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第13話 あのお姉ちゃんが直してくれたんだ!



ようやく詰所の外に出た。


「ああ。緊張した…」

「そうか?中々楽しめたけどな」

「アタシはあんたと違って、コソコソ侵入したことなんてないから」

「でも、これからも続くことになると思うぜ?」

「なってたまるか!!」

「いや、素材も集めなきゃならんし…」

「止めるからね!!全力で!!」


そんな会話をしながら街を歩く。


「そうだ。一応だが、Eエリアに着いたら、なるべく騎士に見つからんようにな」

「なんで?」

「Eエリアと今の俺たちの管轄が違う可能性がある」

「管轄が違うとどうなるの?」

「なんで別エリア管轄の騎士がいるのかが、怪しまれるだろ?」

「そういうものなの?」

「基本的には自分たちの担当するエリア以外は見ないのがルールらしいからな」

「ああ。もしアタシたちが見つかったら、変に怪しまれちゃうのか」

「まぁ、一応ごまかしは効くがな。ただあまり使いたくねえ手だ」

「??」


イリアは首を傾げた。


「さて、そろそろEエリアだが…」

「うん」

「さすがに家までは把握できないからな」



「…え?」

イリアが素っ頓狂な声をあげる。


「あの地図に一人一人の住所なんてあるわけねえだろ」

「じゃあ、ここからどう探すの?」

「街中歩き回って、外に出てる所をとっ捕まえるしかねえな」

「とっ捕まえなくていいでしょ!?」

「というか、目立たないようにしないといけないのに、歩き回らなきゃいけないのね…」

「ここからは地道にコソコソすることになるな」

「地道にコソコソって何よ…二度と聞かないよそんな言葉…」

「しゃあないだろ?流石にここじゃ暴れられねえしな」

「…今回地味だなぁ…」

「あと、家の中を見る時は、窓をちらっと見る程度な」

「それで見つかるの?」

「騎士とはいえ、人の家の中ジーっと見てたらやべえだろ」

「確かに…」

「よし、捜索開始だ」

二人はEエリア内をコソコソ地道に歩き回った。


「見つからないねぇ…」

「まぁ、基本外に出てなきゃだしな」

「この鎧も暑いし、早く見つけたい…」

「流石にどっかで休むか。このままじゃ持たねえしな」


二人はベンチで休憩することにした。


「ああ。脱ぎたい暑いィぃいいい」

「しゃあねえな。飲み物買ってくるから少し待ってろ」

「うん。ありがと」

ベルゼはイリアと別れた。


「…こうしてみると平和そのものだな」

もし、ここで魔族である自分が出てきてしまったら、どうなるのだろうか?

イリアはそんなことを考えていた。


(皆怯える?)

(逃げる?)

(それとも…殺そうとする…?)


「…ダメだ‥ネガティブな事しか考えられないや」


昨日のあのことがあってから、人が少し怖い。

魔族である自分を皆怖がらせてしまうかもしれないから。


「…オルゴール届けたら早くこの街から出ないと」

そうつぶやいた時だった。


「イリス!!待ちなさい!」

その名前に驚いて声の方を見ると、昨日のお客さんだった。


「イリス!もうオルゴールの事は諦めなさい!!」

「嫌だ!!だってあれがないとお母さんが帰ってこないもん!」

「イリス…お母さんは…アリスはな…」

「嘘だ!!死んでなんかいないもん!!お母さんはオルゴールの音で帰ってくるもん!!」


…お母さんは家族皆に親しまれてたんだな。

あんな風に誰かに待ってもらえるなんて。


…それに比べ、アタシは…




………ん?





「…ってあああああああ!!!いたああああああああああ!!!」

思わず大声で叫んでしまった。


「ベルゼは…まだいないか」

(まぁ渡すだけだし、大丈夫か)


イリアは昨日のお客さんの元に向かった。


「え…!?な、なにか??」

父親の方がぎょっとした。


少女の目線に合わせてしゃがみ、オルゴールを差し出した。


「あ!オルゴール!」

少女は慌てて手に取り、オルゴールを見回す。


「ありがとうございます!昨日、魔族と出くわした時に落としてしまったみたいで…」

「…」

黙って早々に立ち去ろうとした時だった。


♪♪♪♪♪♪♪


オルゴールの音が奏でる。

昨日直したおかげで音が途切れる部分は無くなった。


「直ってる!あのお姉ちゃんが直してくれたんだ!」

「イリス!あの魔族の事はもう忘れなさいって何度も…」

「なんで!?あたしのこと助けてくれたんだよ!」

イリアは驚く。

怖がらせていたと思っていたのに、むしろ感謝してくれいたことに。


「いくら助けてくれたからって言っても魔族なんだ。何か悪いことを考えていたに違いないよ」

父親がそう子供に諭す。


「違うもん!!なんで助けてくれた人の悪口を言うの!?」

「それは…あのお姉ちゃんは魔族だから…」

「魔族でも助けてくれたもん!オルゴールも直してくれたもん!悪いお姉ちゃんじゃないよ!!」

「イリス!!いい加減に…」


その時だった。


ガシャン――


金属がぶつかる音が、背後から響いた。


「…魔族を庇い立てする子供がいるようだな」



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