第38話 こいつよりヤバい奴がいる街
-ガラクタ丸 運転席-
「ベルゼ、次の目的地って決まってるの?」
「ああ。次はロムドールに向かう」
「ロムドール?」
「技術屋の街なんて言われてるな。そこで新しい運転手を探す」
「ああ…でも運転手なら、わざわざそんな所に行かなくても、マイエルで雇えば良かったんじゃない?」
「…こいつを運転できる奴なんてそうそういねえんだよ」
「どういうこと?」
「他の蒸気車と勝手が違うんよ」
「…何が…?」
機械に興味がないイリアじゃ分からないか…
「…まぁ、とにかく、こいつを扱えそうな奴を探したいからな」
「??まぁ、いっか」
「その街は俺たちでも問題なく入れると思うぜ」
「機械にしか興味ねえ奴らばっかだしな」
「…もう犯罪者扱いはコリゴリだよ…」
「安心しろ」
「え?」
「じきに慣れる」
「嫌なんだけど!?」
「あいつらの鎧、剥ぎ取っていこうぜ」
「嫌なんだけど!!?」
「素材としてはかなり良いんだけどな…」
「…騎士と戦う覚悟はあるけど」
「…もう強盗はさせないからね」
「…分かったよ」
そう言いながらも、口角が上がるベルゼ。
(…そういえばこいつ、結構ヤバいやつだったわ)
「そういえば、ロムドールって技術屋の街ってことは」
「ベルゼみたいなのが、たくさんいるの?」
自分で言っておきながら、ぞわっとするイリア。
「…いや、変な奴が多い…」
「…え??」
「技術屋ってのは、言っちまえばその道しか知らねえ奴らだから」
「まともに話せる奴がいねえんだよ…」
「…そっか…」
「自分の理論が絶対って奴とかな」
「爆発させて『想定内だ』とか言う連中だ」
「昔、工場一つ吹き飛ばしたヤツがいたらしいが」
「それでも問題ねえって言い張ってたらしい…」
「…へぇ…」
「しかも、揃いも揃って『自分が一番まとも』って思ってやがる」
「…自覚無いんだ…」
「ああ。俺から見れば全員まともじゃねえんだよ…」
「…そっかぁ…最悪だなぁ…」
(こいつと同じか、それ以上にヤバいやつがいるってこと…?)
(…もう…降りたい…)
そんな思いと裏腹にガラクタ丸は順調にロムドールへ向かっていた。
-荒野 夜-
「はぁ!」
イリアは一人、レイピアの練習をしていた。
「はぁ…はぁ…」
(いくら自分に合ったスタイルを見つけても)
(使いこなせなきゃ、意味が無い)
(もっと、上手くならなきゃ…!)
ヒュッ!
ヒュッ!
「よう。精が出てるじゃねえか」
ガラクタ丸からベルゼが出てきた。
「む!見ないでよね!」
「なんでだよ?」
「ベルゼだってアタシのライバルだもん」
「…ライバルゥ?」
「言ったでしょ!最初はベルゼを超えるって」
「…ああ。マイエルから出る時か」
「うん。アタシはまだまだ弱いけど」
「強くならなきゃいけない」
「そのためにまず最初の目標は兄弟子のアンタを倒す事なんだからね!」
「…」
「くくく」
「な、なによ!!」
「いや、おもしれえって思ってな」
「馬鹿にしないでよ!」
「馬鹿になんかしてねえよ」
「え…」
「お前、良い顔するようになったじゃねえか」
「!!」
「馬鹿みてえな目標に本気になってる今の方が」
「前みてえな辛気臭えツラより、よっぽど良いぜ」
「…」
「ま、せいぜい頑張れよ」
「うん!」
「…あれ?」
「こらああ!!やっぱ馬鹿にしてんじゃないのよおお!!」
夜の荒野で一人の少女の怒鳴り声が響き渡る




