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ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
魔力切れとベルゼの異変と春美月の花畑

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第70話 あんただって一人じゃないんだからね


-ガラクタ丸 リビング-


「……エリーネ……大丈夫かな……」

「……」

翌日の朝になってもエリーネは自室から出てこない。


「……ベルゼ……」

「んぁ?」

「これで本当に良かったの?」

「……良いも悪いも、あいつは俺と同類だからな」


「見なきゃ気が済まねえよ」

「…スパルタ大魔神」

「……」

「何か言ってよ……」

「否定できねえんだよ……」

「……あんたも悪いって思ってんだ」

「……」

「……素直じゃないねえ……」

「……俺もな」

「?」

「あれの中身を見た時」

「言葉を失ったぜ……」


「………」

「………!!??!???」

ガタッ!


「何だよそのリアクション」

「あんたって…ショック受けんの!?」

「お前……俺の事なんだと思ってんだよ……」

「スパルタ大魔神」

「……」

「言い返せないでしょ」

「……っけ」

「だが……」

「?」

「あいつが俺たちと一緒に来るなら、いずれ知らなきゃならねえことだ」

「……」


「あまりに早すぎたけどな」

「……へぇ」

「……なんだよ」

「だから、最初は止めようとしたんだ」

「……」

「でも、止まらないって分かってたから、アタシを付けた」

「……違った?」

「……」


「ふふふ」

「……」

「ベルゼ」

「……なんだよ」


「あんただって一人じゃないんだからね」

「……」

「無理しちゃダメ。いい?」

「……うるせえな」


ガタッ


「どこいくの?」

「工房」

「何か手伝う?」

「いい」


ガチャ

バタン


「……ばーか」




ガチャ


「あれ?忘れ物?」

「……イリア」

「あ、エリーネか」

「……ベルゼは?」

「工房。それよりも……」

「??」

「アタシと話そうよ」

「……え?」

「エリーネにはさ、話したことなかったからさ、伝えておかなきゃって思って」

「……結構重い話?」

「だいぶ」

「……」

「……」

「ちょっと今日はやめとくわ……」

「そうだね。ごめん」

「それだったらさ」

「?」

「エリーネの夢の話、聞かせて!」

「え?」

「前に蒸気車を作りたいって言ってたじゃない」

「え、ええ。でも良いの?」

「?」

「あんた、機械には興味ないんじゃないの?」

「んー。機械には確かに興味は無いけど……でも、エリーネの夢は興味あるの」

「??どうして?」

「……アタシにも、そういうの見つかるのかなって」

「え?」

「アタシ、今まで何かに夢中になったことなくてさ」

「ベルゼやエリーネ見てると…ちょっと羨ましくなる」

「……」

「だから聞かせて。どんな蒸気車を作りたいのか」

「……ふふふ」

「??」

「仕方ないわね!聞かせてあげるわ!」

「ワタシの理想の蒸気車を!」


……二人のためにと思って、エリーネを引き留めたけど…


これ…長くなる奴だ……






-ガラクタ丸 工房-


「……」

……被った。

あいつに……


危うく泣くところだった……


クソ……


ここ最近……感情が……抑え込めない時がある。

……あぶねえ……


……顔も性格も似てねえ

なのにちらつく……


……クソが……

……見透かしてきやがる……



……許される訳ねえ……


……俺には資格がねえ……

……これからもな……




なのに……

あいつが入って来やがる。


「イリア……」


あいつ……何なんだよ……





-ガラクタ丸 リビング-



「で……それで……あ、でもね……!!」

「………………」


エリーネがかれこれ2時間くらい話してる。

流石にしんどくなってきた…


ガチャ


「お、エリーネか。おはよーさん」

「あら!ベルゼ!あんたにも聞かせてあげるわ!ワタシの…」

エリーネが勢いに任せてベルゼに聞かせようとした時だった。


「もう大丈夫なのか?」

ベルゼが構わずエリーネに声をかける。


「え…?あ…」

「…その調子なら問題なさそうだな」

「と、当然よ!」

「今日も頼むぜ」

「え、ええ…」

口元が緩む。


「ベルゼ」

イリアが近づく。


「もう大丈夫?」

「…ああ」

「……」

「……なんだよ」

「ううん。なんでもない」

「……そか」


ため息をつくイリア。

(まだ無茶してるな……)


「ベルゼ。今日の予定は?」

エリーネがベルゼに問う。


「特にねえな。また客を捕まえるつもりだ」

「それなら、提案があるのだけど……」

「お?どうした?」

「この近くにハウラって街があるの」

「そこで部品を探したい」

「部品?」

「ええ。前にこの子を見た時、大きい問題ではないのだけど、他と比べると少し熱がこもりやすい所があったの」

「ふむ」

「その部分を今よりも放熱できるようにしたいんだけど……ダメかしら?」


ベルゼが腕を組んで考える。


「……いいぜ」

「!」

「運転、任せても良いか?」

「ええ!任せて!」




-ハウラ 正門-


「ようこそ、ハウラへ」

「おお。ごくろうさん」


門を抜け、ハウラの広場で停める。


「……アタシらって一応、犯罪者よね…?」

「ここまで回ってねえんだろ、俺らのこと」

「あそこ……本当に王立なのかしら……ワタシ……まさか騙されてたんじゃ……」

エリーネが肩を落とす。


「そ、それはないと思うよ……」

「セキュリティも一応、あったしな」

「ま、ここならまだしばらく気にしなくていいだろ」


「それに」

「それに?」


「バレたら逃げりゃいい」

「行き当たりばったりね!?」

「いつもこんなもんだよ……エリーネ」

「あんたも慣れてるの!?」

「……だって、ベルゼだよ?」

「……」

何も言えなくなる。


「さて、イリア」

「ん?」

「留守番、たのめるか?」

「大丈夫」

「エリーネ、いくぞ」

「!え、ええ」

頬が赤くなるエリーネ。


(……気付かないで……エリーネ)

(……色んな意味で)


心配そうに見つめるイリア



-ハウラ 素材売り場-


「……素材売り場でいいのかしら?」

「加工ならイリアがやってくれる」

「部品屋よりも種類が多いうえに、安く済むだろ?」


「……あんたさ」

「ん?」

「イリアを便利屋扱いしてない?」

「イリアじゃねえよ」

「??」






「あいつの魔法だよ」

「イリアの尊厳は!!?」




「大丈夫だ」

「え?」







「あいつも慣れてる」

「それって無責任な信頼よ!?」



「…あんたとイリアに何があったか知らないけど」

「…」

「ちゃんと仲直りしなさいよね」

「別にケンカしてねえよ」

「……一方的に避けてる癖に……」

「…」

「じゃないと」

「?」

「…可哀想じゃない…あの子」

エリーネの顔が赤くなる。


「……お前ってさ……」

「な、何よ……」



「……イリアにほの字なん??」

引いた顔をしているベルゼ。




「……」

固まるエリーネ。



「あんたってさ」

「……なんだよ」



「案外アホね」

「!!?」


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