入学式は疲れる④
遅れてすみません。これからもマイペースで行きます。
「はぁ………」
今日は非常に疲れた。あの後、俺は慣れない女の子としての生活を乗り切り、どうにか今日の学校を終えることができた。
「いやー、それにしても本当に大変だったぁ…」
思い出せば思い出すほど、災難だったような気がする。
「お……小しゃ内……優希…です」
盛大に噛んだ俺を皆はクスクスと笑う。まさに公開処刑だった。穴があったら埋まりたいほどの気分である。
俺が座り、先生が再び話し始める。すると、薄川が俺にコソコソと話しかけてきた。
「ちょっと噛んじゃってたけど……可愛かったよ」
此奴は俺を口説こうとしてるのだろうか。
恥ずかしすぎてペースを正常に保てないまま、初の休み時間になった。
俺はとりあえずトイレに向かう。ドアを開け、向かおうとするが、そこで用を足している人達は俺を見て一斉に赤くなった。
「え、ちょ、ここ男子トイレ…」
「あっ…………」
俺が今女の子なのをすっかり忘れていた。
急いでトイレから出ると、次に女子トイレに向かったが…そういえばどうするんだ?
完全に異性の体になれず、トイレから出るまで時間がかかった。
一日目にして黒歴史ができてしまった。
教室にいると、断然女の子の方が話しかけてくるのもかなりキツかった。何せ恐怖症なんて言い出せないわけで、震えながら質問攻めに遭ったが、もう何を聞かれたか全く覚えていない。半ば意識を遮断してた気がする。
例外は薄川である。
薄川は俺に対して話しかけてくる唯一の男だ。まさにコミュ力の塊みたいなやつで、俺が好きなこととかめっちゃ聞いてくる。ずっと変なやつだと思っていたが、性格は明るく、女の子に話しかけると言うより、友達に話しかけるような軽さで、案外1番話しやすい奴だった。
「うん、初日から色々あったなぁ」
俺は少し疲れた。もうすぐ二時辺りだろうか。大して長い時間ではなかったのに、ものすごい時が流れた感じがした。シンプルに慣れなかった。
「さて、明日も学校だな」
椅子から立ち、バッグを抱える。扉に向かおうとすると、そこに自分を見つめる人が一人。
(天崎……先輩?)
確かに今朝噛んでいた生徒会長、天崎転花である。
いや、でも間違いだろ。俺が何かしたか?恐らく別の人に用事があるんだろう。
だが、先輩の視線の先に、俺以外はいなかった。
ようやく先輩が見つめる人間が俺であることに覚悟をした。普通、初日から先輩によばれるなんて、不良1年生のパシリ勧誘か違反しそうな生徒への目付けだと勝手に思っている。つまりは……いい話ではない。
俺じゃありませんように俺じゃありませんように俺じゃありませんように…
「小山内さん!生徒会長が呼んでる!」
全く、今日は一体何の厄日だ。
そろそろ進めないとやばい。




