↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうあがいても悪役令嬢になれません! ~わたくし、完璧な悪事を働いているはずなのに、なぜか聖女と崇められて断罪フラグがへし折られていく件~  作者: 和三盆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
88/108

第87話「悪女は、問いを置いて立ち去る」

午前の回廊は、少しだけ慌ただしかった。

紙束を抱えた人が行き交い、足取りが早い。


「今日は、決める日だね」


ルシアが言う。


「ええ」


セレスティアは歩調を合わせる。


会議室に入ると、すでに半分ほど席が埋まっていた。

中央ではなく、端。

いつもの位置。


議題は一つ。

複雑で、正解が一つじゃない話。


意見は出る。

反論も出る。

でも、どこかで止まる。


「もし、想定が外れたら?」


誰かが言う。


沈黙。


セレスティアは、少しだけ身を乗り出した。


「一つ、聞いていい?」


視線が集まる。


「外れたとき、

誰が直す予定?」


答えは、すぐに出なかった。


「……現場?」


「それとも、ここ?」


しばらくして、若い声が言う。


「両方、ですね」


「なら」


セレスティアは頷く。


「直せる余地を残しましょう」


それ以上、言わない。


会は再び動き出す。

具体案が、少しずつ組み替えられていく。


途中で、セレスティアは立ち上がった。


「先に失礼するわ」


「もう?」


驚いた声。


「ええ。

続きは、皆さんで」


扉の前で、一度だけ振り返る。


「さっきの問い、

忘れないで」


廊下に出ると、空気が軽い。


「答え、言わなかったね」


ルシアが言う。


「答えは、

その場に置いてきた」


庭に出ると、風が葉を揺らす。


問いは、

誰かに渡すと、

形を変えて戻ってくる。


悪女は、問いを置いて立ち去る。

結論を持ち帰らない。


その方が、

長く考えてもらえるから。


夕方、書斎に戻ると、

短い伝言が届いていた。


決まった、とだけ。


詳細は、後日。


セレスティアは、そっと息を吐いた。


今日も、

答えは誰かの手にある。


それがいいと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。