第65話 ……なんか……デカいような……?
―カルデニア 門前―
「な、なんだあの小僧は!!?」
「これだけのオートナイツをたった一人で!!?」
蒸気騎士たちは大声で叫んでいた。
30体ほどいたオートナイツ。
そのうち10体を、ベルゼがたった一撃で撃破していた。
その後、ベルゼは暴れに暴れていた。
「おらあ!!」
ブシュウウウウウウウ!!
飛び込んできたオートナイツに拳を叩き込む。
ガシャアアアン!!
吹き飛ばされたオートナイツは破片を撒き散らしながら、後方のオートナイツまで巻き込んでいく。
「ったく、邪魔くせえ」
ベルゼはオートナイツの集団へ距離を詰める。
ギィイイ!!
ガシャ!!
ガシャ!!
不気味な金属音を鳴らしながらオートナイツたちも距離を詰める。
ブシュウウウウウウウウウウウ!!
さらにブレイクギアの出力を上げる。
「お前らみたいなワンパターン、マジで助かるわ」
「俺も殴るだけで良いからな」
ドガアアアアアアア!!
さらに出力を上げたブレイクギアの金属部分は真っ赤に染まり、ベルゼはその拳で次々とオートナイツをぶっ飛ばしていく。
「な……オートナイツが……」
「小僧一人に粉々に……」
「やっと見えたぜ……」
ベルゼは騎士との距離を詰める。
「くっ!!増援はまだなのか!!?」
騎士の一人がそう叫んだ時だった。
ガラクタ丸の後方から大声が聞こえる。
「挟み撃ちだ!!大人しくお縄につけ!!」
騎士たちの増援が来てしまった。
「はははは!!もう逃げられないぞ!!」
「ここで謝ってくれるなら、痛くしないでやる!!」
騎士二人は調子を取り戻した。
「あ、そう」
ブシュッ!!
ブレイクギアからワイヤーが伸びる。
「なっ!!?」
「え?」
ぐるぐるぐる。
ワイヤーが伸びて、二人まとめて縛り上げた。
「よし、こっち来い!」
ブシュウウウウウウ!!
ベルゼはワイヤーを蒸気圧で巻き取る。
「「うわあああああああああああ!!」」
ものすごい勢いでベルゼに向かって飛んでくる騎士二人。
「そのままどっか飛んでろ」
ポイッ!
その勢いのまま、騎士二人を横へ放り投げる。
「よし!!エリーネ!!今だ!!」
エリーネに指示を出す。
「え!!?でも、まだあんたが!!?」
「大丈夫だ!!踏め!!エリーネ!!」
「……あああ!!もう分かったわよ!!」
カシュッカシュッカシュッ!!
ギュルルルルルルルル!!
ガラクタ丸のタイヤが激しく空転。
直後、急加速する。
ブシュッ!!
カンッ!!
ガラクタ丸にワイヤーを引っかける。
「待て!!」
ベルゼを捕まえに騎士が突っ込むが、追いつかない。
「んじゃあな」
ブシュウウウウウ!
ワイヤーは蒸気圧で巻き取られ、ベルゼはガラクタ丸へと吸い込まれるように飛んでいく。
―ガラクタ丸 運転席―
「ふぅ。お疲れさん」
「ベルゼ!大丈夫だった!?」
「ああ。こっちは問題ねえよ」
「結局一人で任せちゃったから、心配だったよ」
「問題ねえよ。むしろオートナイツ相手なら俺一人の方が都合いいしな」
「…………」
エリーネは運転に集中している。
「……またかじりつくように前見てんな……こいつ」
「まぁ、あんなことがあったから仕方ないよ………」
「それもそうだな。よし、エリーネ、運転変わ……」
ベルゼがエリーネに声をかけた時だった。
ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!
「!!?この近づいてくる音って……」
「あれ?まだオートナイツ残ってたか??」
「……そうみたい」
イリアが後ろを見るとオートナイツが迫って来ていた。
「……ったくしゃあねえな。俺が降りて……」
「……待って、ベルゼ……何か……変だよ??」
「……変?」
「……なんか……デカいような……?」
「……ああ……あれか……」
ベルゼがそう言った、その瞬間。
ダッ!!
オートナイツは地面を蹴った。
そのままガラクタ丸の上空を飛び越える。
ダァン!!!
そのまま前方へ着地する。
キキィーーー!!
ガラクタ丸は急ブレーキする。
ギィイイ………
巨大な金属の塊がゆっくり振り向く。
軋むような金属音が辺りに鳴り響く。
「で、で、でででで……」
そしてガラクタ丸の眼前に巨大なオートナイツが立ちはだかっていた。
運転席の窓いっぱいを、巨大な兜が埋め尽くしていた。
「「でかあああああああああああああ!!」」
イリアとエリーネは驚いていた。
「爺さんの館を見た時と同じリアクションしてるな」
「ベルゼだって叫んでたじゃん!!」
「イリア!!そのツッコミは今じゃない!!」
「お前のツッコミも、それどころじゃない気がするけどな」
「うっさい!!!」
「あんなデカいの初めて見たんだけど!??」
イリアが巨大なオートナイツに指を差す。
「俺は何回か見てるから、今更だな」
「こんなデカいの他にもいるの!!??」
エリーネが目を見開く。
「そりゃ、作ったヤツによっちゃ、好き勝手に改造するからな。あんなデカいのがいても別におかしかねえよ」
「まぁ、デカいと制御も難しくなるし、動きも鈍くなるから、作ってるヤツはそんなにいねえはずなんだが……こいつはそこそこ性能良いんだろうなぁ」
ベルゼは感心しながら巨大なオートナイツを眺める。
「ちなみに、俺はあれを『でかナイツ』って呼んでる」
「あれ?相変わらずダサいけど、ベルゼにしては可愛いかも」
「あんたらなんでそんなにのんきなのよ!!」
「止まれえええええええ!!観念しろおおおおお!!」
背後から騎士達が乗った蒸気車が3台。
「あー挟み撃ちになっちまったな」
「どうするのよ!?前にはデカいの!!後ろには騎士!!絶体絶命じゃない!!」
「まぁそうだなぁ」
ベルゼは顎に手を当てて考える。
「とりあえずエリーネ、運転代われ」
「……え?」
「こいつのガチの走行性能、見せてやるよ」




