王を冠する兎の名、認められざる力の名 2
1人は世界の根幹を創った者、1人は世界を飾り付けた者、1人は世界の均衡を保った者
というか今話は設定盛りだくさんです、少なくともこんな序盤に出すような情報ではないなぁ(遠い目)
1面:彼女は飾りつけ役、故にこそ己の飾りの歪みは許せない
「………………………………………………え?」
画面に表示されたそれを何度も何度も見て、やっとのことで絞り出したのは、そんな掠れた声。
「なん、で……そんなことになってるの………?」
ありえない、ありえない、けれどもそれは有り得てしまった。
なぜ、なぜ、
「【王兎】が、こんなのに……」
その名はもっと、もっと……………考える気力すら失われてしまう、自分が思いをかけて作ったその名が、さまざまな因縁の果てに生まれたその名が、こんなものに受け継がれてしまったことは、あるいはこのゲームが配信停止となるほどには、この女には衝撃的なことだった。
「くそっ、だから神経なんて……いや、イミネントなんて……!!あいつがそんなことを言わなければ……!!実装なんてしなければ良かった…」
女が酷く悔いるのは、このアエテルナ・メモリアという世界においてかなりの重要度を誇るそれを認めてしまったことか、それともつい最近までかかりきりになっていたことか。
「新大陸の調整……そんなもの、後回しにすべきだった、あいつでも、そいつでも、できるじゃないかっ、私には、私には……!!」
しかしどうすることもできない、今この場で己が好きなようにデータを書き換えることなど造作もない、しかしそれは他でもない己自身が許さない。
この完成された世界に、誰かが手を加えるなどあってはならない。アップデートは認められる、それはこの世界が良くなるためのものだし、皺寄せだってうまく対応できるようにしてあるのだから。
しかし、この場での書き換えは最も受け入れ難い。皺寄せはどこで来るか分からない、故にこそ簡単に書き換えなどできるはずもない。
その理由もあるいは余分、一番は……
「この世界は……簡単には歪めてはいけない」
この世界が進む道は、絶対に不可侵である、と。
だからこそ、行き場のない怒りはそれを成したものへと向かう。
「「──」、サーバー「マニピ───」をお願い」
『了解』
女のデスクはかなり散乱している、それはまるで癇癪を起こした後の子供の部屋の後のようで。
「マニ───ト、なぜ───こ─をし──?」
その声はあまりにも小く、聞き取ることなど不可能。しかしその声を完全に聞き取ったそれは答えを返し……
「っ、〜〜〜〜〜〜〜!!!確かに……そうでは、あるけれど……!」
『他に御用はありますか?』
「いいえ、もういいわ」
少し気持ちが落ち着いてきたのか、幾分か冷静な声でそれの問いかけに答えた。
「これはどうすべき?書き換えはできない、でも、これはあまりにも……」
王を冠する兎の名は、認められざる力によって歪められ、そして本来ならばあり得るはずのなかった道を辿る。
それはやはり認められない。しかし、それは愛しいこの世界がそう決めたのだ、ならば認めずとも受け入れよう。そう決心をつけた女は、先ほどまでとは打って変わった楽しげな表情を見せる。
「なら……【王兎】は、どこで巡らせる?トヨーシハ…は違う、かな。いえ、そこで完成させるのはいいけれど……なら、裏路地、かな。うん、それがいいわ……「──」、裏路地たちと接触したプレイヤーを一覧で出して」
『了解』
『………』
『完了。表示します』
「ん。んー………あれのフラグを立てたのを出して」
『了解』
「へぇ、1人、新しいのが増えたみたいね……ルアン、か」
そう呟いた女は、ルアンのプレイヤーデータを新たなサーバーへと移動させる。
「「──」、ルアンのデータをカテゴリB-2に移行させて」
『了解』
5つのメインサーバーが一つに存在する特別なファイル、その中のカテゴリB-2…「ロスト」にまつわるシナリオ、フラグを立てた者のデータが入れられるそのファイルに、新しいプレイヤーネームのファイルが追加された。
2面:世界の創造者、故に彼は想定外を笑う
「っと、うーん、トヨーシハの方は大方できてるみたいだね……ただ、あれには気づいてなかったみたいだからなー、今頃荒れてそうだけど……」
男がそう呟いた瞬間、あるサーバーから一件の通知が入る。
「ありゃ、B-2に新しいのができてるね」
男はそのファイルを嬉々として開き……そして笑う。
「今度こそ……できるかな?」
それは誰かに向けてはなった言葉ではなく。強いていうなら……その星で最も長い時を生きている彼女に向けてか。
「想定外……いいねぇ、もっと殻を破ってほしいよ」
その男は、詰まるところ創造神であった。
「「──」、このデータこっちにも入れといて」
『了解』
『カテゴリA-1への移行完了』
3面:調律を取るのは、いつだって彼女の苦悩
「なん、っで!!あいつらはっ!!いっつも!!バカなことしかしねぇんだよっ!!!」
女は酷く荒ぶっている。移行されたデータ、書き換えられたコード。なるほど、確かにそれはこの世界をより良くするものだろう。他のともうまく連携が取れていて、皺寄せなどが来ることもないだろう。
しかし、そんなことを言っているのではない。
「なんで!!勝手に!!やるんだよ!!ちゃんと!!提案して!!色々とまとめて!!サーバーに認証させて!!それからだろうが!!」
手順を守れ、と言っているのだ。それさえあれば、何も困ることなどない。いちいち発狂するようなこともなくて済むし、胃薬も使う量は半減、いやそれ以下になるだろう。
「くっそ、やられたのは仕方ねぇ、「──」、この辺りのデータ一旦全部出して」
『了解』
情報が出るまでの間に口に入れたのは胃薬、さて、今日も長くなりそうだと考えながら女は伸びをし─────
次に会うときには必ずあの2人を殴ろう、と決意するのだった。
ちなみにだが、この3柱の神達は全員激弱であることを記しておく。
4面:___________
『プレイヤーデータ「ルアン」の移行完了』
『通知発信:「カテゴリB-2及びA-1にプレイヤーデータ「ルアン」が移行されました」』
『……完了』
『新大陸「トヨーシハ」の調整完了通知受信』
『確認』
『次期大型アップデート認証開始……S-1:許可、S-2:許可、S-3:許可、S-4:許可。一致を確認』
『次期大型アップデート内容暫定決定』
『「ロスト」及び「オリジン」プロトコル一部改訂』
『完了』
ちなみにそれぞれ
「想定外が起きると気持ち悪い笑みを浮かべて楽しむ」
「私が作った世界は愛しい、だから触れんな」
「想定内しか勝たん、想定外が起きると発狂」
みたいな感じ
この話書いてる間に新しい設定3つくらい生えました、ちょっと他の設定修正しないと……




