第2話 行くぞ!!暴君ガラクタ丸!!
―ガラクタ丸 客間―
「は、は、働く!??」
「その魔法便利じゃん」
「なんであんたの所で働かなきゃいけないのよ!」
「人の時計変形してぶん投げて、しかも箒と床まで変形しやがったじゃねえか」
「……」
「……最悪、床と箒はお前の魔法で直せばいいが、あの時計、結構レアだったんだぞ…」
「……いや……でも……」
少女が困惑していた時だった。
「すみませえええええん!!」
「え!!?なに!??」
外から男の声が聞こえる。
「お、仕事だ」
「……仕事?」
「とりあえず、手伝え」
「え?…え?え?」
そう言って、ベルゼは外に出る。
少女が、ベルゼの後について扉を開けた。
………………………
―ガラクタ丸 車外 荒野―
「これじゃだめだな」
「え?」
「最悪、ボン!だ」
「ボン!!?」
ベルゼは少女に細い管の中を見せる。
「中が狭すぎる。これだと圧がここで溜まっちまう」
「ちょ!!こんな細かいところ、ちょっとくらい良いでしょ!」
「何言ってんだ。機械はそういう細かい所までやらないと動かなくなるんよ」
「とりあえずここ、もう少し広くしてくれ」
「?」
客が首を傾げた。
「ああ。新人が部品間違えて持ってきたみたいでな。ほら行った行った」
「なんでアタシが……」
ぶつくさ言いながら、少女は物陰に引っ込んだ。
少女は部品に魔力を込める。
部品がするりと形を変えていく。
ベルゼは別の箇所にレンチを当てる。
横目で少女を見る。
(まぁ、機械は素人みたいだからな。いきなりは無理があるか……)
「お二人はどういう関係で?」
「従業員と雇い主」
「……夫婦とかではないんですよね?」
「違うわよ!!どっちも!!」
「………」
(なんでこの客はそんなこと聞いてんだ??)
少女が物陰から出てきた。
「はい!これでどう!?」
「…上出来だ。これで良くなるぞ」
ベルゼは最後の部品を装填し、蒸気機関の始動させた。
ポッポッポオオオ!
蒸気が勢いよく吹き上がる。
古びた蒸気車が、軽快に煙を吐き出す。
「助かりました!こんな荒野で立ち往生してしまって……どうしたもんかと思ってました」
「ここから街は遠いからな。ま、これからは俺みたいなハイエナに気を付けておくんだな」
「こんな腕のいいハイエナなら大歓迎です!代金はこちらで!」
「まいど。気を付けてな」
客は直った蒸気車に乗って颯爽と帰っていった。
「ふぅ・・・これで二人分の飯代にはなったな」
「……」
少女がベルゼを睨む。
「いやぁ、便利だな。その魔法」
「アタシを便利屋扱いするな!」
「でも、なんだかんだ働いてるじゃん」
「だって………お客さん、困ってそうだったから……」
少女が視線を外す。
「お客って言ってんじゃん」
「………あ」
「ははは。その調子で頑張りたまえ」
「調子に乗るな!」
「そういや名前がまだだったな。俺はベルゼだ」
「…………イリア」
ブスッとした顔で少女は答える。
「イリアか……ま、ひとまず壊した分だけは働いてくれ」
「その間の食うもん寝るところは用意してやる」
「そのあとは好きにすりゃいい」
「…分かったわよ…」
「………」
(こいつ…実は結構素直だな)
二人はガラクタ丸の運転席へ向かう。
「とりあえず、今日のうちに街には行かねえと」
「街に?何かあるの?」
「いや、もう食いもんがねえんだよ」
「・・・え」
ベルゼは運転席にドカッと座る。
「とりあえず、二人分の飯代はゲットできたから、今から全速力で街に向かうぞ」
「え…ちょっと!」
「行くぞ!!暴君ガラクタ丸!!」
「…だからダサいって!!」
ゴォオオオオオ!!
ガラクタ丸は荒野を全速力で駆け抜けていった。




