第30話 …もう離れんなよ
-ガラクタ丸 リビング-
「お兄ちゃんおかえりー」
「おう。ただいま」
少女の頭を撫でる。
「へへへ」
「飯は食ったか?」
「まだ!お腹減っちゃった」
「ん。ならちょっと待ってな」
ベルゼはそう言って、キッチンへ向かう。
「何か食いたいもんあるか?」
「んー…オムライス!」
「あいよ。大人しく待ってな」
「はーい!」
キッチンで料理を始める。
少女はリビングで待っている。
「オッムライスー♪オッムライスー♪」
「イリスはオムライス好きなのか?」
「うん!お兄ちゃんのオムライス大好きだよ!」
「そか。もうちょっとだからなー」
「はーい」
オムライスができ、二つ分持ってくる。
「へい!おまち!」
「わー!!おいしそう!」
「描いてほしいもんあるか?」
「んっとねー!じゃあ、お姉ちゃん!」
「…ハードル高えな」
何とかイリア(のような絵)を描き終える。
「「いただきます」」
二人はオムライスを食べ始める。
(他人の子…しかも数日とはいえ、こんな生活するとはな…)
―数時間後-
「すぅーすぅー」
食事のあと、眠ってしまった。
「…今日もはしゃいでたんかな…」
ベルゼは客室にイリスを連れて、ベッドへ寝かせた。
「ふぅ…」
にしても…
シャロンがあんなこと言うなんてな…
正直、腕はかなり良い。
うちに来りゃ即戦力だ。
だが――
あいつ、少し俺に寄りすぎだな…
腕はあるんだ。
この街に残ったって十分やっていける。
…自信、持ってくれりゃいいんだが
そんなことを考えている途中だった。
「わあああああああああああ!!」
「!!イリス!!」
急いで客室に向かった。
そこには父親に抱きついているイリス。
その頭を優しく撫でている父親がいた。
「ようやくか…」
その光景を静かに見守る。
-数分後-
「そうですか…2日間…寝てたなんて…」
「ああ、まだどこか痛むか?」
「いえ…今のところは…」
魔族との戦いに巻き込まれた父親が起きた。
話している限り、声もハッキリしている。
多分、もう大丈夫だろう。
元々命に別条はないって話だったが、これで一安心だ。
「お父さん…もうどこも痛くない??」
「大丈夫だよイリス。ごめんね心配かけたね」
「うええええええん!おとおおおさああああん!!」
さっきからこの調子だ。
ま、イリアには帰って来てから伝えりゃいいだろ。
「とりあえず、明日ちゃんと見てもらうから、今日は休んでてくれ」
部屋から出ようとした時だった。
「ま、待ってください!」
「ん?」
振り向いた時だった。
父親が頭を下げていた。
「あんたたちのことを魔族だと言って、否定したこと」
「蒸気車を直してくれたのに金も払わなかったこと」
「…本当にすみませんでした!」
深々と頭を下げていた。
「別にいいよ」
「だけど、ここまでしてくれたのに、僕は…」
「まずは体の調子を戻してくれ」
「!!?」
父親は思わず顔を上げた。
「それに、礼なら連れに言ってくれ」
「あいつが一番心配してたんだ」
「あの女の子が…」
「今はいねえから、明日にでも頼むわ」
「…はい」
「イリス」
ベルゼが声をかける。
「ぐす…なに‥?」
「良かったな」
「う…う˝ん˝っ!」
「今日は娘さんに付いててやりな」
「…そうします」
「…もう離れんなよ」
聞こえないようぼそっと言って、部屋を出る。
「あいつ、どんな顔すっかな…」
そんなことを考えながら、ベルゼは部屋を後にした。




