セレニティア3
「じー」
「――」
「じーー!」
視線が痛い。
鈴華はずっと俺を観察していた。
朝早く、黒翼さんは槍斧を背負い、カゴを持って薬草を採りに出かけた。
なんともファンタジーチックな得物だが、これがこの世界では普通なのだろう。
その間彼女のお守を頼まれたわけだが――
「な、なんだよ。」
「じーっ」
さっきからこの調子である。
そんなに銃が珍しいのだろうか?
落下の衝撃で破損がないか、ばらして確認していたのだが、それが彼女の興味を引いたようだ。
その作業を横からずっと眺めている。
――正直やりづらい。
「こんなの見てても面白くないだろ?」
「おもしろい。」
「そ、そうか……」
だから俺が困るんだって!
そんな心の声を飲み込んで作業に集中する。
フェンリルもヘイムダルも問題無さそうだ。
銀華さんの魔銃は、ここには無いため確認できないのが心配だが。
「その金属の塊、すっごい綺麗。」
「綺麗?」
「うん、キラキラ。」
キラキラ? 子供の考える事はよくわからない。
組み上げた魔銃を懐に仕舞い込む。
そこまで警戒する必要はないが、万が一という事もある。
こいつらを握ってる方が落ち着くなんて、俺も変わったな。
さて、次は――
自らの両足に手を掲げる。
骨折程度なら、魔法で直してしまった方が早い。
血液中の水の魔源を意識して収束させる。
そして呪文に乗せて魔法を発動――!
「”ヒーリングⅡ!”」
元々使っていた水と風なら、そこまで意識せずとも発動出来る。
本来人間の身で4属性の魔源を扱うのは無理なのだ。
各々の魔源を認識し、それを収束させる行為。
その種類が増えるだけでこうも体に負担がかかるものなのだ。
「おー! まほーだ!」
「驚いたか?」
「私もね、まほーつかえるんだよ!」
えっへんっと、腰に両手を添えてふんぞり返った。
なんとも微笑まし光景である。
「ほほう、それは凄いな。」
「みてて!」
そう言うと彼女は俺の両足に手を掲げた。
どうやら俺の真似をするつもりらしい。
まぁ、精々痛み止めくらいになる程度の――
恐ろしい量の魔力が練り上がっていく。
しかもその速度は俺の2倍の速さで量は何十倍も上だ。
とても子供が扱うようなものじゃない!
「リザレクション!」
あぁ、これはやばいやつだ。
一瞬で骨がくっつくどころか、怪我の前と同じ状態に戻るのがわかる。
これはまともな魔法じゃない。
「すごいでしょ!」
「――言葉も出ないな。」
これ腕の一本は軽く再生出来るんじゃないか?
そう思うくらいは強力なものだった。
「でもでも、ちょっと気になるのです。」
「どうした?」
「おにーさんって、じくーりゅーなの?」
「えっ?」
あまりにも予想外の言葉が彼女の口から発せられた。




