セレニティア2
「成程、このご時世に別世界から来たわけか。」
「はい、見事着地に失敗しましたけどね。」
「このセレニティアの周辺の境界線は不安定だから、それも仕方あるまい。」
シチューを頬張りながら、色々と黒翼さんと情報を交換する事が出来た。
この世界が、やはりセレニティアだという事。
ロキアとセレニティアは、密着した特殊な世界だという事。
そして、レイの家の事だ……
「しかし、本当に彼女はレイ・リヴァイアスなのか?」
「はい、本人の記憶は曖昧になっていますが間違いないと思います。」
俺が昔見た夢の内容も、今ではほぼ思い出せないため手がかりにはならない。
だから彼女の家を探すのは困難を極める事と覚悟していた。
しかし、それは予想もつかない事で判明した。
このセレニティアにおいて、リヴァイアスという家名は大きな意味を持っていたのだ。
「行方不明だったリヴァイアス家のご息女の帰還か、これは大きな波紋を呼びそうだな。」
「そこまでの影響力があるんですか?」
鈴華ちゃんはシチューに夢中になっている。
黒翼さんは、汚れた口を丁寧に拭いてやりながら、俺の問いに答えてくれる。
「事実上、このセレニティアの管理者だったからな。 王族のようなものだ。」
「へぇ、レイがお姫様ねぇ……」
――想像したら、口元がニヤけてしまった。
だって、そんなイメージとは真逆なのだから。
むしろ、昔はそうだったのかもしれない。
あんな事さえなければ彼女は――
「ともかく、出発するにも2人の回復を待った方がいい。」
「すみません、お世話になりっぱなしで。」
「気にするな、明日はお前にも手伝ってもらいたい事があるしな。」
今日はもう寝ろと言って、テーブルから立ち上がる。
いい人に助けられて、本当に良かったと思う。
もし、あのまま誰にも見つけられずにいたらどうなっていたか……
そう考えるとぞっとする。
とりあえず、今は二人の回復を待つしかなさそうだ。
別に慌てる必要はないのだから。




