第27話 マイエルの守護者たち
「イリア!ラグネス!」
「ベルゼ!!」
街の入り口に向かうと先にイリアとラグネスがいた。
「ラグネス、魔物は?」
「ハウンドウルフね。結構いるわ」
「ざっと見20体くらいか…こりゃ、俺も加勢しないとダメだな」
「…っ!!」
シャロンの体が強張る。
「そ、それならアタシも!」
イリアがそう言ったが…
「ダメよあんたは」
ラグネスが止める。
「ど、どうして!?」
「さっき魔法連発してたじゃない」
「今のあんたじゃ魔法もロクに使えない」
「ハッキリ言って、役立たずなの」
「!!?」
ギリ…
イリアは握りこぶしを握る。
「だから、ここで見てなさい」
「え?」
「魔法を使わずに、こいつらを制圧するあたしらをね」
「そ、そんな…!いくらラグネスさんたちでも、これだけの数は…」
イリアが心配する。
「…なめんじゃないわよ…」
「…え?」
「あんな可愛いわんちゃんに…負けるわけないじゃない…」
「わ…わんちゃん…?」
バーの店員たちが集まってきた。
バサッ…
ラグネスが上着を脱ぐ。
「そういえば、さっきあんたに騎士の代わりにこの街を守ってる集団がいるって話したわね」
「は、はい」
「それはね…」
「あたしらのことよ!!!!」
ビリビリビリ!!
バンッ!!
トップスが筋肉の膨張によってはじけ飛ぶ!
「!!??」
イリアの目が飛び出そうなくらい丸くなる。
「「…」」
見慣れているベルゼとシャロン。
「行くぞてめえらあああああ!!!犬ッコロどもを血祭りにしてやれえええええええ!!!」
「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」
屈強なオカマたちが、地面を蹴り上げながらハウンドウルフに突っ込んでいった。
「…」
「…俺やっぱいらんかな」
あいつらだけで終わりそうなんだが…
「…ベルゼ…」
「何だよ…」
「アタシら…ちょっと影薄くない…?」
「…オカマに勝てるわけねえだろ」
「…キャラの濃さで」
ドドドドドドドドドドドドド!!!!
「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」
「「キャ…キャイイイイイイイイイン…!!」」
オカマ達の凄まじすぎる圧に逃げ出したハウンドウルフがいた。
「がぁあああああああ!!」
その圧でも怯まないハウンドウルフが残った。
1頭がラグネスに飛びかかる。
「しゃらくせえええ!!!」
それを拳一発で制圧。
そのまま吹っ飛び、動かなくなる。
「す、すごい…しかも素手で…」
イリアは驚いていた。
「ぐぅるるるるる!!」
「あらぁ…そんなに唸ってたら可愛い顔が台無しよ?」
「がぁあああああああ!!」
剣を持ったオカマに飛びかかる。
それをスルリと躱すと同時に切りつける。
ザシュっ!
「だから台無しって言ったのに…」
切られたハウンドウルフは地面に伏せる。
「ちょっとアンタ!毛並み荒れてるじゃない!!」
ドゴォ!!
怒鳴りながら、顔面に拳を叩き込む。
ハウンドウルフはその場に崩れ落ちた。
「ちょっと待ってなさい!梳かしてあげるから!」
そう言って、自前の櫛をあてる。
他のオカマ達もまるで嵐だった。
拳が飛ぶ。
剣が閃く。
怒号が響く。
そして色気が舞う。
気づけばハウンドウルフ達は地面に転がっていた。
「…お前、ラグネスに似てなくて良かったな…」
「…そうですね…母に感謝です…」
「…」
ベルゼとシャロンはオカマたちの迫力に圧倒されていた。
しかし、イリアの目は――
その一瞬も見逃してはいなかった。
…握ってる拳が徐々に強くなる。




