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ブレイクギア ー荒野を駆ける、破壊と創造の蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
爺さんと屋敷と大きな置時計

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第64話 ぶっ壊してやるよ


―バルジ邸 広場―


「ホントに行ってしまうのかのぅ?」

「ああ。もう時計が直ったんだ。これ以上は世話になれねえだろ」

「……そうか……」

バルジは少し寂しそうだった。


「安心しな爺さん。これからは婆さんと一緒なんだからよ」

「……そうじゃな……」

「お爺さん、本当にお世話になりました。それに執事さんも」

「短い間でしたが、私もイリア様と稽古が出来て楽しかったです。今後のイリア様のご活躍を楽しみにしていますよ」

「ありがとうございます!」

「……それじゃ、そろそろ行くか」


そうベルゼが言った時だった。


ポオオオオオオオオオオオオ!!

カシュカシュカシュ!!


一台の蒸気車が広場にやってきた。


「バルジ博士ええええええ!!」

「!!??」

出てきたのは蒸気騎士だった。


「なんじゃ!!今大事な所なんじゃぞ!!」

「すみません!!実は……」








「ロムドール王立蒸気車製作所の襲撃事件の犯人がこの街にいるとの情報が……!!」

「な、なんじゃと!!」


「………」

「………」

「………」

途端に黙る3人。


「人相はこんな感じです!!」

手配書をバッと前に掲げる。


「!!!???」

バルジと執事とメイドたちは目を大きく見開く。

全員、手配書とベルゼたちを二度見する。


「あ!!君たちも知らないか!!??」

ベルゼたちにもぐいっと掲げる。


「イヤーシラナイナー」

しらばっくれる指名手配犯1号


「コワイデスネー」

慣れてきた指名手配犯2号


「!!!??」

驚愕の表情で二人を見る指名手配犯3号


「分かった!!凶悪な奴らだから、君たちも気を付けたまえ!!」

そう言って、騎士は蒸気車に乗って去っていった。


「……よし!!馬鹿で助かったぜ!!」

「早く逃げよう!!」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ2人ともー!!」

3人は急いでガラクタ丸に乗り込む。


「じゃあなあ!爺さん、達者でなあああ」

「お元気でええええええええええ!!」

「バルジ博士えええ!!今度お話聞かせてくださいいいいい!!」


ガラクタ丸は颯爽とバルジ邸を後にする。


「……えっと……バルジ様……通報します??」

「……がははははは!!いい!!あいつらはそんな奴らじゃなかろう!!」

「……そうですな……」

執事は笑みを浮かべる。


「……そういえば……また王立の方から依頼がありましたな」

「何じゃ……また断っといてくれ……」

「……ワシが考案したあいつらを、あんな使い方してる連中とは関わりたくないからのぅ」

「かしこまりました」

執事はそう言って立ち去った。


「……あいつらなら、この窮屈な時代を変えてくれるかもしれんのぅ……」

「がははははははは!!」

屋敷の広場にバルジの笑い声が響き渡る。




「………あ」

「わし……報酬渡しとらんな………」


―カルデニア 門前―


「いい加減大人しく投降しろ!!」

「実家の母ちゃんが泣いてるぞ!!」


結局、門のすぐ前には騎士たちが立ちふさがっている。


「見ろ!!貴様らの目の前には30体のオートナイツだ!!」

「観念してそのデカい蒸気車から出てこい!!」


門の前にはオートナイツが30体、道を塞ぐようにただ静かに立っている。


「俺たちが命令すれば、こいつらは一斉に動くぞ!!」

「怖いだろ!!今投降すれば、手錠だけで済ませてやる!!」



―ガラクタ丸 運転席―


「あー結局こうなるか」

「ど、どどどどどどうするのよ!!?これじゃあ逃げられないわよ!!」

「……まぁ、あれかな」

「……まぁ、そうだな」


「??」


「イリアはそのまま待機だ」

「え?一人で大丈夫なの?」

「ああ。問題ねえ。あいつら二人以外は、全部オートナイツだからな。遠慮いらねえってことだ」

ベルゼは右腕にブレイクギアを装着する。


「で、でも、もし増援が来て、騎士がここに登ってきたらどうするのよ!!?」

「大丈夫だ。いくら蒸気機関の補助で身軽に動けるとはいえ、あの鎧自体はくっそ重てえんだよ」

「こいつに登ろうとしたとしても、かなり時間を食うぜ」


「まぁ、増援自体は面倒だから、そん時は頼むわイリア」

「分かった」


「それと、エリーネ」

「な、なに!?」


「俺が合図出したらアクセルを全開まで踏め」

「……は?」

「今喋ってる二人以外は人間じゃねえ。ぶっ飛ばしても大丈夫だ」

「え?どういうこと??」

「……あれ、オートナイツだよ。エリーネ」

「……いや、そもそもオートナイツってなによ?」

「あれ!?エリーネ……知らない??」

「王立が作った、無人の蒸気装甲兵器だぜ?命令出せば勝手に動くやつ。元王立の人間なのに知らねえのか??」

「……聞いたこと無いわ……そんな自律して動く鎧なんて……」

「……あー、言われてみれば知らなそうな騎士もいた気がするね……」

「……嘘でしょ……自分で言うのもあれだけど、ワタシ……それなりの立場にいたのよ……」

「お前が知らねえってことは、あれ、割と機密情報なんだな」

「でも、あの二人大声でオートナイツって叫んでるよ?」

イリアは騎士二人に指をさす。


「まぁ、なんかあいつら無能そうじゃん。口も軽そうだし」

「……あいつらが知ってて、ワタシが知らないって……」

「まぁ、俺も今まで結構ぶっ壊してっから、あんま気にすんな」

「……なんか、慰め方がズレてるし……あんたホント今まで何して生きてたのよ……」

「整備と修理とか。まぁ騎士相手ならぶっ壊したり、強奪したりとかだな」

「あんたマジでロクでもないわね!!」

「とりあえず、ベルゼ、外は任せて良いんだね?」

「ああ。道開けてくる」

そう言って、ベルゼは外に出た。


「……なんか扉開けてくるみたいなノリで出てったわね……」

「多分、ホントにそんな感じなんだと思うよ。ベルゼは」


「よっと」

ベルゼはガラクタ丸の運転席の屋根に上る。


「なんだ貴様!?」

「何か主張する気か!?」


ダッ!!


そのまま前方に飛ぶ。


ブシュウウウウウウウウウウ!!!

それと同時にブレイクギアの出力をブチ上げる。



「ぶっ飛べ!」

そのまま前にいる一体のオートナイツめがけて拳を放つ。


ドゴオオオオオオオオオオオン!!


殴った瞬間の衝撃波で周りのオートナイツもぶっ飛んだ。


「…ふぅ……軽く十体はいったか?」

ベルゼはそのまま構える。


「……は?」

「……へ?」

騎士二人は言葉を失っている。


「………」

運転席のエリーネも言葉を失っている。


「……相変わらずメチャクチャだなぁ」

イリアはもう慣れていた。



「……ねぇ」

「エリーネ?どうしたの?」

「前に王立製作所で暴れた時も思ってたけど」







「あいつって……結構強い??」

「強いっていうか、メチャクチャ」

「っていうか、前も見てたんじゃないの??」

「……あの時は立ち回りが上手いって印象の方が残ってたのよ……雑ではあったけど……」

「あの時は相手が人だったからね。今回みたいな機械相手……特にオートナイツの時は容赦ないよ?」

「……あれで手加減してたの……?」


「……」

(ぶっ飛ばしたはいいけど、来ないな?)

構えた状態のままのベルゼ。


「……えっと……来ねえのか?」

変な心配をしているベルゼだった。


「………あ」

「い、いけええ!!あの小僧を取り押さえろオートナイツ!!」


ガシャンガシャン!!


オートナイツ達が一斉にベルゼに向かう。


「やっと来た」

ブシュウウウウウウウウウウウウウ!

もう一度出力を上げる。


「おらぁあ!!」


そのまま右ストレートを放つ。


ガキン!!

オートナイツに当たる。


ガシャアアアアアン!!

殴り飛ばされたオートナイツが後方にいる数体も吹っ飛ばす。


「おら、残りもかかって来い。ぶっ壊してやるよ」


ブシュウウウウウウウウウウウ!!

ブレイクギアの蒸気音がベルゼに応えるように唸る。



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