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ブレイクギア ー荒野を駆ける巨大な蒸気工房ー  作者: すのもとまさお
第1章 少年整備士と魔族の少女とガラクタ丸

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第4話 『逃げて』

ブレイクギア 1-4


辺りは暗く、照らすのは月明りのみ。

この時間なら例え騎士が近くにいても見つかりにくいはず。


とにかく遠くへ。

ガラクタ丸から出来るだけ離れないと・・・!


イリアはとにかく走った。

あてもない夜の荒野を。


どれだけ走っただろうか。

かなり疲れ切っていた。


巨岩に手をかけ、魔法を掛けた。

すると巨岩がうねるように形を変え、人が入れるほどの穴が開いた。


「とにかく・・・休まなきゃ・・・」


イリアは岩の中で息を潜めて休息を取ることにした。






―数日前 とある村―






『…リア』


『イリア!』


『あれ?お母さん、どうしたの?』

『どうしたの?じゃないわよ!また村の外に出て行って……』

『えへへ。ごめんなさい。この前見つけた洞窟がどうしても気になって……』

『いい?村の外は私たち魔族を嫌ってる人たちがいるの。その人たちに見つかったら捕まっちゃうわよ?』

『むぅ……確かにこの村には魔族しかいないけど……何度も外へ行ったけど、そんな人見たことないもん』

『……もう……ひとまず、家に帰りましょ。ご飯できてるわよ』

『うん。お父さんも、イリスも待たせて申し訳ないな……』

『そう思うなら、次からは早く帰って来なさい』

『はーい』


家路に着く時だった。


『た、助けて……』

『!!?』

声の方を見ると、杖をついてフラフラになっている男の人がいた。


『……あの人……村の外の人……』

『……いい?関わってはダメよ』

『で、でも……』

『この村には魔族しかいないってことが外に漏れてはダメ。私たちが危険な目に遭うのよ』

『……でも……』


「……う……」

バタン……

男はそのまま倒れてしまう。


『ごめん!お母さん!放っておけないよ!』

『あ、イリア!!』

イリアは倒れた男性の元へ向かう。


『大丈夫ですか!?』

『う…うう……』

(酷いケガだ……もうこれはあの人に頼むしか……)


『お母さん!村長さん呼んで!!』

『イリア!!あなた、まさか……!』

『じゃないと、この人死んじゃうよ!!』

『……仕方ないわね……』


…………


『これでいいじゃろう』

『村長さん!ありがとう!』

男性は村長の家で横になっていた。


『全く……いきなり呼び出されたと思ったら、外部の人間に回復魔法を掛けろなんて言われるとはな……』

『……ごめんなさい。娘が……』

『……全くじゃ。……じゃが、それがこの子の良い所でもある』

『……でも、村のみんなに迷惑かけちゃった……』

『大丈夫じゃろう。幸い、まだ気は失っておる。我々が魔法を使ったことはバレておらんじゃろう』

『そっか。それなら安心だね』

『じゃが、イリア』

『ん?』

『お前の行動は我々を危険にさらす行為というのも忘れてはならんぞ?良いな?』

『……はい』

イリアが反省している時だった。


『うう…』

『あ、起きた!』

『……ここは?』

男はあたりを見回す。


『ここは我々の集落じゃ。お前さん、なぜこんなところに?』

『……蒸気車を走らせていたら、崖から落ちてしまって……』

『なるほど。怪我の具合はどうじゃ?』

『……?思ったより、酷くはなさそうですね……』

『……』

(村長さんが助けるために一生懸命かけてたから……)


『そうか。なら、今日はここに泊まっていくと良い』

『……ご迷惑をおかけします』


『それじゃイリア、私たちは帰りましょうか』

『うん。おじさん、元気になってよかったね』

『……ありがとう、助けてくれて』

『うん!またね!』

そう言って、イリアと母は自分の家に帰った。




………………


『イリア!!イリス!!逃げなさい!!早く!!』

『お父さん!!お母さん!!』

男性を助けて数日後、いきなり蒸気騎士がやってきた。


そして、火が付いた矢を次から次へと放っていく。


『通報で貴様らが全員魔族なのは分かっている!!』

『我々の目を欺けると思ったか!!魔族め!!』

『人々を脅かす魔族め!!王の命令で全員処刑だ!!覚悟しろ!!』


次々と騎士が押し寄せてくる。


『ここは私たちが食い止めるわ!!二人は早く逃げなさい!!』

『だめ!!なら、私も!!』

『イリア!!お前はイリスを守れ!!』

『お父さん!!』

『早く逃げろ!!』

『………っ!!』

『……お姉ちゃん……』

『!!?』

妹のイリスを見る。


不安そうな顔で見てくる。


『イリス……』

手を繋ぐ。


『うわああああああああああ!!!』

手を引いて二人で逃げる。



………


『おい!ここの魔族どもは殺ったか!!?』

『ここにもいるぞ!!』


『……っ!』

騎士がそこら中にいて逃げられない……

どうすれば……どうすれば良い……!?


『お姉ちゃん!!』

『……え?』

イリアが振り向くと火で根元が焼けた木が倒れてきた。


『お姉ちゃん!!危ない!!』

ドンッ!!


『きゃあ!!』


ドサ……

何かに押されて後方へ転がる。


『痛たた……イリス?大丈……夫……!!??』

イリアが見たのは木に身体を潰されているイリスだった。


『……イリス……イリス!!!』

急いで駆け寄る。


『お姉…ちゃん……大丈夫??』

『バカ!!バカバカバカ!!今助けるからね!!』

イリアが魔法を掛ける。

創造魔法で地面を突き上げ、木を持ち上げようとする。


『……!!?』

しかし、いくら魔力を流しても何も起こらない。

(なに…これ……!? 魔力を流しても……消えていく……!? )


『隊長!!あちらにも魔族の生き残りが!!』

『……私が向かおう……』

『!!?』

(気付かれた!!)


『イリス!!』

手を引っ張って助けようとする。


『お姉ちゃん…もういいよ……』


え……

……いいの?


『いい訳ないでしょ!!』

『……そのままそこで待っていろ』

金属を軋む音を不気味に鳴らしながらこちらに近づいてくる。


『早く……逃げて……』

『そんなことできるわけないでしょ!!』



怖い怖い怖い!!

逃げたい……!!

早く逃げなきゃ……!!







「お願い……お姉ちゃん……」






「……生きて………」




アタシは……


妹の手を………



「いやあああああああああああああああ!!!」

イリアが叫びながら体を起こす。


「はぁ……はぁ……また………」


「う……!!」

「うぇええ……」

吐いてしまう。


「ゲホっ!!ゲホッゲホッ!!!」



「また……」


「………お父さん……お母さん……イリス………」


「……みんな……ごめんなさい……」

(誰が村の情報を渡したかなんてわからない……)

(でも、どう考えたって……あの時助けたおじさんしか……)






「おい!この辺から声がしなかったか!!?」

「!!?」


外から声が聞こえた。


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