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ブレイクギア ー荒野を駆ける、破壊と創造の蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
爺さんと屋敷と大きな置時計

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第66話 ……じゃあな、ポンコツ


―ガラクタ丸 運転席―


ベルゼはエリーネに代わって運転席に座っている。


「ど、どうやって逃げるの!?この子って他に加速装置とかあるの!?」

「そんなもんねえよ」

「じゃあ、逃げたところですぐに追いつかれるじゃない!!」


「別にスピードで振り切ろうってんじゃねえよ」

「え?」

「そもそも、そんなに速くねえしな」

「アクセル全開でもそこまでだったろ?」

「じゃ、じゃあどうやって……」

「ま、しっかり掴まってな二人とも」

「う、うん」

「……捕まったら一生恨むわよ……」

イリアとエリーネはしっかり掴まる。


「よし、じゃあいくぜ」

カシュカシュ!

ギュルルルルルル!!


ガラクタ丸は急バックし、左へ旋回。


「ははは!!逃がすと思うか!!」

騎士たちはガラクタ丸の正面へ蒸気車を走らせる。


「邪魔」

カシュカシュカシュカシュ!

そのままアクセル全開。


蒸気車に向かってガラクタ丸は発進する。


「ちょちょちょ!!」

「待て待て!!」


騎士たちは慌てるが、止まらない。


「こんなデカいのを普通の蒸気車で止められるわけねえだろ」


ガシャアアアアア!!


そのまま蒸気車を吹き飛ばす。


「ぐああああああああ!!」

騎士たちも吹っ飛ぶ。


「ちょちょちょ!!?大丈夫なの!??あの人たち!!?」

「あんた!!流石に人殺しはダメよ!!」

イリアとエリーネは慌てている。


「大丈夫だ。蒸気装甲は頑丈だからな。これくらいじゃ死なねえよ」

「……それでも潰しちゃう可能性もあったでしょ……」

「まぁ大丈夫だろ」

「ホント雑ね!あんたって!!」

エリーネがベルゼにツッコミを入れてる時だった。


ギギギィイイイイイ……!

でかナイツが拳を振り上げていた。


「あ、危ない!!」

「おっと!!」


旋回して避ける。


ドゴオオオン!!


「こ、怖かった……」

「よく避けられたわね……」

「とりあえず、このまままっすぐ逃げるぞ」

そう言って、でかナイツから離れるガラクタ丸。


でかナイツがこっちを向く。


ギギギギギギ!!

グォオオオオオン!!


あたりに不気味な金属音が響く。



「……あれ?なんか、遅い??」

「さっき、あんなに速く来たのに??」

「あんだけデケえんだ。スピードに乗るまでに時間がかかるんよ」

「そ、そうなの??」

「ああ。だからこいつでも振り切れる」


……ダンッ……


ダンッ……!


ダンッ…!!


ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!


でかナイツが加速。


「でもスピードに乗ったら、こっちより速いわよ!!」

「このままじゃ追いつかれちゃうよ!!」

イリアとエリーネが慌てる。


「……」

ベルゼはミラーででかナイツを見ている。


「………今だな」

ギュルルルルルル!!


急旋回。


「うわあああああああああ!!」

「きゃああああああああ!!」

イリアとエリーネが叫ぶ。



ギギギギギギ!!

でかナイツも急ブレーキをする。


「っとまぁ、こんな感じでスピード乗ったらギリギリまで引きつけて、急旋回で回避だな」

「あんた!!もっと早く言いなさいよ!!」

「あひゃー……世界が回ってるぅ……」

イリアが目を回していた。


「どうする?代わるか?エリーネ」

「ムチャ言うな!!」

「ま、あとはこのまま誘導するだけだ」

「……誘導??」

「どこに??」


「崖」

「……は?」

「こいつ落とす。そっちの方が楽だろ」

「……あのさ」

「なんだよ?」

「失敗したらアタシたち、逆にピンチじゃない?」

「ま、そんときゃそん時だろ」

「あんたその雑さも大概にしなさいよ!!」


……ダンッ……


「あ、来るな。お前ら、歯食いしばっとけ」

「ああああ!!もう!!ホントに死んだら恨むからね!!」

「頼んだよ!ベルゼ!」

「おう」


ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!


ギュルルルルルル!!


「あいつデカいけど、普通のオートナイツより動きが単純だから助かるわー」

「……少しは慣れてきたつもりだったけど、やっぱりこんな時でも呑気なこいつが腹立つわ」

「まぁ、ベルゼだし」


「……よし」

でかナイツを回避した後、ガラクタ丸を加速させる。


カシュッ!


カシュッ!カシュッ!カシュッ!カシュッ!


どんどん加速する。


ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!


でかナイツも加速する。


「……ベルゼ?そろそろ避けないとじゃない?」

「………」

ベルゼはまっすぐ見ている。


「ちょ、ちょっとあんた!!このまままっすぐ行ったら崖よ!!」


ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!

でかナイツがどんどん追いついて来る。


「あんた!!そろそろ旋回しなさいよ!!」

「……まだだ」

「でも、もう迫ってるし、目の前に崖が!!」


「もう少し……」

ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!


ダッ!!


でかナイツがジャンプをする。


「ここだ!!」

キキイイイイイイイイイイイ!!


急ブレーキを踏む。


地面を引きずりながら、ガラクタ丸は崖に近づく。


「うあああああああああああ!!」

「きゃああああああああああああ!!」

車内はイリアとエリーネの叫び声が聞こえる。


でかナイツの影がガラクタ丸を覆う。


キキッ……


ガラクタ丸は崖の寸前で止まった。


「……じゃあな、ポンコツ」

窓の向こうで、でかナイツの巨体が崖下へ消えていく。



ガシャアアアアアアアアアアアアアン!!


崖下から金属が砕ける音が聞こえた。


………


ようやく辺りは静かになった。


「よし。終わった終わった」


「………」

「………」


二人はベルゼを超睨んでた。

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