入学式は疲れる⑤
短いです。
「えーと………なんでしょう」
今、俺は生徒会長・天崎転花に何故か屋上に連れ込まれている。
優しい顔で、しかしなにか悩んでいるような雰囲気で俺を見つめている。
会長は何か思い立ったように口を開いた。
「貴方、男でしょ」
それは本当に予想外の言葉だった。投稿初日で俺の正体を暴かれるなんてそんな悲しいことあっていいのだろうか。ましてや相手は女性。このままでは俺の性別がバレて、重い制限、いや、停学なんかも有り得る。まずい。
…………いや、俺の体は女の子だ。バレるどころか俺は女である。
ならば、否定するのみ!
「あ、いえ、ちがいましゅ」
噛んだ。やっぱ話せんかった。何せ割と大人っぽいのだよ会長。
「怪しい言い方ね」
余計疑われた。
ヤバイヤバイヤバイ…………このまま行くと俺が目指す楽しく自由な高校生活を送れないのか…………?
「………そんな怯えなくてもいいわよ。何もしないから。」
全く信用できん言葉をかけられた。
だが、次の言葉に俺は吃驚してしまった。
「言葉が足りなかったわね。『元』……………男でしょ?」
「……………………え?」
「いえ、あなたが今女の子なのは見てわかるわ。でもあなたと同名の受験者は性別を男性で提出。1度見回った時も貴方を見かけることはなかったわ。可愛いから見間違えないもの。それに、さっき何も考えずに男子トイレに間違って入って出てきた時、貴方は女子トイレに入るのを一瞬躊躇った。それは元々男子トイレに入るのが間違いじゃなかったから。違う?」
完璧な観察力と記憶力で論破される。
(これは認めるしかないのか………)
仕方ないので真実を語ることにした。
「はい。元々男でした。朝起きたら女の子になっていて………でも高校に行きたかったので制服も緊急改造して………すみません」
「謝らないで。さっきも言った通り、何もしないわ。別に貴方が女の子として生きてるならそれで良かったわ。ただ、気をつけてね。貴方はあまり安全ではないから」
意味深なことを言って、会長は去っていった。
「安全じゃない…………?どういうことだ?」
なんかわかんないけど、結局自由な生活はできないのか………?正直それだけが気になってた。
教室に戻ると、薄川が俺の心配をしてくれた。
「大丈夫だった?なにかされてない?いきなり生徒会長に呼び出されるんだもん……びっくりしたよ」
「あ、だ、大丈夫大丈夫、何も無かったよ。に、入学時に性別間違えて提出しちゃって、その確認。」
大体間違いではない。
まあ、コミュ障と成人女性恐怖症はまだ治らないが、何となく楽しく生きていけるような気がした。
※これはコメディのつもりで作ります。なぜ最初が軽くないのかは聞かないで。
次からようやく話が動きます。




