第57話 でかあああああああああ!!
―ガラクタ丸 リビング―
老人が蒸気車を壊して3日が経った。
「……これでいけるか?」
ベルゼがスイッチを入れる。
シュッ…シュッ…シュッ…
ポオオオオオオオオ!!
「よっしゃ!!」
「直った!?」
「ええ!これでも走れるわよ!!」
3人はガッツポーズをする。
「おおお!!直ったか!!すまんのぅ…蒸気車だけでなく、部屋まで借りて」
「流石に荒野のど真ん中に寝泊まりさせるわけにはいかねえからな」
「ありがとなぁ。報酬はたんまり渡すからのぅ」
「おう。期待してるぜ」
「……そうじゃないと気が済まないわよ……」
エリーネがぼやく。
「ただ、外装は完全に元通りじゃねえからな」
見ると凹み跡や傷は残っている。
それでも目立たないようにはしているが。
「なに、走れれば十分じゃ。それにあんな大事故起こしといて動かせるまで直してくれたんじゃ。文句どころか感謝しかないわい」
「よし。それじゃあ、改めて案内するわい」
「………え?」
「え?」
ベルゼと老人が変な反応している。
「……元々、お爺さんの置時計を直すって話だったでしょ?」
「…………ああ。そういやそうだったな」
「あんた!何で忘れてんのよ!!」
「この3日間修理に夢中だったわ」
「……あんたってホントに機械好きなのね」
呆れているエリーネ。
「それじゃあ、改めてワシの街に案内するわい。付いてきな」
「おう」
こうして、老人の案内でベルゼたちは街へ向かう。
―カルデニア―
「……あ!博士!どこに行ってたんですか!?」
門番が駆け寄る。
「がははは!すまんすまん!荒野で事故ってな!」
「ええ!?大丈夫だったんですか!?」
「おお。この後ろの蒸気車に乗ってる奴らが直してくれたわい」
「あ、いや博士ご自身がですが……」
「ああ!ワシか!!大丈夫じゃ!!こうしてぴんぴんしとるぞ!」
「……まぁ、無事なら良いです」
「あ、後ろの奴らはワシの客人じゃからの。このまま通してくれ」
「かしこまりました」
そう言って老人は蒸気車に乗り込んだ。
「博士のお客さんですね。このままお通り下さい」
「ああ、聞いてたぜ。サンキュ」
「お邪魔します」
ベルゼとイリアは挨拶をする。
「………」
「……エリーネ?」
「……あいつ……博士って言われてたわね………」
「??ああ、そうだな」
「………知ってる人かしら………」
エリーネが顎に手をあてる。
「ま、あの爺さんの家に行けばなんか分かるだろ」
「……それもそうね」
「とりあえず、爺さんについていくか」
―老人の家―
「で……」
「で……」
「で……」
ベルゼたちの前に現れたのは――
「「「でかあああああああああ!!」」」
あの巨大なガラクタ丸すら小さく見えるほどの豪邸だった。
「……マジかあの爺さん……いったい何者だ……?」
「……敷地の門を通った時点であれ?とは思ったけど……」
「……こんな豪邸建てられるほどの博士って……あの人一体……?」
「おおおい!!お前さん方あああ!!蒸気車は向こうの広場に停めてくれえええ!!」
「お、おう!!分かった!!」
ベルゼは指定された広場にガラクタ丸を停める。
「よし。じゃあ、降りるとするか」
「……なんか緊張するね……」
「こんな広いお屋敷ですものね。ワタシも初めてよ……」
ベルゼたちが運転室から降りた時だった。
「「「「「ようこそ、いらっしゃいました」」」」」
「「「!!!?」」」
外に出ると、数名のメイドと執事がいた。
「………」
「………」
「………」
3人はあまりの出来事に固まる。
「がははは!!そんな緊張するでない!!こっちじゃこっち!!」
「……まぁそれもそうだな。行くか」
「……え?」
「……あんた適応早すぎでしょ……」
3人は老人の後をついていく。
「「「「おかえりなさいませ、旦那様」」」」
「うむ。ごくろう!」
玄関にはまたもや数名の執事とメイドが並んで出迎えてくれた。
「おおお。ここもすげえな」
ベルゼは既にいつも通りだった。
「………」
「………」
こんな経験のないイリアとエリーネは、ただただ圧倒されていた。
「爺さん、依頼の時計ってどれだ?」
「まぁ、まずは茶にしようではないか」
「え、いいのか?俺らも」
「当然じゃ。今度はワシがもてなす番じゃよ!」
「……なんであいつはいつものペースに戻れてるの??」
「……ベルゼって異常だからね」
―屋敷 応接室―
「お待たせいたしました」
「うむ」
メイドが紅茶と茶菓子を運んできた。
「悪いな」
もういつも通りのベルゼ。
「ありがとうございます」
イリアは普通にメイドと目を合わせてお礼を言った。
「……あ、ありがとう……」
エリーネはまだぎこちない。
「お、これ、ロジェ・アルガットか」
ベルゼが紅茶を近づけて香りを確かめる。
「!?え、ええ。よくご存じで……」
メイドがベルゼの言葉で驚く。
「!!!???」
エリーネの目が見開く。
「???」
キョトンとするイリア。
「ロ、ロジェ…」
「え、エリーネ?このロジェ…なんとかって知ってるの?」
「……むしろ、あんたは知らないの??」
「え?アタシ普段、紅茶飲まないから……」
「……世界3大高級紅茶の一つよ……」
「……?3大?高級??」
「……耳貸しなさい」
「??」
エリーネに自分の耳を近づけるイリア。
「……!!!???」
「………ヤバいでしょ?」
「………うん……」
「相変わらず、この紅茶うめえな」
ベルゼは普通に飲んでた。
「お前さん、飲んだことあるのか?」
「ああ、昔な。紅茶はそんなに詳しくねえが、これは美味くて覚えてたんよ」
「おお!この紅茶を飲んだことがあるとはな!」
「ま、バカ高くて、それ以来飲んでねえけどな。まさかもう一回飲めるとは思わなかったぜ」
「がはははは!なら、もっと飲むが良い!なんなら茶葉もくれてやるぞ!」
「お前ら茶葉いるか??」
「……申し訳なさすぎて無理……」
エリーネが引いていた。
「……あ、ホントだ美味しい!欲しいかも!」
イリアは気に入っていた。
「じゃ、依頼終わったら頼むわ」
「やめなさい!!」
エリーネが慌てて止める。
「がはははは!遠慮するでない!!あの時計が直れば、いくらでも渡すぞ!!」
「ああ。その時計なんだが、そろそろ見せて貰っても良いか?」
「……そうじゃな。こっちじゃ」
そう言われて、3人は老人の後に付いていく。




