表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイクギア ー動く工房の破壊整備士と創造の魔族少女ー  作者: すのもとまさお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/51

第1話 ここで働かないか?


バキイイイイイイイッ!!!


巨大な剣を砕く。


…いつも通り。

…壊せばいい。


「……」


熱と衝撃で、右袖が焼け焦げ、崩れ落ちた。


…初っ端出力をぶち上げ過ぎたか。

…まぁ、いい。


ブシュウウウウウウウウ!!

右腕の機械から蒸気が噴き出す。



――昨日、あいつを拾った。

――全部始まったのは、

――それからだ。



――昨日 荒野―



ブロロロロロ……ッ!!

シュウウウウウウ…!!


荒野を切り裂くように、蒸気機関の唸りが響く。

煙を吐きながら走るのは、移動式蒸気機関工房いどうしきじょうきかんこうぼうB-GT型。


運転席で頬杖をつき、ベルゼは前を睨んでいた。

「……誰もいないな」

本来なら、機械が壊れて立ち往生している奴の一人や二人はいる道だ。

だが今日は、影すら見えない。


「今日の食い扶持、どうすっかなぁ……」

頭をかきながらぼやく。

その時だった。


「……あ?」

荒野の先に、何かが倒れている。

速度を落とし、近づく。


――少女だった。


しゃがみ込み、様子を見る。

血は出ていない。呼吸もある。

だが――こんな場所で倒れている理由が分からない。


「おいおい……流石にこれは予想してねえって……」

しばらく見下ろしていたが、目を覚ます気配はない。


「……放ってはおけないか」

「死なれても目覚め悪いし」

小さく息をつき、少女を担ぎ上げる。

そのままB-GTの中へと運び込んだ。


――暴君ガラクタ丸。

こいつのことは、そう呼んでいる。


ベッドに寝かせると、少女の喉がかすかに鳴った。

「さて、どうすっかなぁー」


ガバッ!!

少女が勢いよく上体を起こした。


「あ、起きた」

間の抜けた声が出る。


「触るな!!騎士が!!」

ガラクタ丸のベッドで、少女が跳ね起きた。

次の瞬間、いきなり拳が飛んでくる。


「おっと」

身を引いてかわす。


「待て!!」

少女が時計を掴む。

光が走る。


――形が崩れた。

次の瞬間、刃へと変わる。


「マジか」

飛んできたそれを、レンチで弾く。


「これでどうだ!?」

少女が床に手を置く。



次の瞬間――

床がうねる。

槍のように突き上がる。


頬を、かすめた。

「……っ」



「あ!!俺のガラクタ丸が!!?」

歪んだ床が目に入る。


「てめえ!よくも俺のガラクタ丸を!!」

「さっきから余裕かましてんじゃないわよ!!」


あいつは箒を手に取る。

みるみるうちに槍に変わる。


「はぁ!!」

突いてきた。


「いい加減にしてくれっての」

レンチで攻撃を防ぐ。

キィン、と甲高い音。


「…そこか!」

ガキイン!!

槍を弾き飛ばす。


弾き飛ばされた槍を見て、動きが止まる。


「やっと大人しくなったか……」

「くっ……!」

睨みつけたまま、動かない。

(物の形を変える……か)


「…な、なによ…!」

「殺すなら…さっさと殺しなさいよ!!」


「…」

顎に手を当てて考える。


「…便利だな」

小さく聞こえないようつぶやく。


「…?」

まだ睨んでるな…


「…うん。そうだな…」

…その方が、俺も楽だ。


「?」

何の顔だそれは。


「お前、名前は?」

「お、教えるわけないでしょ!!」

キレて答えるな、キレて。


「ええ…」


…まぁいっか。


肩をすくめる。

そして――


「なあ」

「な、なによ!?」

「ここで働かないか?」

「……はぁ!?」



-数十分後 ガラクタ丸 リビング-



あいつは腕を組んだまま、黙り込んでいる。


「……あのさ」

「んぁ?」

「……さっきは、その……」

「ああ、別に気にしてねえよ」

「いや、でも……」

「とりあえず、今日から働けるか?」

「え?」

「あー作業着はまだないからなぁ……次の街まで我慢してくれ」

「ちょっと待ってよ!」

「んぁ?」

「何でもう働くことになってんのよ!?」

「え?違うん?」

「違う!謝りたいだけ!!謝ったら出ていくから!!」

「でも、お前魔族だろ?」

「!?」

「いや、さっき魔法使ったじゃねえか」

少女の体が強張る。


「安心しろ」

「別に取って食いやしねえよ」


「……え?なんで……?」

「俺に何の得があるん?」

「……」

「それに行く当てとかあるん?」

「…それは…」

「というか……」

「??」

「せめて俺の時計と箒代分くらいは働いてくれ……」

「……」

「あと、床も直してくれ…」

俺のガラクタ丸…


少女の目が泳ぐ。


「……ごめんなさい」

「…じゃあ、働け」





「…はい」

とりあえず、働く事になった。






-さらに数時間後-


荒野を走っていると、立ち往生している蒸気車を見つけた。


故障らしい。

今は修理中だ。


「これじゃだめだな」

「え?」

「最悪、ボン!だ」

「ボン!!?」



「中が狭すぎる。これだと圧がここで溜まっちまう」


「ちょ!!こんな細かいところ、ちょっとくらい良いでしょ!」

「何言ってんだ。機械はそういう細かい所までやらないと動かなくなるんよ」

「とりあえずここ、もう少し広くしてくれ」

「お前さんたち、何をコソコソ話しとるんじゃ?」

じいさんが首を傾げた。


「ああ。新人が部品間違えて持ってきたみたいでな。ほら行った行った」

「なんでアタシが……」

ぶつくさ言いながら、少女は物陰に引っ込んだ。

少女は部品に魔力を込める。

部品がするりと形を変えていく。



「お前さんたち、どういう関係じゃ?」

「従業員と雇い主」

「なんじゃ、カップルじゃないのか…」

「違うわよ!!」


少女が物陰から出てきた。

「はい!これでどう!?」

「…上出来だ。これで良くなるぞ」

ベルゼは最後の部品を装填し、蒸気機関の始動を始めた。


ポッポッポオオオ!

勢いよく吹く。

古びた蒸気車が、軽快に煙を吐き出す。


「助かったぞい!いきなり止まっちまったもんじゃから、どうしたもんかと思っとったんじゃ」

「ここから街は遠いからな。ま、これからは俺みたいなハイエナに気を付けておくんだな」

「お前さんみたいなハイエナなら大歓迎じゃ!ほれ、代金じゃ!」

「まいど。気を付けてな」

爺さんは治った蒸気車に乗って颯爽と帰っていった。


「ふぅ・・・これで二人分の食いぶちは何とかなったぞ」

「…」


「いやぁ、やっぱ便利だな。その魔法」

「アタシを便利屋扱いするな!」

「でも、なんだかんだ働いてるじゃん」

「だって・・・お爺さん困ってそうだったから・・・」

「ははは。その調子で頑張りたまえ」

「調子に乗るな!」


「ま、ひとまず壊した分だけは働いてくれ」

「その間の食うもん寝るところは用意してやる」

「そのあとは好きにすりゃいい」

「…分かったわよ…」

(こいつ…実は素直だな)


「とりあえず、今日のうちに街には行かねえと」

「街に?何かあるの?」

「いや、もう食いもんがねえんだよ」

「・・・え」


ベルゼは運転席にドカッと座る。

「とりあえず、二人分の食いぶちはゲットできたから、今から全速力で街に向かうぞ」

「え…ちょっと!」

「行くぞ!!暴君ガラクタ丸!!」



一瞬、空気が固まる。



「…ダサっ!!」


ゴォオオオオオ!!

ガラクタ丸は荒野を全速力で駆け抜けていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ