変身しろと言われても②
今回は短いです。
「というか、お……私の性癖で世界を救うって何?どゆこと?」
「今頃一人称直さないでください。何とは、そのままです。そのリボンには、貴方の強い想いに反応して力を与えます。そして、人間の想いで一番強いもの…それが愛。生物として、人間として、あなたとして!貴方が一番愛しているものこそが、貴方の性癖!あなたという人間を全て曝け出すことで、あなたは変身できる!」
めっちゃ胡散臭い。いきなり性癖晒せとかなんなんだこいつ。
「おっと、疑ってますね?でも、それしかあの人を助ける手段はありません。どうしますか?私を信じるか、彼女を見殺しにして逃げるか」
小動物はかなり真面目なトーンで俺に語っている。言っていることはふざけているとしか思えないが、俺にはそれが嘘とは思えなかった。
「わかった。変身…してみるよ。それで、どうしたらいい?」
小動物は真面目だった表情をぱあっと明るくさせ、嬉々として語る。
「よくぞ、よくぞ言いました!右手を突き出し、胸に当て、一回転して、ハートの決めポーズ!そして叫ぶのです!『オープン・ザ・ハート』と!」
「何それ!魔法少女かなんか!?」
「いいえ、これはれっきとした聖壁戦士です!ほら早くしないと!さあ!さあ!」
「絶対楽しんでるだろお前ぇ!」
小動物がめっちゃグイグイ来る。
だが、時間はない。ただからかわれてただけかもしれないが、それでも、あの気持ち悪いやつから俺を助けてくれた人に恩返しをしなくてはいけない。
「俺は……一時だけでもヒーローになりたい!」
言われた通りにやるだけだ…いくぞ…
右手を前に突き出し!その手を握り胸に当て!華麗な一回転!からのハートの決めポーズ!そして叫ぶんだ!
「オープン・ザ・ハート!!!」
「どうしたゲロ?前に追いかけてきた時より勢いがないゲロねぇ」
カエルはまるで傷ついておらず、悪い顔でにたぁと笑う。
対して、傘で応戦していた少女は、ボロボロになってしまっていた。
「くっ………!うちのユニットは置いてきてもうた…一人じゃ持たへん…」
息が苦しくなり、体が思うように動かない。
(変身せんとあかんかったわ……)
だが、今後悔しても遅いのだ。他のメンバーは今ここにいない。自分を助けてくれる人はいないのだから。
(あの子は、にげられたやろか…)
薄くなっていく意識をギリギリ保ち、自分が救った人のことを考える。しかし、もうそんな余裕も無くなっていた。
「ゲロゲロゲロ……そんじゃ、食ってやるゲロォォォ!」
カエルがトドメを刺すその瞬間………
一筋の閃光がカエルを切り裂く。
「ゲロォォォォォォ!?痛ぁぁぁぁ!」
一瞬にして少女を掴もうとしたカエルの両腕が切れる。少女はありえないはずの状況に霞んでいた意識が一時だけはっきりとしていた。
「え…?今誰も助けに来れる状況ではないはず…」
「間に合ったな。先程のこと、感謝するよ」
「あ…………あんたは…!」
助けにやってきた閃光は。
小さな体に凛とした姿。手入れはされてないが上品な、美しい白銀の髪。この世のものとは思えない、幼くも美しい容姿。人形のようなドレスとリボン、身の丈に合わない大鎌。
そして………大人っぽい女性を前にガクガク震えている脚。
一人の少女が、そこにいた。
「俺の腕をよくも………何者だ貴様!」
足を震わせながら、俺はドヤ顔でその言葉を放つ。
「俺は聖壁戦士・ロリリオン。またの名を『幼女愛』」
次回も短いです。




