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ブレイクギア ー動く工房の破壊整備士と創造の魔族少女ー  作者: すのもとまさお


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第46話 俺が聞いてるのは理屈じゃねえ


―ガラクタ丸 リビング―


「で、ベルゼ。ワタシはどうなの?」

「なにが?」

「運転手よ!募集してたんでしょ!?」

「ああ。すっかり忘れてた」

「なんで忘れてんのよ…」

「どうするの?ベルゼ」

「んー…そうだなぁ…」

腕を組んで考える。


「逆に聞くが」

「??」

「お前はどうだった?」

「な、何がよ?」

「ガラクタ丸、運転しただろ」

「どうだった?」

「…貴重な経験だったわ」

「こんな歴史のある乗り物を操縦させてもらって…」

「そうじゃねえよ」

「え?」

「やっぱお前生粋の技術屋だな」

「!!」

「俺が聞いてるのは理屈じゃねえ」



「お前の気持ちだ」


「気持ち…」

エリーネが胸に手を添える。


「ガラクタ丸を触って、どんな気持ちだったよ?」


「…ハッキリ言って」


「操縦性は癖あって最悪だし」

「やる事多いし」

「あんたはスパルタで鬼だし」

「滅茶苦茶大変だったわよ」

「エ、エリーネ…」

「…」




「だけど…」




「馬鹿みたいに…ワクワクして…心が躍って…」


「楽しかった…」


「そうね…楽しかったわ…」

「全然上手く出来なかったけど」

「初めて、自分の手で動かせて」

「現場に入れたみたい…」

ふふっと笑う。



「そっか」

「なら、いいんじゃねえか」

フッと笑うベルゼ。


「え?」

「来いよ。俺ん所に」

「給料は安いが」

「飯付き、寝床有り」

「悪くねえと思うぜ」

クククと笑う。


「それに」

「??」

「こんな馬鹿みてえなもん作ってるやつがいるんだ」

「お前の夢、ここならイケそうって思わねえか?」

ブレイクギアを軽く持ち上げて言う。


「…そうね」

「ワタシは…あそこにいれば、自分の夢が叶うって思ってた」

「新しい技術や情報…それさえあればって思ってた」


「でも、違うわね」

「あそこじゃ、ワタシの欲しいものは手に入らない」

「手に入るとしたら…ここかもしれないわね」

エリーネは大きく息を吐く。


「仕方ないわね!」


「ここの運転手、やってあげるわ」

「感謝しなさいよね!」



「エリーネ!」

「わぁ!!」

ぎゅううう!!


「これからよろしくね!エリーネ!」

「わ、分かったから…離して…!」

「あ、ごめんね…!」

「だ、大丈夫…」

顔が真っ赤になるエリーネ。


「確認だが、今の仕事、本当に辞めちまって大丈夫か?」

「大丈夫よ」

「どうせ、あいつらはワタシの事なんてどうでもいいでしょうし」

「今日にでも辞めてやるわ!」

「え?今日いきなり!?」

イリアが驚く。


「お前部長だろ?イケるのか?」


「さっきも言ったでしょ?どうでもいいって」

「どうせ設計図さえ描かせればいいと思ってる連中よ」

「辞めるって言えば、それで終わりでしょ」

「何も問題ないわ」


「分かった」

「そうね。戻って辞表出してくるから、一旦近くまで送ってくれるかしら?」

「おう。よし、俺の運転見てろ」

「そうね。少しでも吸収しなきゃ」


-王立蒸気車製作所 正門-


「よし、着いたぞ」

「悪いわね」

「ここだと邪魔になっちまうから、降ろしたら広場で待ってるぜ」

「分かったわ。さて、さっさと辞表出してくるわ」

「待ってるよーエリーネ!」

「…ありがと」

「??」


エリーネはそそくさと降りて行った。


「エリーネが来てくれて良かったね」

「ああ。まだ練習は必要だが、一区切りついたな」



二人はエリーネを待つ。



日が傾いても、エリーネは戻らない。


「…辞表出すだけで、随分かかってんな」

「……やっぱすぐに辞められなかったのかな?」

「まぁ、今日いきなりだしな」

「揉めてんじゃねえのか?」

「ええ…大丈夫かな…?」

「こればっかりはあいつの問題だからな」

「…」

不安そうに下を見るイリア。


「…しゃあねえな」

「?」

「様子見に行くか」

「!!うん!!」


―王立蒸気車製作所 正門―


「…また貴様らか」

「ああ。また中入りてえんだ」

「…今日はもう業務は終了している」

「…は?」

「あ、あの!エリーネは…?」

「奴ならもう帰った」

「…帰った…?」

「あの女に用があるなら明日にでも来い」

「…」

二人は正門を後にした。


「すれ違ったのかな?」

「…」

「ベルゼ?」

「あ、いや、とりあえず、俺たちも帰るぞ」

「もしかしたら、あいつ、もうガラクタ丸で待ってるかも」

「うん!」


しかし、ガラクタ丸に戻っても、エリーネの姿はなかった。

二人は製作所までの道や、街の中を必死に捜し回る。

それでも、エリーネはどこにもいない。


そして、夜が明けても――

エリーネは帰ってこなかった。


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