


「……」

イリアは顎に指を当てて考える。


「……見た目だけで強度は戻らないけど……それでも大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃ」

「これは孫から貰った物でのぅ。見た目だけでも良い」


「分かりました」


魔法を使う。


最近は結合の練習もしている。

だけど、まだまだ難しい。

表面上だけは綺麗に繋げられているけど、内部の強度はまだまだ。


「……これで……どうですか?」

それだけでもかなりの集中力と魔力を使う。


「おお!すごいの!」

老人は歓喜していた。


「でも、杖としては使えないので注意してくださいね」


「ありがたいのぅ!」


「もしよければじゃが…他にも困っとる友人がいるのじゃ…」

「他の人も……ですか?」


「ああ。頼めんかの?」


「………」

「怯えんでええ。ワシは誰にも言わんよ」

「………どうじゃ?」


「アタシが出来る事なら、任せてください」


「ふぉふぉふぉ!」

笑い出す老人。


「今から連れてくるから、待っててもらえるか?」

「はい!」



-1時間後-


ベルゼたちがガラクタ丸に帰ってくると

老人たちが集まっていた。


「…何か…人集まってきてない?」

「しかも、ジジババ共ばっかだな」


「すごいのぅ!どうやっとるんじゃ!?」

「これこれ!見るでない!金も払わん上にのぞき見とは趣味が悪いのぅ」


「これ…何かしらね…?」

「イリアが何かやったんだろ。俺らがいねえ間になんかあったのかもな」


「はい、お待たせしました」

イリアが工房から出てくる。


「おおお!ありがとう…ありがとう…!」

預けたものを受け取った老人は涙を流している。


「だけど、くっ付いたのは見た目だけなので、すぐ壊れちゃうかもしれません」

「かまわんかまわん!見た目だけでも良いんじゃ…」


「あはは…よかったで…す」

イリアがフラッとバランスを崩す。


ダッ!!

「!?イリア!」



エリーネが叫ぶよりも早くベルゼが駆け寄っていった。


「だ、大丈夫かの!?」

老人たちが心配する。


「……」

ベルゼがイリアを抱える。


「わりいな。今日はもう店じまいだ」

「エリーネ……手伝ってくれ」


「わかったわ」


3人は中に戻った。



-ガラクタ丸 リビング-


ガチャ。

リビングに入るエリーネ。


「……イリアは?」

「疲れて寝てるだけみたい」

「……そうか」


「……」

「……」


「ねぇ」

「どした?」

「イリア……どうしたのかしら……?」

「ああ。多分、魔力の使い過ぎだ」

「使いすぎ?魔法って使いすぎってあるの?」

「そりゃな。あんまり使いすぎると一気に身体がだるくなるんよ」

「ひどい時はさっきみたいに倒れる時もある」

「……魔法も万能って訳じゃないのね……」


「ああ。さっき年寄り共から聴いたが、あいつ壊れたもんをくっつけていたらしい」

「……?くっつけるだけで疲れるもんなの?」

「あいつの魔法は物の形を変えるもんだ。くっ付けること自体が主体じゃねえ」

「あいつの魔法でくっ付けるには、構造とか性質を理解しなきゃならねえ。ただくっ付けるだけだとすぐ壊れちまうんだよ」

「それにはかなりの集中力と魔力が必要だ」

ベルゼはため息をつく。


「それを連発したから魔力切れでぶっ倒れたんだろうな」

「……」

エリーネがジーっとベルゼを見る。


「なんだよ?」

「……あんた、妙に詳しいわね」

「……見てりゃ分かるだけだ」

「ふぅん」


コンコンコン


「……ちょっと待ってろ」


ドアを開けると、先ほどの老人がいた。

包みをもって。


「すまぬ!」

老人が頭を下げる。


「ワシらのせいであの子を魔力切れにさせてもうた!」

「本当にすまぬ」

「……あんたたちが……!」

エリーネが席を立つ。


「まて」

「何よ!こいつらのせいであの子が」


「……爺さん。今魔力切れって言ったか?」

「……?」

首を傾げるエリーネ。


「ああ。あの子は魔法使いじゃろ?」

「孫から貰った大切な杖を直してほしいと頼んだんじゃが…ワシが友人達を連れてきてしまっての…」




「魔法使いか……」




「『魔族』って呼ばないんだな」

「………あ!」

エリーネがこっちを見る。


「今はそう呼んでるみたいじゃが、ワシらには馴染みがなくての」


「……ベルゼ……どういうこと?」

エリーネが混乱する。



「単純な話だ」





「この爺さん、少なくとも100歳超えてるぜ」



「!!??」

「ほほほほ!そこまで見抜くか」


「……100歳には見えねえ……バケモンだな、まるで……」

「それ……あんたが言う……?」


-イリア 自室-


「……あれ……?」

ここはアタシの部屋……?


「どうして……?」

「……だるい……」


……………?

「あ……」

そっか……アタシ……

魔法を……使い過ぎて……

「魔力切れ……か……」


久しぶりになったな…

子供のころは魔法使うのが楽しくて…

よく倒れてたな…


そのたびにお父さんとお母さんが心配してくれて……


魔法を直接見られて喜ばれたのは、久しぶりだったなぁ……


あのお爺さんだけだったけど…


「ふふ」


他のみんなは……

喜んでくれたかな?


……まだ、ちゃんとくっ付ける事

出来てないんだけどな……


-リビング-


「で、爺さん。あんた何者だ?」

「ほほほ!ただのジジイじゃよ」

「……100歳超えてて、ただのジジイは無理があるわよ……」

「ほほほほ!」

「じゃが、ワシは本当に何の変哲もないジジイじゃよ」

「そうか」

「納得!!?」


「お主ら良いコンビじゃのう」

「コンビっつうか、弟子だな。こいつは」

「!!」


「なんだよ?」

「…ワタシ、弟子で良いの?」

「んぁ?不満か?」

「いや、そうじゃないけど……」

「ま、俺が見てんだから、弟子で良いだろ」

「………」

口が緩む


「ということは、お主がここの長かのう?」

「まぁ、そうだな。俺が雇い主だ」


「それなら、あの子にこれを渡してくれるかの?」

包みを渡す。


「これは?」

「魔力切れに効く薬草を煎じて作った茶じゃ。あの子に飲ませてあげて欲しい」

「ありがてえ。貰っとくぜ」

「一応言っとくけど、あんたが飲むんじゃないからね!?」

「わかってるよ」


「なぁ、爺さん」

「なんじゃ?」

「この薬草の種類って分かるか?」

「確か…春美月じゃな」

「春美月?」

「薬草の成分は根と茎の方なんじゃが」

「綺麗な花も咲く」

「へー。花には今まで関心が無かったけど、ちょっと見てみたいわね」


「…その薬草はこの辺に生えてるか?」

「なんじゃ?もっと欲しいのか?」

「まぁ、それもあるが」

「見てえって言ってるやつがここにいるんでな 」

「!!!」


「ここからじゃと少し距離があるのう」

「構わねえ。場所を教えてくれ」



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