第68話 ……見損なったわ……
-ガラクタ丸 運転部屋-
シュッシュッシュッシュ!!
ポオオオオオオオオオオオオオオ!!
ガラクタ丸が荒野を走る。
運転席ではエリーネがハンドルを握っていた。
その様子をベルゼとイリアは見守っていた。
「良い感じじゃねえか。だいぶ慣れたんじゃねえか?」
「毎日触ってたらそりゃね……」
「まだ荒いが、完全に任せられる日も近いな」
「……」
ベルゼに褒められて少しはにかむエリーネ。
「…そういえばさ」
「んぁ?」
「これ、どこに向かってるの?」
「?特に決めてねえな」
「ワタシどこに向かわされてるのよ!」
「いや、だから決まってねえって」
「ツッコんでるのよ!!」
「いやぁ、エリーネが来てから、負担がだいぶ減ったなぁ…」
イリアがしみじみ呟く。
「ツッコミのフォローも兼ねてるの!?」
「逆にお前ボケれねえだろ」
「……でも、イリア……あんた大変だったのね……」
「……正直、助かってるのはホント」
「お前ら、俺を異常者扱いしてねえか?」
「??」
「??」
「……おい」
-その時
キキー!
「おっと。どうした?」
「ちょっと……あ、あれ……」
「!?」
エリーネは窓の外を指さした。
その先には騎士が横たわっていた。
「……あれってもしかして……」
「ああ、騎士だな」
「倒れてる……?」
3人は様子をうかがうが、騎士はピクリとも動かない。
「早く助けなきゃ!」
イリアが飛び出す。
「ちょ!ちょっと!騎士は敵じゃないの!?」
「……あのバカ、今はそんなこと考えてもねえみてえだな」
「……お人よしなんだから……」
ベルゼもエリーネも外へ出る。
「……ベルゼ……」
「どうだ?」
「これ、騎士じゃない……」
「……なるほど……そういうことか」
それは騎士ではなく、オートナイツだった。
しかし、動く気配はない。
「オートナイツか……」
「オート……ナイツ……この前の奴と同じ奴?」
「………ああ」
「……でも、今でも信じられないわ……自律で動く鎧なんて……」
「……これでもか?」
ベルゼは兜を蹴る。
蹴り飛ばされた兜は地面を転がる。
「!!?」
頭が入っているはずの部分は、管や機構が張り巡らされていた。
「……これがこの子の中身……」
「前にベルゼが戦った時、本当に厄介だった…アタシの村も…こいつらに…!」
「…イリア…?」
エリーネが強張った顔で見る。
「…こいつ型式は古い……性能はあれより低いな」
ベルゼが近づいて観察した。
「…行こうぜ」
ベルゼが立ち去ろうとする。
「ちょ、ちょっと!」
「…なんだ?」
「置いてくの!?」
「…置いてくも何も」
「別に俺たちのもんじゃねえ」
「ほっといても良いだろ?」
「……」
エリーネがオートナイツを見つめる。
「エリーネ……?」
「……この子……ここでずっとひとりぼっちだったのよ……」
「…」
「せめて、ワタシたちで何とかしてあげましょうよ」
「…なんとかってどうすんだ?」
ベルゼが難色を示す。
「……直すことは出来ない?」
「それは出来ねえな」
「どうして!?あんたなら、触ってけば分かるんじゃないの!?」
「直したら、そいつどうするか分からねえぞ?」
「……え?」
「ずっと野ざらしだったんだ。下手したら見境なく襲い掛かるかもしれねえ」
「……そんな」
「……エリーネ」
「な、なによ……」
「そいつに関わろうとするのはやめておけ」
「な、なんでよ!?」
「…気に食わねえんだよ、そいつ」
「…!?」
「俺は機械や蒸気機関は確かに好きだ」
「だが、そいつは好きになれねえ」
「多分、お前もだ。エリーネ」
「……」
「どんなガラクタでも目を輝かせるくせに…」
「……見損なったわ……」
「……」
「……いいわ。勝手にやる」
「どうせ行先も何もないんでしょ?」
「ここで降ろして」
「……ワタシはここまでよ」
「!!?エリーネ!!」
「……好きにしろ」
「待って!!ベルゼ!!」
イリアが止める。
「……なんだよ」
「せめて、ここで待ってようよ!」
「エリーネが納得するまで!!」
「……」
「なら、お前はエリーネの傍にいろ」
「え?」
「それが条件だ」
「…分かった」
イリアはベルゼに何かを託された
-そんな気がした。




