第11話 ヤツらの鎧、さっさとかっぱらうぞ
ガコンッ!!
ダクトの鉄格子を無理やりこじ開ける。
どうにか侵入成功だ。
「ああもう…高いとこは怖いし、狭くてしんどかったぁ…」
「…さっきは締め過ぎだろ、お前。…死ぬかと思ったぜ…」
「何の施設かな?ここ」
「見た感じ…」
二人は見回す。
その時だった。
『誰かいるのか?』
こもった声が聞こえた。
二人は反射的に物陰へ飛び込んだ。
やってきたのは騎士だった。
「?誰かの気配がしたと思ったんだが…?」
騎士は首を傾げながら、そのまま部屋を出ていった。
「あー…やっぱりここ、騎士の詰所だな」
「ちょっと!いきなりピンチじゃん!」
「…いや…むしろチャンスかも…」
「…え?」
「ちょっと耳かせ」
「……」
「…え…マジで言ってる?」
「マジマジ。これなら街中も自由に歩き回れる」
「…案外悪くないのかも…」
「問題はどうするかだが…」
ベルゼが思考を巡らせていた。
――その時だった。
『おい!!そろそろ交代の時間だ!』
騎士たちの会話が聞こえる。
『もうそんな時間か』
『早く行こうぜ!腹減ったよ!』
『じゃあ、あとよろしくな!』
『ああ。気を付けろよ』
「…交代の時間か…」
「ベルゼ…あんたまさか…」
ベルゼはニヤリと笑った。
「ここっきゃねえだろ?」
-騎士詰所更衣室-
「疲れたあああ早番はキツイね」
「ああ。魔族が出たと報告があってから、人員も捜索に充てたからな」
「居残り組の苦労も分かって欲しいぜ全く」
「ま、もう終わったんだし、これから飯でもどうだ?」
「お!いいねえ!ラーメンでも食いに行くか!」
騎士たちが鎧を脱いでいく。
「あああああやっとこの暑苦しいのから解放された!」
「さっさと着替えていこうぜ」
騎士たちは出勤着に着替えていく。
「おっしゃー飯だ飯!」
「今日はどこのラーメン食いに行くか」
…
ガコンっ!
天井のダクトの鉄格子が開く。
降りたのはベルゼとイリアだった。
「またこんな狭い所に戻る羽目になるとは…」
「そのおかげでバレずに済んだだろ?」
「…まぁそうだけどさ…」
「さて、ヤツらの鎧、さっさとかっぱらうぞ」
「借りるだけ!これからは盗ったりしちゃダメよ!」
「はいはい」
イリアは鎧を取ろうとするが…
「重っ!!しかも、固定用の南京錠までついてるじゃん!」
「まあ、奴らの貴重品だしな」
「…その貴重品をあんたは強奪してたわけね」
「安心しろ。奴らの鎧は、どこかの機械の部品の一部になってるぞ」
「どうせあいつらは、着てるだけだしな」
「…まぁ、いいや。でも、これどうやって取れば…」
ガキン!!
「…え?」
イリアは音の方を向いた。
ベルゼがハサミのような工具で南京錠を切っていた。
「んぁ?」
「…あんた…手慣れてない?」
「そりゃあ初めてじゃないし」
「とりあえず、そっちも切るぜ」
「…」
イリアの分の鎧も切っていた。
「とはいえ…これどうやって着ればいいの?」
「…しゃあねえな。ジッとしてろ」
「え?」
そう言うとベルゼは手際よくイリアに鎧を着せていた。
「…」
「なんだよ?」
「いや、もういいや」
「??」
ベルゼも鎧を装着した。
「…ベルゼ…」
「どした?」
「動けない…重くて…」
「ああ。胸のボタン押してみろ」
「??」
シュウウウウ!!
鎧から蒸気が吹き出してきた。
「わ!!軽!!え!?」
「蒸気圧で動きの補助してんだよ」
「なんで知ってるの!?」
「そりゃ何度もバラしてるし、年式で多少変わるけど、大体は一緒だしな」
「…もしかしてだけどさ」
「ん?」
「騎士よりも詳しいんじゃないの?仕組み」
「だろうな。あいつらが仕組みまで理解して動いてるとは思えねぇ」
「…これも何度も強奪した結果か…」
「面白いのにな。これ」
「…アタシには分かんない」
「そのうち教えてやるよ」
「遠慮しとく」
ベルゼとイリアは鎧を着て、更衣室から出た。
「これからどうするの?」
「あの騎士が言ってた、客が住んでるエリアを探すぞ」
「ああ。この街ってエリアごとに番号が振ってあるのよね」
「とはいえ、流石に地図がねえと」
「まぁ騎士の詰所ならあるんじゃない?地図くらい」
「…丁度良い所にあったな。掲示板」
「ご都合過ぎない?」
「良いんだよ別に」
掲示板にはこの街の地図が貼ってあった。
「えっと。たしかEの8番だっけな…」
「あ、手配書もあるのね」
「そら騎士だからな。魔族狩りのほうが目立ってるが、あいつらの仕事は治安維持だし」
「…あんたと同じようなことしてたやつがいるのね」
「んぁ?」
「これ」
イリアが指さした方を見ると
「騎士襲撃常習犯」
と書かれた手配書があった。
「この手配書、もう50年も前の物だけど、捕まってないのかな?」
「まぁ、これがあるってことは生きてんじゃね?」
「でも、この絵見る限りけっこうおじさんだよ?」
「ヨボヨボになってても続けてんじゃねえの?騎士狩り」
「色んな意味で怖いよそれ」
「それなら、手配書の人相描きも変えればいいのに…」
「そんなことより、場所も特定できたし、行くぞ」
「まぁ、いいか」




