第12話 ……キモ
「……ねえ」
「ん?」
「住んでる所を確認したのは良いけど、ここからどうやって出るの?」
「普通に出れば良いんじゃねえの?」
「いや、あの二人、帰ったじゃん…」
「ああ。そういやそうだったな」
わざとらしく、手をポンと置くベルゼ。
「とりあえず、裏口かなんか探すか」
「見つからないように慎重にね」
「見つかったらぶっ飛ばせばいいだろ?」
「あんた侵入中って分かってるの!?」
「お前こそ、声でけえな」
二人は廊下を歩き始めた時だった。
「あれ?お前ら、帰ったんじゃなかったんか?」
「!!?」
声をかけてきたのは騎士だった。
「あ…えっと…」
イリアが声を出そうとした瞬間。
「何言ってんだよ?俺たちこれから着替えるところだぜ!?」
ベルゼがかぶせ気味に質問に答えた。
「あれ?お前らさっき外に出ていかなかったか?」
「いんや?」
「……」
騎士はじっと二人を見た。
「……おかしいな」
一歩、近づく。
「おい。貴様」
「!?」
「自分の所属ナンバーを言ってみろ」
当然、そんなものを確認していない。
イリアはもうだめだと思ったが…
「G-129-84589921」
ベルゼはあっさり答えていた。
騎士がメモ帳を取り出し確認する。
「何だ…さっき出入口から出たのは気のせいだったのか…」
「働きすぎなんじゃね?」
「たしかに、ここ最近勤務続きだからな…休暇願いでも出してみるか」
「良いじゃん。その日はゆっくり休んでろよ」
「ああ。そうする」
そう言って、騎士は横切っていった。
「ふぅ…」
「よくごまかせ…」
「喋るな」
イリアが口を開きかけた瞬間、ベルゼが小声で遮る。
「その兜、声こもるだろ。多少違ってもバレねえ」
「……」
「でもお前はダメだ。一発でバレる」
「?」
「ここ、女いなかったろ」
「……あ」
「あの騎士が見えなくなるまで声を出すな。いいな」
イリアはコクっと頷く。
二人は周囲を警戒しながら、廊下を進み、出口を探す。
「それにしても、よく答えられたね」
「ああ。着る時に鎧に書いてあったんよ」
「それかどうか分かんねえけど、一か八かで言ってみたわ」
「…度胸据わりすぎでしょ…」
イリアは思わず一歩引いた。
「でも、なんでアタシのは確認しなかったんだろ?」
「二人の内の一人でも確認出来りゃ良かったんだろ」
「??」
「あの二人、ずっと一緒だったろ」
「ああ。そういうことか」
イリアが軽く手を叩く。
「…お前さ」
「??」
「結構抜けてるよな」
「!!??」
「まぁ、あいつらも結構抜けてるけどな」
呆れながら言うベルゼ。
「ああ。ちなみにだけど」
「なによ」
少し不機嫌に答えるイリア。
「お前の方のシリアルはJ-349-98750312だぜ」
「…」
「整備士なめんなよ。シリアルぐらい目に焼き付くぜ」
「……キモ」
「!!??」




