第28話 アタシに出来る強さ
「お姉さんたちすごかったねえ!!ばーん!ってどーん!ってして!!」
「あはは…そうだねぇ…」
イリアは苦笑いをする。
今はガラクタ丸のリビングで少女とイリアが過ごしている。
ベルゼはラグネスと話があるという事で席を外していた。
「大丈夫だった?怖くなかった?」
「最初は怖かったけど、お姉さんたちがすごかったから怖くなくなったよ!」
…うん。
あれを見たらたしかに魔物に対しては怖くなくなるだろうな…
別の物が怖くなりそうだけど…
「お姉ちゃん?」
「あ、ごめんね。そういえば、お父さんはまだ起きない?」
「うん…」
「そっか…」
「お父さん…死んじゃうのかな?」
少女は悲しそうな顔をした。
「大丈夫だよ」
「今は寝てるだけ」
「ちゃんと回復魔法もかけてるし…起きるって言ってたから」
「うん…」
…しまった…
余計なこと言っちゃった…
「…ちょっとお外行こうか」
「お外…?」
「うん。ずっと中にいたんじゃ、退屈でしょ?」
「でも、お父さん起きるかもしれないし…」
「そこはお店の人に頼んで見てもらおうよ。それに」
「それに?」
「せっかく起きても、そんな悲しい顔してたら、お父さんも悲しくなっちゃうよ」
「!?」
「だから、少しだけお外に出て、元気だそ」
「…うん!」
それに――
アタシも、この街を見てみたい。
騎士がいないなら、どうやって治安を維持しているのか。
そこに強くなれるヒントがあるかもしれない。
「おっそと!おっそと!」
「はいはい。ちゃんと手つなごうね」
「うん!」
少女はイリアの手を取る。
…懐かしいな
イリスもこんな感じで繋いでたっけな…
…もしあの時、アタシが強ければ、
父さんも母さんも、イリスも生きてたのかな…?
…でも強いって何だろ…?
ベルゼみたいに、うまく戦うこと?
ラグネスさんみたいに、力でねじ伏せること?
…どっちも、アタシには無理だ…
だったら――
アタシに出来る強さって…
何なんだろ…
「お姉ちゃん!」
「ん?どしたの?」
「綺麗なお花!」
「ホントだね」
二人が来たのは広場。
そこには色とりどりの花が咲いていた。
「採っちゃダメかな?」
「ここのお花はダメじゃないかな?」
「そっか…」
ガッカリする少女。
「それなら、お花屋さんに行って買おうか」
「良いの!?」
「大丈夫!お父さんに持っててあげようね」
「うん!」
-その時だった。
「ひったくりだああああ!!」
バッグを抱えた男がお婆さんから逃げていた。
「くっ!」
早く捕まえないと!!
そう思った時だった。
「ちょっと待った!」
華奢な男性がひったくり男の前に立ち塞がった。
「邪魔だてめえ!ぶっ殺すぞ!」
そう言ってナイフを取り出した。
「危ない!」
気付けば、また魔法に頼ろうとしていた。
「どけえええ!!」
男がナイフを持って突っ込んだ。
だめだ!
間に合わない!
そう思った時
「ほいっと」
ひらりと躱した。
同時に、男の腕をつかむ。
そのまま、地面に押さえつけた。
「イデデデデデ!!!」
「あんま暴れると、骨折れるよお?」
「…っく」
男は大人しくなった。
その後、オカマに連れられて行った。
「…すごい」
制圧してしまった…
しかも無傷で…
傷つけたり、壊したりする強さではない…
ベルゼやラグネスさんと違った強さ…
ぎゅっ
イリアは、少女の手を握り直した。
…これが
アタシの――




